ソプラノ歌手 中川美和のブログ

ソプラノ歌手 中川美和のブログ

努力する事。

2011-11-23 01:07:17 | 歌のこと
合わせをしてきました。

前回の記事でも書きましたが。
ただいま、慣れていない曲に、トライ真っ最中です。いやん。

なんて言うんでしょうか、歌い慣れてる作曲家や、その周辺の時代の人のものだと、
「こういう時は、まあこうなるだろうな」
という道筋が見えるんです。

たとえば、
「この後はこんな感じの音程になるだろう」
とか
「こうきたら、この後はこういうカデンツァ(技巧的な装飾音の事です)になるだろう」

という想像がつくんです。

でも。
今やってる作曲家が、そういう道筋が、
全く見えないんです

ほんとわからなくてねえ…道筋が見えないで歌う怖さと言ったらもう!! 泣

あんまりやってこなかったもんな、勉強不足猛省…

で。
慣れてない曲で…どうなるかと思ってましたが、先週合わせをしたときは、
いやあひどかった…(自分で言っちゃいますよもう。)

ピアニストさんが必死でレッスンしてくれ、気をつけるポイントを教えてくれました。


何とか一週間で、自分なりに役作りをして(まあそれでも、つい自分のやりやすいように作っちゃうけどね…)もう一度合わせ、レッツリベンジ。
…この場合のリベンジは、自分へのリベンジですね。

で、今日、合わせ終了後、自分の録音聴いたら、

ああ…何とか形になっている… 泣

良かったああああああああ

ピアニストさん、感謝~

いや、もちろん自分のレベルで、です。大したことはないですが…
でも、何とか形になっている!あれだけひどかったのに!
本当にホッとしました。
うれしかった。

さて、ここからはちょっと真面目な話。
今だから言います。

この一週間、道筋の見えない曲を歌う事が、どれだけ怖くて、ストレスだったか。
歌うたびにおそってくる、ものすごい不安感。泣きながら練習してました。

そんな練習の合間に、モーツァルトや、歌い慣れている曲を歌うと、本当に安心しました。
このまま、この安心感の中だけで歌っていきたい。そうすればどんなに幸せか。
でもやっぱりそれじゃ駄目だし。歌える曲をぬるま湯のように歌っていたんじゃ、上達はないし。
もうやめたい、仕事じゃないんだから、投げ出してしまえばいい、という誘惑と必死で戦いながら、この一週間、練習してました。

なかなか眠れない日もありました。食欲もなくなって、もう頭は24時間、その歌の事でいっぱいで。
ここ数日は、音楽を聴いたら頭痛がするようになってました。

自分がこの曲で、何を伝えればいいのかわからない。
伝えるものが見つからない。

多分自分の中に、驕りがあったんでしょう。そんなに音程が難しい物でなければ、それなりの形には、歌える自信があったんです。
けれど今回、自分がいかに勉強不足で、いかに何も出来ていないか、本当に思い知らされました。

でもそこで、その作曲家の特徴、音楽としての形の整え方をピアニストさんに教えてもらえて。
そして不安の中で必死で向かい合って練習して。
やっと形にする事が出来た。

もちろん自分の中ではまだ全然、この曲の道筋は見えないけれど。
それでも形を整え、自分の伝えたい事を見つけ、それを歌で表現できるとこまで、もってこれた。←自分としては、ね

本当にうれしいです。

あきらめないで良かった。苦手だから、慣れていないからと言って投げ出さないで良かった。
私はまだ上達できる。
私は上手く歌えるようになれる。

努力って大事だなあ、と、当たり前の事に今更ながら気づかされました。
音楽は努力が必ずしも反映される世界ではないけれど、でもやっぱり私は積み重ねていきたい。
仮に、その歌で他者からの評価が得られなくても、やっぱり、自分の中で得られる事があるから。それは、何物にも代え難い喜びがあるから。

ちょっと自分の話になりますが。
私は本当に不器用な人間で、幼いころからどんなに努力しても、何も人並みにできませんでした。
けれど高校生の時に、努力すれば、できるようになる事がある事を知りました。
それが歌でした。
努力して、練習すれば、亀のような歩みですが、練習しただけ出来るようになる。こんな楽しい事はありませんでした。
音楽家になるには不純な動機かも知れませんが、私にとっては、人生の価値観を根底から覆す事でした。
努力が実る事があるなんて。

うれしくてうれしくて、人の何倍も何倍も練習しました。

そんなときの気持ちを忘れてました。

まだまだ私は努力が足りない。

逃げだしたい時や、逃げても構わない時もあるのかもしれないけど、やっぱり私は逃げださないで、受け止めていきたい。
失敗してもいいから、受け止めて、努力して、そして失敗しても、失敗の先も努力していけば、いつか何かが得られるはずだと信じています。そうすれば、失敗も努力の過程だと思えば、そうは辛くない。
何より怖いのは、失敗を恐れて踏み出さない事。努力をそこで止めてしまう事。
失敗を笑う奴は、笑わせておけばいい。その失敗を自分で次の努力の材料につなげればいいんだ。

そして、その上でレパートリーの慢心を恐れ、他者との馴れ合いを恐れ、挑戦は恐れず、ルーティンワークにならないようにし、自分を知るよう心がける。

生意気ですが、本当にこれはすぐに忘れてしまう。そんな自分だから、こうして書き留めておきたいです。

努力は決して裏切らないと信じて、積み重ねていきたいです。




コメント欄開きました♪よろしければ一言
ブログランキングに参加してます。ポチっと!クリックして下さいね~。