甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

「なんだこの敗北感はっ!」 10月7日   神保町花月『籠の城』

2008-10-08 01:33:39 | 神保町花月
まだまだ公演は続きますし、私の拙い文章では申し訳ないので、内容は書きません。
どうせ詳しく書かないならいいか、ということで、上がりきってしまったテンションのまま書いてしまうことにします。
ネタバレは避けますが、少しでも雰囲気を知ってしまうのが嫌だという方はご遠慮下さい。





あぁ、もう言いたいことはただ一つだけ、
最高!!
脚本が光って、演出が光って、一人ひとりの熱演が光って、本当に素敵なお芝居でした。
田所仁さんって、一体何者なんでしょうか。
かたつむり、最後先輩達に色々といじられていましたが(笑)、すごく頑張っていたと思いますよ。
池田さん、あの大事な所で噛んだの悔しかったんだろうなぁ。
犬の心だけのシーンが本当によかった。
そして、中盤の関町さんのセリフで、ちょっと泣いた(今月二回目)
言いたいことは一つと言っておきながら色々出てきましたが(笑)、とにかく最高で、とにかく素敵という言葉がぴったり当てはまるお芝居でした。
本当に行ってよかったです。
……明日からご覧になる方々のハードルを確実に上げてる気がしますが…(笑)
実際、賛否両論ある内容だとは思います。
でも、私にとっては本当によかったです。
これから回を重ねるにつれて、演者さん自身はもちろん、お芝居そのものが、どんどん成長していくんだろうなと思います。
その課程を見られないのはとても残念ですが、でも、今日見に行けたことに感謝します。



感動を与えてくれたことに感謝。
田所仁という天才が、この世に生まれたことに感謝。
押見さんが芸人の道を選んだことに感謝。
しずるが徴兵にとられていた時に(笑)、かたつむりが入ったことに感謝。
しずるが帰ってきてくれたことに感謝。
そして、カリカがシュール5を結成してくれたことに感謝。

この公演に関わった、全ての方に感謝。
「生きる」って何か、しっかり考えてみようって、そんな気持ちにさせられる公演でした。



(10月18日 追記)


楽日も過ぎましたので、個人的な感想を追記したいと思います。
もはや自分用のメモ書きで申しわけないですが、ご了承いただけると幸いです。



もう初めの村上さんが素晴らしい。
口調から表情から、「これからお芝居が始まりますよ~」って、一気に引き込まれた感じでした。
みなさんそれぞれ、ぴったりの役どころでしたが、一番ぴったりだと思ったのは村上さんでした。
これは、他の人にはなかなか出来ないと思うなぁ。このメンバー以外の人達を含めても。

中澤さん最高(笑)
あれだけバカっぽい役に徹せられるってすごいと思う。
「あんまり、頭がよさそうじゃないな」(笑)

「お前、めちゃめちゃ喋るな!」って言い方が、あっ、いつもの押見さんだ(笑)

ウミネコの、「今度から自己紹介の時に、そういうこと言ったらいいよ」っていうセリフが好きすぎる。
とってもシンプルで、飾らなくて、真っ直ぐな言葉。

関町さんのダンス輝いてたなぁ(笑)
ヤツガシラの「映画を見てみたいんだ!」辺りが、本当にダメでした。完全に泣きのスイッチ入ってしまいました。
そしてカリカ林さんがうますぎるんです。
「これは、あなたたちの大好きな命令です」で、背筋が凍りました。
まさか途中のウミネコのセリフが、ここで繋がるとは。
あそこは単純に押見さんの見せ場なのかと思っていたので、実際かなりかっこよかったので(私はそう思いました笑)、後で効いてくるとは思ってませんでした。

それでこの後ですよ!
押見さんの熱演が…すごく感情を持っていかれました。
全編を通して、とにかく押見さんが素晴らしかったです。
さらに誘われたのは、村上さんの
「わかんねぇよ。価値ある人生って何だよ?」
これが追い打ちをかけて、さらにイライラしているモズが、このどうしようもないもどかしさを伝えていて…
本当にこのシーンの3人上手すぎます!
そんな、あとちょっとで号泣してしまいそうだ…っていう時に、ぴったり笑いどころを持って来るのでねぇ(笑)
しかも、あれはねぇ(笑)

