甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

11月24日 日本コント学会

2012-12-02 00:48:09 | ライブ感想♪
さらば青春の光が企画するコントライブ。
ゲストに、うしろシティ、かもめんたるを迎え、最高に豪華な布陣。
これだけでもすごく楽しみなのに、実際のライブはその期待値を遥かに超えてきました。
毎度申し訳ないですが、レポではなく、感想をざーっと書いていきます。
あぁ、もう一度見たいなあ。


・ OPコント 医局
白衣姿の森田・東口の二人がすれ違い、背中越しに話し始める。
「森田先生、いつまで金にならない研究を続けるつもりですか?
 私たちも、慈善事業でやってるわけじゃないんだ」
「続けますよ…。私は、人を救うために医者になったんだ!」
初めからがっつり芝居をするさらばの二人が見れて、もう嬉しくて嬉しくて!
緊張感のあるシリアスな演技、とてもかっこよかった。
そこから、色々な人物が入れ替わり立ち替わり登場し、OPコントにふさわしいにぎやかな感じに。
個人的には、名前を間違えまくる槙尾先生と、全力でモップをかける清掃員の金子さんがツボ(笑)


・OPVTR


・さらば青春の光 ギャング
とってもシュールなのに、全体的な雰囲気はすっごいポップ。
結局東口さんが最初から最後まで謎すぎる(笑)


・かもめんたる 白い靴下
もちろんネタ全体がいいんですが、とにかくオチが!秀逸すぎる…!
ありがちといえばありがちな感じなのに、それでもここまで怖くなるのはすごいですね。
なんとも言えない後味の悪さで、しばらく鳥肌がおさまらなかった……。
こういう、オチで全てを持っていくみたいなネタを久しぶりに見たので、とても衝撃的でした。


・うしろシティ 美容室
かもめんたるで、客席のざわざわ感がおさまらない中だったんですが(笑)、
でもそこはしっかり落ちつけて、冒頭で自分達の空気を整えて、お客さんを引きこむ。
演芸大賞で見てから、ずっともう一度生で見たいと思い続けていたので、今回見れて本当に嬉しかった!
もちろんテレビでも面白いけれど、やはりこのネタは生で見ると格別ですね。
客席まで巻き込んで、自分達も二人と同じように、ケンジとユウスケの会話に耳を傾けて、
この先どうなるんだろうとドキドキして。
今回は演芸大賞の時よりもさらにパワーアップしていて、頭の向きを直すところも回数が増えていたり、
金子さんが切っちゃった髪を隠蔽しようとしたり、「お疲れ様でしたー!」で床にへたりこんだり(笑)
何度見てもいいネタ。本当に楽しいなぁ。


・さらば青春の光×阿諏訪
 『クレーマー』
ここからは、さらばに一人ずつ加えたトリオネタを披露。
阿諏訪さん以外の3人は、普段よくコントでやっているキャラという感じがしたのですが、
阿諏訪さんは、普段だったら金子さんがやりそうなキャラのように思えました。
本人には悪気はないのに、どんどん周りを振り回してしまうという(笑)
あまり普段見れないタイプのような気がして面白かったです。


・さらば青春の光×う大
 『ケンカ』
これ素晴らしくよかったなぁ。
まさに、さらば青春の光といえばこういうコント、っていう感じがしました。
「ここで笑ってください」という明示的な説明は一切ないのに、
みんなが、あぁこういうコントなんだと気付いて、じわじわ笑いが広がっていく。
う大さんのイヤミなキャラクターもハマっていた。
それと、野球をdisる流れのときに、う大さんがどうやらアドリブを入れていたみたいで、それも最高に面白かった。
「木の棒で、球を打って、走って、何か踏んで(←たぶんベースのこと)」
思わず笑いをこらえ切れなくなって、後ろを向く東口さん(笑)


・ギャング コント学会バージョン
 (森田・東口・阿諏訪・槙尾)
ここからの3本は、それぞれの本ネタに他のメンバーが加わった、コント学会特別バージョンのネタ。
このコントは、人数が増え、さらに楽しくて華やかになった感じ。
阿諏訪さんのギターも、3人のダンスもとってもよかったー!
ここでしか見れないもの見たー!!


