甘酸っぱい日々

面白くても何ともならない世界で 何とかしようとする人達のために

主役はこの3組、この9人

2014-06-09 01:13:33 | お笑い全般
ジューシーズ・パンサー・ジャングルポケットの3組が、毎週色々な企画に挑戦していく番組、333(トリオさん)。
2010年の10月に番組が始まり、もう3年半が経過しました。
私は、録画失敗した時以外(笑)、毎週見ているのですが、
ライブの感想を書くだけで精一杯で、改めてこのブログで触れるということは今まであまりありませんでした。
でも、先週・今週と放送された特別企画の、『333 夜のピクニック』回が、なんだかとてもとても素敵な回だったので、
この機会に改めて、トリオさんについて書いてみようかなと思い、今回書かせて頂きます。


『333夜のピクニック』がどういう企画だったかというと、恩田陸さんの有名小説『夜のピクニック』になぞらえて、
9人がそれぞれ3グループに分かれ、深夜の街をひたすら歩くというもの。
夜10時に六本木のテレビ朝日を出発し、7時間後の翌朝の日の出までに、15km離れた若洲海浜公園まで辿り着くのを目標とします。
それぞれのグループは、やいやい言い争ったり、くだらないノリで盛り上がったり、歩き続けて疲労がたまったりしながらも、
次第に、番組への感謝や自分達のトリオのこと、将来のことを、飾らずに赤裸々に語り始めていく…という感じ。
夜の街を歩くという非日常体験のワクワク感も重なり、楽しみながらも、なんだか味わい深い回となりました。
「テレ朝動画」というサイトの、「333タダネット」というところで、未公開シーンが配信されていますので、
それを見て、もし、見逃した方、そして放送地域外の方で、「面白そう」と思った方がいたら、ぜひ本放送を購入して見て頂けたらな…と…。
視聴可能な地域にいて、タダで見れている私が言うのも、なんだか申し訳ないんですけども。
加えて、まるで関係者のような立場で言ってますが、関係者でもなんでもなくただのファンなんですけども。


メンバーは、
Aチーム:菅・太田・松橋
Bチーム:向井・児玉・斉藤
Cチーム:尾形・赤羽・武山
という3つに分かれるのですが、このグループ分けがまた絶妙。
それぞれのチームに、しっかりとカラーが表れているんです。
各トリオのネタ作り担当が集まった「頭脳派」のAチームは、
自分達のトリオのこととか、トリオさん内でのメンバーの立ち位置などを真面目に語り合っていく。
東京タワーを見ながら静かにカッコよく黄昏ることも、恥ずかしがることなく出来ちゃうタイプ。
一方Bチームは、終始テンション高めで、3人仲良くおしゃべりしながら、テレビ的・バラエティ的なトーク、見せ場を作るのが本当に上手い。
コンビニで飲み物を買い出しに行く時に、自分達の分だけではなくスタッフさんの分も購入して、
「他のチームじゃこういうことはできないでしょ~」と笑ったり。
これで、他のチームが実際にスタッフさんの分を買っているかどうかは問題ではない。どっちに転んでも面白いですもんね。
こういう発言をしている、ということ自体が、番組の見せ場を作っている。
そして、各トリオのポンコツ的な3人が集まってしまった、ズッコケ3人組のようなCチーム(笑)
「ベタなボケをしたら1ポイント」というゲームをしたり、歌いながら歩いたり、あいうえお作文を始めたりと自由奔放(笑)
でも、赤羽さんが痛風が出てしまって歩けなくなってしまった時に、過剰に責めたてたりすることなく、
ぶつぶつ言いながらも肩を組んで歩くことができるのは、尾形さんと武山さんだからこそだったんだろうな。
何よりもこうやって、各チームを絶妙に振り分けて、それぞれのチームに色をつけることができるのは、
3組を3年半見守って来たスタッフさんが積み上げてきた、信頼感の賜物なんだろうなと感じて。
「彼らにしかできないこと」をやらせてくれているんだなと感じて。



例えば、賞レースとかで、自分の芸人さんがいい結果を残し、テレビにどんどん呼ばれるようになり、芸人さんの軸足がライブからテレビに移り始めている時に、
「売れ始めちゃうと寂しい」「ずっとこのままでいてほしかった」
なんて思ってしまうファン心理は、いつの時代も一定数あるのではないかと思います。
その理由は様々で、
ずっと近くで見ていた芸人さんが遠くに行ってしまって、自分が育てた訳じゃないのに、息子が巣立つのを見届ける親みたいになってしまうのとか、
あるいは、ライブに出てくれなくなって、ライブで近い距離で見れたり、出待ちでお話ししていたことが出来なくなってしまうとか、そういう物理的要因もあるでしょう。
私も、そういう気持ちも少しあるのですが、
何より一番「売れ始めちゃって寂しい」と感じるのは、芸人さん達が、
別に、その芸人さんじゃなくてもいい場所に行ってしまう、というところです。

