甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

8月11日 さらば青春の光単独公演『野良野良』

2013-09-04 02:35:04 | 単独ライブ
・OPコント 路地裏
借金の取り立て(森田)に必死に謝っている男(東口)
男に殴りかかろうとすると、
東口「やめてください、どうか、どうか顔だけはやめてください!!」
森田「……それ何?」
東口「顔だけはやめてください!!」
森田「そこまで言うなら、こっちも言わせてもらうけど……、そないやで?」

さらば青春の光というコンビをとっても端的に表現しているいいコント(笑)
自己紹介的というか、言ってしまえばこの単独用、OP用のネタだろうに、
それでも3回公演で全部セリフやくだりを増やしていて、千秋楽が一番いい出来っていうことを普通に出来ちゃう二人。
どんなところでも手を抜かないんだなぁ。


・OPVTR
このVTRめっちゃよかった!本当によかったー!!
ポスターと同じ格好をした二人が、コントのタイトルが書かれたダンボールを街の中に落としていく。
それを拾うのは、そのコントの衣装を着た二人。
つまり、各コントの登場人物がOPVTRに登場するような感じと言ったらいいのかな。
もうこれが、本当に、わくわくが止まらなかった!!
元々私は、プラン9の九馬さんが主宰されている「月刊コント」というライブが大好きで。
そのライブは、各コンビのネタが、最後の合同コントでつながっていくという感じなのですが、
コントの中の人物が、その枠を超えて新しいストーリーの中で動き出す感じが、とってもわくわくして好きなんです。
今回もそれと同じようなことを感じた。
どのコントも、森田さんと東口さんが演じているのには変わりがないし、二人だからこその個性が出てくるものですけども、
それでも、「そこにその人物が本当に存在している」という感覚になる。
こういうことができるのはすごいと思うし、
そういうコント師しか好きになれないんだろうなぁ私は。


・早食い
<これっすか?いけそうっすけどねぇ?>
このネタは、7月の「まっさら」が初出し。(あーこの感想書けてないなー)
初めの笑いが来る場所での、面白さと同時に、「そういうことかー!」という気持ちよさ。
笑うのと同時に、なんて人達なんだろうと感嘆してしまう。
ネタの冒頭を見て、客の頭になんとなく浮かぶ「こういう仕掛けなんじゃないかな」ということを、
森田さんが自ら先に言ってしまって、そして東口さんが否定して、その選択肢を消してしまう。
「じゃあなんだろう?」と、いやがおうにも客のハードルを上げておいて、
それを楽々飛び越えてくるんだもんなぁ。
いいところで挟み込まれてくる東口さんのセリフも完璧。
今回の単独ももちろんいいネタばっかりでしたが、二人の才能を一番感じたのはこのネタだったかもしれません。


*ブリッジ漫才 バカにしたやつを見返す
舞台上にはサンパチマイク、「どうもー」と出てくる二人。ここまではまあ普通。
ところが漫才の冒頭、
森田「今回はね、ブリッジが漫才ということで――」
……いや、おかしい(笑)
それはただただ漫才をやっているわけで、ブリッジとは言わないよ(笑)
というわけで、今回の単独は、ストイックにブリッジを漫才と言い張り、3本やりきっていました。
初日公演では、森田さんの発言に、なぜかにやにや笑っている東口さん。
森田「なに?二人で決めたことやろ?」
東口「まあそうやね。事務所のこともね」
森田「え?なんですか?」
東口「事務所やめるってこともね」
森田「それはお前が勝手に決めた」
またそういうこと言って(苦笑)

今回の漫才3本の中で、私が一番好きだったのはこれでした。本当に大好き!
基本になるフレーズは「バカにしたやつを見返さんと」というこれだけなのに、これを使ってどんどん多彩にストーリーが変化して行く。
東口さんが全く感情が見えない役に徹しているのがいいと思う。
森田さんの、直接言うわけではない、呟くようなツッコミも素敵だった。
あと、中盤の「芸歴だけ重ねて~」っていうくだりは、多方面への嫌味を含んでいて、その性格の悪さに大笑いしてしまいました(笑)


・監禁
<やっと目が覚めたか……>
あーしつこい!ひたすらしつこいネタ!!(笑)
でも、それが飽きるに変わることはなくて、絶妙な間とタイミングで次々と新しい展開が出てくるから、
最後までずっと楽しませてもらいました。
さらばのコントは、簡単に言うと「振り回す側と振り回される側」に分かれると思うんですが、
その振り回す側に悪意がなくて、でも振り回される側はきれいに振り回されて、かわいそうになってしまう、
っていうコントほど面白さが増してくる感じがします。


・忘れ物
<探してもらえないですかね?>
個人的に言わせてもらうと、若干ハマらなかったコント。
いや、正式に言うと、細部がどうも引っかかってしまってあまり入りこめなかったというか。
例えば森田さんのセリフに、「ボケとかじゃなくてー!」っていうのがあるんですが、
この状況で東京人は「それボケてるでしょ?」とは聞かないんじゃないかなぁなんて。ノリの違い。
あと、同じく森田さんで「表参道でやらせてもらってるオシャレな店」みたいなセリフがあったと思うのですが、
普通、表参道に、こんな関西弁バリバリの店長のお店なんてあるかなぁとか(笑)
多分、もっと若手のコンビのネタを見たら、そんなところまで気にならないんじゃないかと思う。
でもやっぱ、さらば青春の光だから。
他のコンビに求めるレベルとはちょっと違う。
普段、そういう細かい違和感をほとんど感じさせずにいさせてくれる人達だから、余計に気になってしまうのかもしれません。
それにしてもちょっと細かいかもしれないけど。
ただもちろん本筋のストーリーはとっても面白かったです。
東口さんの、ピュアなのにイタいキャラは天下一品だなぁ。