・白い靴下 コント学会バージョン
 (槙尾・う大・金子・東口)
う大さんと金子さんの関係性が…本当に怖い…!!(笑)
そして、その後の金子さんの豹変っぷりがさらに怖い!!(笑)
かもめんたるの本ネタとは、また違った怖さを味わった気がしました。


・美容室 コント学会バージョン
 (金子・阿諏訪・う大・森田)
森田「おい、ケンジ!!」
う大「ユウスケ……」
森田「何やってんだよ!」
う大「見りゃわかるだろ?仕事してんだよ」
森田「そんなこと聞いてんじゃねぇよ!!」
もう、最初の一言で森田さんが登場してからのわくわく感、なんて言ったらいいだろう!
あのコントの、音声だけで想像していた世界が、二人の手によって具現化されていく…!
……と思ったら、思いもよらぬシュールな方向になっていきました(笑)
店長とお客さんが、隣を気になっていた本当の理由はこれだったのか(笑)
すごいよなぁ、台詞はほとんど一緒なのに、
あのドラマチックなコントが、動きだけでここまでシュールなコントになるなんてね(笑)


・さらば青春の光×金子
 『ホームルーム』
全体的にそうなんですが、やっぱりさらばのネタって始まりがすごくいいですよね。
このネタも、東口さんの影のある感じと、それを明るく励ます森田さんの友情がすごくよくて。
そこに登場するあのグラサン先生(笑)
お馴染みのキャラが、さらばとの絡みによってまた新しいエピソードを作ったね。
この先生、毎年接するクラスによって色々問題を起こしてるんだろうなぁ(笑)
そんなところが想像出来ちゃうのもまた楽しい。


・さらば青春の光×槙尾
 『カミングアウト』
東口さんの女好きキャラ全開!!(笑)
「女としてしかみられへん…」って言って、にやっと笑ったところで、客席の空気が変わりましたね(笑)
あー、ホントにゲスいコント!!(笑)
そしてとにかく、槙尾さんの女装が美しすぎて…!!
もう、女装として綺麗とかそういう問題ではない。
普通に女性として綺麗(笑)
あまりの違和感のなさにびっくりしてしまいました。
さらにすごいなと思ったのは、お父さんに告白された時に、「それだけですか?」とちょっと不服そうにしているところ。
物足りないと訴えたい、揺れる女心が忠実に表現されていて。
演技力という言葉で片付けていいのだろうか(笑)
とにかく槙尾さんすごかったなぁ。
全体としても、かなりキツい内容で、多分台本の文字を追っていくだけだったら絶対に笑えないと思うのですが(笑)、
それがちゃんと笑いに昇華されているのは、3人の表情や口調があってこそですよね。
森田「あっき!悪の鬼と書いて、悪鬼!!」(笑)


・『打ち上げ』(全員)
全員のキャラがいかんなく発揮されていて、最後にふさわしいとっても濃くて豪華なコント!
なんだかかわいそうな役回りになってしまう森田さん、
世渡り上手でエースの称号を手にする東口さん、
雰囲気あるプロジェクトリーダーのう大さん、
ピュアすぎて周りを振り回してしまう金子さん、
上手くやってたはずなのに顔が死んでる阿諏訪さん、
そして、紅一点、こういう女の子いそう!というまたまたリアルすぎる女装で登場の槙尾さん(笑)
それぞれのやりとりが複雑に絡み合って、どんどんこのメンバーでしかできない笑いが生まれて行く。
ゲスいオチも合わせて(笑)、最高に楽しくて盛り上がるコントでした!!