芸人さんは、色々な場所で結果を残して、最終的にはテレビの世界で「バラエティタレント」になることを目指している方が多いと思います。
でも、芸人さん達が目指している、最近のテレビ界の中に、「この芸人さんじゃなきゃダメ」って番組ってどれほどあるんでしょうか。
最近のテレビ番組は、クイズやグルメや雑学、世界の衝撃映像……みたいなものばかり。
どこのチャンネルを回しても、いまいち変わり映えがしなくて、今見たいバラエティって、正直、あまりないです。
もちろんそれは、何でもかんでもクレームを入れる視聴者とか、スポンサーへの配慮とか、
様々な事情でこういう状況になってるとは思うので、すべてテレビ制作側の責任にするつもりはないのですが。
けれど、そういう無難で、同じような番組ばかりで、
芸人さんは呼ばれても映像を見ながらワイプの顔を作るばかりで、スタジオでのコメントも数回しか振られなくて、
そんなところに、その芸人さんじゃなきゃいけない理由ってあるの?
ただ、誰でもいいから、とりあえず話題性がある人を呼んで、適当にコメントさせてるだけじゃないの?
そんなところに行ってしまうなら、ライブの世界を卒業しないでほしい。
ライブの世界で、その芸人さん達が見たくて集まっている、「あなたじゃなきゃダメなんだ」って思っているファンの人達の前で、ずっと主役でいてほしい。
……まぁ、こんなことはファンの理想論で、現実はもっとシビアで、
こんな事情はわかっているけどそれでもテレビで売れたいんだと思う人や、
現実的にライブだけじゃ食べていけないからテレビの世界に行きたいと思う人もいるんだろうな。
私だって、ここで色々書いてるけど、そんなこと言って、芸人さんの人生の責任が取れるのかって言われたら、出来ないし。

そんなテレビ界の中だけど、トリオさんは違う。
スタッフさん達の、「この3組じゃなきゃダメなんだ」「この3組を育てたい」っていう、
厳しいけど深い愛情が伝わってくる。
トリオさんメンバーのファンの方が本当にうらやましい。
それは、単にレギュラー番組があるからではなくて、
この3組が主役で、この3組のための、9人のための番組だからだ。
もう番組が始まって3年半、お互いのいいところも悪いところも知り尽くしている9人が、
もがきながら、悩みながら、時には罵り合いながら(笑)、
それでも自分にしかないカラーを模索して、成長していくのを見守ることができる番組だからだ。
本当にうらやましい。
極端なことを言えば、今後爆発的に売れる新人コンビが出てきたとして、
たくさんレギュラーを獲得することが出来たとしても、
たった一本、トリオさんのように、その芸人さんが主役の番組を持たせてもらうことは、
数多のレギュラー番組を獲得する事より、難しいかもしれないよ。

放送開始から3年半、時間帯は上がるどころか、ちょっと下がってるけど(笑)、
でも、この雰囲気を残してくれるなら、それでもいいよ。
このまま息の長い番組として続いてほしいな。
こういう若手ユニット番組って、ゴールデンに進出してしまうと、その芸人さん達だけだと物足りないと考える人達が出てくる。
だから、番宣の芸能人ゲストをガンガン呼ぶようになる。
その結果、例えば「今週は、あの有名女優がコントに挑戦!!」みたいな煽り文句ばかりで、
芸人さんが主役の番組ではなくなってしまうんだよね。
そうなってしまうくらいなら、今のままでいいよ。
でも、いつかは、少しずつでいいから、時間帯が上がっていって、
この雰囲気のまま、この9人のまま、もっと多くの人に知ってもらえて、
9人ごと、番組ごと、愛されるようになるといいですね。
成長する9人の姿に、夢を乗せて。
今の時代に貴重になってしまった、「夢を見させてくれるテレビ」は、ここにある。



  向井「トリオさんってさ、収録中にノリで罵り合うじゃん。意外と気にしてるよね、みんな(笑)」
  斉藤「でも、そういう場所でいいかなってオレは思う。トリオさんは」
  児玉「……うーん、まぁ、『応援してる』じゃないけどさ、『愛』じゃないけどさ、そういうことだろ?」
  斉藤「まぁ、ライバルだって言っても、なんとかみんなさ、平等に売れていきたいじゃない」

(14/5/31 『333夜のピクニック』前篇 Bチーム3人の会話より)






333(トリオさん)1 [DVD]
よしもとアール・アンド・シー




333(トリオさん)2[DVD]
よしもとアール・アンド・シー



333(トリオさん)3 [DVD]
よしもとアール・アンド・シー