現像所へ勤めはじめて
少したった頃..
集配で走り回っていた僕は
難しい問題に直面した
そのお店は支払いがたまっていて
「金をもらうまで絶対に渡すな。」
「はい。分かりました。」
集合写真のたばを持って出かけた
☆****☆
ところが、
世の中そう うまくはいかない
お店に行くとご主人が出かけていて
竹久夢二の絵画みたいな奥さんか現れた
「現金でいただかないと渡せないんです。」
渡すのをためらっててると
「お願いします。
それを届けないとお金が払えません。」
「OO日に必ず払いますから
どうか お願いします。」、
そう言うと 奥さんが突然泣き出した
「ぅわっ、どうしよう。」
びっくりして
僕は..
あまりに可哀想で
それに綺麗だったんで....、
「分かりました。また集金に伺います。」
と帰ってきてしまった
「何をやってるんだ。持ち帰れって言っただろう。」
「すみませんでした。」
その後、何度か集金に通ったが
お店はついに潰れてしまった
☆****☆
あの時、
僕は持ち帰らなくてよかったと思っている
持ち帰っても
プリントはゴミで燃やされるだけだし
写っていた人はきっと
見て喜んだだろう
それに 泣いていたあの奥さんの
笑顔が見られたし..