「もったいない!!」
ライブが終わった直後、何よりもまず思ったのはこれでした。
こんな最高に楽しくて素晴らしいライブが、たった1回で、たった120人しか見れなかったなんて、
本当に本当にもったいない!!
せめて、あと1公演だけでも増やしてよかったんじゃないかなぁ……。
あまりにこの思いが強すぎて、アンケートに「本当にもったいないと思います」って3回くらい書いた(笑)

今回の出演者、もちろんみんな最高に面白かったのですが、
やっぱり、特にさらばのお二人の印象が一番強いです。
さらば青春の光の企画ライブなので、さらばの二人が基本で、それぞれ出なかったコントは1本だけ。
それ以外はずっと出ずっぱりなのですが、どのコントも当たり前のように色んなキャラクターをこなしていっていました。

こういう言い方は、安直なのであまりしたくはないのですが、それでも言わせてもらうとすれば、
森田さんって本当に、すごい才能がある人なんだと思う。
『ケンカ』のところの感想にも書いたけれど、さらばのネタって、明示的な説明やツッコミがないものが多くて、
観客それぞれが、「あぁ、こういうコントなんだ」と気付いて笑っていく。
真面目にシリアスに、一切笑いがない緊張感漂う導入が多くて、
だけども、初めの笑いが来るところから、ちゃんとコントの空気になる。
強く強くぴーんと張った緊張の糸を、はさみでパチンと切るように、一気に笑いが広がるのが、さらばのコント魅力じゃないかと思います。
でもこんなネタ、誰でも書けるかって言ったらそんなことはなくて、かなり斬新で攻めてることをやってる。
なのに、それを感じさせないように、親しみやすいポップな演じ方。
森田さんって、本当はもっとカリスマ扱いされるべき人なんだと思う。
でも、自分がかわいそうな役のネタばっかり書くから、あまりそれが外に伝わってないんじゃないかなあなんて(笑)
そして、東口さんのブレない演技もまた、さらばのコントの魅力だなぁと改めて感じました。
特に『ホームルーム』では、先生あんなに変な人なのに(笑)、そこには揺られずに徹底的に幸の薄い生徒。
「お芝居」から「コント」へのスイッチがパチンと切り替わるのがさらばのネタだと思うんだけど、
東口さんは淡々と自分のポジションを貫いているから、スイッチが替わって、森田さんがコントっぽい演技になっても、
すごく見やすいんだろうなぁと思うんですよね。
コンビの中で、きれいにバランスがとれているんだろうなと感じるところです。


「いつまで金にならないことを続けるつもりですか?
 私たちも、慈善事業でやってるわけじゃないんだ」
OPコントでのこの東口さんの台詞。
もちろん、コントの中での台詞なんだけれども、このライブ自体のことと重ね合わせてしまった。
さらに、翌朝の東口さんのこのツイート。


さらば青春の光 東口 @sarabahigasi
一夜明けて改めてコント学会、すごい良かったと思うなぁ。う大さんの「サークルの頃の良い意味で楽しいお笑い」確かにその通りのお言葉。忘れがちな気持ちを思い出しますね。初心というかね。生活かかると余計に。 via Twipple for Android
2012.11.25 06:17


この一つのライブのために、何回も打ち合わせして、深夜稽古して。
事務所も拠点も違う3組は、スケジュールを合わせるのも大変だったと思う。
お金だけではなく、かかった時間という観点からしても、割に合わないところがたくさんあるんだと思う。
商業である以上、きれいごとだけではやっていけない。
それでも、このライブに出ていた芸人さん達の思いは、ただ面白いこと、楽しいことをやりたいという、シンプルなものであるように感じられた。
そしてその情熱は、客席にもダイレクトに伝わってきた。
きれいごとだけではやっていけないけど、でもさ。
結局、本当に大切なことは、本当に人の気持ちを動かすのは、そういう純粋で熱い想いのような気がしたんだ。
客席の熱は、ある意味、それぞれの芸人さんの単独ライブよりも高まっている気がした。
それは、これだけの芸人さんが集まって、これだけネタを練ったユニットライブをやるのは、
単独よりもさらに大変で、貴重なことだと感じていたからじゃないかな。
本当に素敵なライブを、素敵な時間を、ありがとうございました。