*ブリッジ漫才 刑事ドラマ
6月のまっさらで初出し。
このネタは、東口さんの初めの笑いどころのセリフでどれだけウケるかで、後の空気もだいぶ変わってきますねぇ。
ちょっとイチかバチかみたいなところもあるかもしれない。
あと私は勝手に、東口さんの「それ何が面白いの?」っていうセリフが、なんとも性格悪くて大好きなんですが(笑)、
このくだりを入れたのは初日だけでした。ちょっと残念。
これを漫才ライブとかでやったら、あちこちから嫌われるだろうなあ(笑)


・食い逃げ
<……皿洗いせぇ!>
こちらも6月のまっさらより。
だいぶくだりが厳選されてて、スッキリ見れるようになっていた感じがしました。
最初の方の何気ないセリフがフリになっていたりして、こういう見せ方本当に上手いなぁ。


・気功
<空手の方が強いってところ見せたる!>
最高に面白かったー!
大好きなネタだなって飛び跳ねたくなるくらい好みでした。
同じことの繰り返しのように見えるけども、きれいに起承転結で一本のストーリーが見える感じ。
二人の息がぴったりで、本当に気功で動かしている、動かされているように見せることができるのもすごい。
そして、急激な角度からの下ネタオチ(笑)いいですけど(笑)
ばかばかしいのに上手い。親しみやすいのにすごいことやってる。


*ブリッジ漫才 どう思う?
こちらも7月のまっさらより。
振り回される森田さんの表情が豊かでとってもかわいらしいなぁ。
「夏の森田フェア!?」


・Rock
<そんな人生幸せですか?>
今回の単独、全てのネタ本当に面白かったし、客席もよく沸いていたんだけど、
このネタはちょっともう、明らかに飛び抜けていた。
ウケ具合のレベルが違った。
笑い声のボリューム…ともちょっと違う。
笑い声の、重さが違った。
それを肌で感じた。
このブログを書いている現在、彼らがKOC予選にこのネタで挑んだことを知っている今だからこそ言ってしまうけど、
もしかしたら、今回の単独は、このネタを試したいがためにやったんじゃなかろうか。
どのネタもみんな面白いのに、それすらもこのネタの前座のような扱いにしてしまうような。
それくらいすごい爆発力でした。
そしてもう一つ、すごいなと思ったところ。
私は正直なところ、初日にこのネタを見たときには、そこまで好きではありませんでした。
もちろん面白いけども、まだちょっとやりとりが定まっていなくてふわふわしているところが若干あったように感じられたし、
それに、ちょっと森田さんきっかけのセリフが多いと思ってしまって。
東口さんきっかけのくだりが、もう少しあればいいのになぁと感じていました。
そうじゃなきゃ、せっかく面白いのに、あまりにも森田さんばかりだとワンマンになってしまう。
という考えを持ちながら、次の日の日曜の昼夜どちらも見たのですが、
前日に私が気になっていたところを、まさにその通りに修正してきていて、東口さんきっかけが増えて。
そうそう、こういう感じが見たかったんだ!って思った。
さらばに関して、彼らの所属とか処遇に関する安心感はまるでないけれど、
きっと面白いものを見せてくれるだろう、さらに面白いものを見せてくれるだろうっていう安心感は揺るがない。
本当にすごい人達だ。


・EDVTR
「映像制作 AD石尾」の文字に心が躍る!(笑)
素敵なVTRを作って頂いてありがとうございました!!
日曜日よりの使者に合わせて、街へ飛び出していった野良二匹。


・エンディング



前回の単独の時には、色々な意味合いがどうしても出てきてしまうし、こちらもどうしても構えて見てしまっていたし、
もちろんそれは忘れられない単独ライブになったのですが。
でも今回は、純粋に、楽しそうに、全力で思い切りネタを披露し続ける二人を見て、
当たり前だけど、舞台の上が一番似合う人達だなぁなんて、改めて感じてしまった。
パワーあふれる単独ライブ、とってもよかったです。

私が今までメインで好きになった人は、そこまで闘志をあらわにする人達ではなかった。
だから今回の単独で、
森田「賞レースを意識して、ネタ時間も短めに」
とか、
東口「この中から賞レースでやるかもしれませんので、アンケートにぜひ好きなネタを書いて下さい」
とか言っている二人を見て、
本当に賞レースしか見据えていない二人に、心がひりひりした。
今まで私、こういう人達好きになったことないから、すごくすごくドキドキしてしまう。
ただ、まぁ、私に出来ることは、面白いもの見に行って、自分が楽しむことだけなんだけどもね。

さて、彼らの2013年の夏は、どんな夏になるだろう。
どんな結果で、この夏の終わりを迎えるだろう。