全体を通して、ところどころ重要な所で噛んでしまっていたのが、ちょっともったいなかったかなぁと思います。
最初の村上さんは、ちょっと崩れたけどぐっと持ち直した感じ。
あと、途中の中澤さんが惜しかった。
そして、このシーンの直後の池田さん。
噛んでちょっとグダクダになってしまっていました。
でもこれは仕方ないですよね!きっとあんなにいいシーンの後で、すごく緊張されたんだと思います。
ただ池田さんは相当悔しかったらしく、終演後「噛んで申し訳ございません!!」と土下座しながら、一人で客出ししていました(笑)
けれどこれ以外は、池田さん本当に素敵だったんです。
あの気持ち悪い笑顔も(笑)、捕まった時の「よく気づいたねぇ」も。

ヤツガシラの時と評価の時が、対応するようになっているんですね。
色が逆転しているので、視覚的にもおもしろかったです。
家城さんは、こういう些細なところで遊びを加えていて、楽しいところが何箇所もありました。

始めの映像で、一番印象に残ったのが「なんだこの敗北感はっ!」というセリフで、これを見てテンションがかなり上がったんです。
どんなストーリーになるんだろう、これがどこで使われるんだろう、と気になっていたんですが、まさか城側の人間の言葉とは。
一番期待を裏切られたので、一番印象的でした。
他にも好きなセリフは山のようにあるのですが、あまり内容に触れたくはなかったので、今回の記事のタイトルはこれにしました。
いや~裏切られた。

で、林さん楽しそうだ。
鳥6匹とか絶対面白がってる。
マシンガンのところとか絶対はしゃいでる。
ちょっと押見さん笑いそうになってたもん(笑)
「撃ちましたよ~?」

最後、犬の心だけのシーンいいなぁ。すごくいいなぁ。
池谷さんが本当に素敵。
そう、そうなんだよね。
後から考えてみたら、伝達だけあまり感情をあらわにしていなくて、とても淡白な感じがしていて、すごく不思議なんですよね。おかしいんですよね。
その理由が、最後の最後に明かされるとは。
トークライブではここを笑いどころにしたかったと言っていたそうですが、こちらとしては全然笑いどころに見えませんでした。
なんだか切なくて、でも味わい深くて。



開演直前に、入ってこられた若い男の人が二人。
ちらっと見て、一人はわかりました。LLR伊藤さん。
もう一人は本当に少ししか見えなかったので確信がなかったのですが、でも、あの方だと思いました。
振り返って確認。
そこにいらっしゃったのは、脚本家・田所先生。
びっくりしました!
普通に客席で観るんだ……。
途中で田所先生の笑い声がすごく聞こえてくることもあったりして、なんだかいいなと思いました。
自分の作品がこうやって形になっているのを観るのって、うれしいんだろうな。



私としては、ストーリーが結構、意外、でした。
なぜならこれが、田所仁脚本だから。
私はもっと、つきぬけたシュールや、ブラックなテイストのものを持ってくると勝手に思っていました。
だって、AGEAGEの妖精の印象が強くて……(笑)
でも実際は、とても壮大なテーマで、とても温かくて、とてもメッセージ性にあふれた作品でした。
驚きました。
そして、自分の今までとこれからを、ちょっと考えさせられました。
海とか山とかがどれくらい大きいかを知っている私って、幸せなんですね。
新しい気持ちで自分の前の壁を見たら、何か変わっているかな。




DVD化はしないと明言されたそうです。
ただ、ポイズンを加え、脚本を直して、大阪で再演するかもしれないと。
今のところ実現する可能性は低いそうですが、私は期待しますよ。
何度でも観たい、何度でもこの空気を味わいたいと思いましたから。
本当に再演してくれるなら、日本全国どこへでも行くよっ。




10月7日~10月13日
神保町花月 『籠の城』

ウミネコ   押見泰憲
ヤマシギ   村上純
モズ     林大介
ヤツガシラ  関町知弘

伝達     池谷賢二
評価     池田一真
監視     中澤章吾
刑罰     林克治


脚本     田所仁
演出     家城啓之