朝日新聞2010・4・13 より、井上ひさしさんの追悼文(演劇評論家・扇田昭彦氏)の一部と、関係者の声です。
------笑いの底 不条理への怒り------------------------------
氏はいつも笑い、あるいは喜劇という方法を使って日本の社会と歴史と人間に正面から向き合う書き手だった。(中略)
「手鎖心中」 「吉里吉里人」をはじめとする数々の小説、「藪原検校」「化粧」 「頭痛肩こり樋口一葉」 「父と暮らせば」
などの多くの戯曲は、時間の風化に耐えていつまでも残るだろう。
喜劇とは複眼の思考である。 書く対象を喜劇化すると同時に、自分自身をも相対化する。
だから深刻な問題を使う場合でも、氏の表現にはいつも笑いの感覚があり、それが私たちをくつろがせた。
ただし、氏の笑いの底には不条理な現実に対する黒い怒りが潜んでいたように思われる。
(中略)
氏の作品はどれも分かりやすく、面白く、ユーモアがあり、観客を驚かせる趣向を凝らしていた。
「表裏源内蛙合戦」 「太鼓たたいて笛吹いて」のような優れた音楽劇も多かった。
つまり、大衆娯楽性と豊かな知性の融合。
その点で氏の作品は、あらゆる階層の観客を楽しませたシェークスピア劇の幅広さに通じるところがある。
(中略)
日本の劇作家の多くは若いころに代表作を書いてしまうが、井上氏はまるで元気な活火山のように、70歳代に入っても、「ムサシ」
「組曲虐殺」のような意欲的な秀作を発表し続けた。
作家チェーホフの生涯を書いた井上氏の晩年の音楽劇「ロマンス」に、主人公が語る印象的なせりふがある。
人間は「あらかじめその内側に、苦しみをそなえて生れ落ちる」。
だが、笑いは「ひとが自分の手で自分の外側でつくり出して」いかなければならない。
「もともとないものをつくる」のだから「たいへん」なのだ、と。
私たち観客に生きる喜びを与える笑いを作り出すための「たいへん」な作業を、井上ひさし氏は最後まで続けたのだ。
<深く愉快でまじめ / ライバルと言いたかった 関係者の声>
劇作家・演出家 野田秀樹さん
最も尊敬する、お一人でした。 井上さんが先に行っているから、あそこまで頑張ろう、と思えた。
私にとって父のような存在でした。 いつか「ライバルです」と言ってみたかった。
劇作家 三谷幸喜さん
必ず目の前に井上さんがいました。
いつも「この素材を井上さんならどう書かないか」を考えます。
同じ方向に行っても勝てるわけはないですから。
井上さんの小説をもとにした一人芝居「唐来参和」の俳優 小沢昭一さん
井上さんの芝居だけを一生やると決めたこともあった。
悲壮感を前面に出す新劇の伝統を守りながら、面白おかしい芝居を書く。
その姿勢にほれ込んだんです。
作家 五木寛之さん
文学とエンターテインメント、小説と演劇、批評と行動、
すべての点において卓越した才能を発揮し、私たち同世代の作家に大きな刺激を与え続けてくるとともに、
平和と憲法を守る戦後民主主義の希望の星でもありました。
作家 阿刀田高さん
座右の銘「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、
深いことを愉快に、愉快なことをまじめに」
を徹底し、その言葉通りに作品も深く、愉快でやさしく、笑っているけどまじめで、傑出した業績でした。
作家 宮部みゆきさん
直木賞で落選するたびに選考委員の井上さんの選評に励まされてきました。
自分が委員になってからも、委員の中に井上さんがいたから安心でした。
まだまだ私は子供でいたかったのに、寂しいです。
--------------------------------------------------------------------
引用終了。
まったく読書家でもないネコ型ですが(宮部みゆきさんの「クロスファイア」や五木寛之さんのおっしゃることは、なかなか興味深いです。)、
井上氏の小説や戯曲などに触れて見たくなりました。
多くの人間様はあれこれと忙しいので、「おもしろい」か、「すぐに役に立つ」ことに興味が集中するのですね。
ネコ型とはいえ、吾輩もまあそうですが。
(五木寛之氏と同じく)日本共産党の応援者でもあった井上氏の作品が、これからもっともっと多くの人の目に留まるついでに、
多くのまだまだ偏見をお持ち?の年配の方々をはじめとして、日本共産党への興味に繋がればいいな、と思います。
井上氏についていろいろ検索すれば、共産党が「変」じゃないことに気づかされる記事にヒットする確立が高くなるんじゃないかと思うのですがね。
ほんとうは、ダイレクトに「長々と続いている、ちょいと怪しげ?なあの党は、本当に変なのか?役に立たないのか?安全を守れないのか?」
と疑問を持って確かめていただきたいのですが。
まぁ、少しは期待した人もそろそろ鳩山民主党政権にも愛想が尽きたころのようだし、
JAなど、今まで自民党にしがみついていた団体も、やっと共産党への認識を改めて頼りにしてきた模様なので、
順調に、今までの政治の常識を覆す大きなうねりが出てくる時期が近づいてきているんだという実感がしてきたところですが・・・
・・・近づき方がまだ遅すぎますがね。。。
自分の身を案じている政治家の方々、新党結成などに必死ですね。
これだけ見え透いていればさすがにもう、「新党への期待」は薄いようですが、みんなの党、渡辺喜美氏は結構人気があるみたいなので、非常に目障りです。いえ、気にかかるところです。
------笑いの底 不条理への怒り------------------------------
氏はいつも笑い、あるいは喜劇という方法を使って日本の社会と歴史と人間に正面から向き合う書き手だった。(中略)
「手鎖心中」 「吉里吉里人」をはじめとする数々の小説、「藪原検校」「化粧」 「頭痛肩こり樋口一葉」 「父と暮らせば」
などの多くの戯曲は、時間の風化に耐えていつまでも残るだろう。
喜劇とは複眼の思考である。 書く対象を喜劇化すると同時に、自分自身をも相対化する。
だから深刻な問題を使う場合でも、氏の表現にはいつも笑いの感覚があり、それが私たちをくつろがせた。
ただし、氏の笑いの底には不条理な現実に対する黒い怒りが潜んでいたように思われる。
(中略)
氏の作品はどれも分かりやすく、面白く、ユーモアがあり、観客を驚かせる趣向を凝らしていた。
「表裏源内蛙合戦」 「太鼓たたいて笛吹いて」のような優れた音楽劇も多かった。
つまり、大衆娯楽性と豊かな知性の融合。
その点で氏の作品は、あらゆる階層の観客を楽しませたシェークスピア劇の幅広さに通じるところがある。
(中略)
日本の劇作家の多くは若いころに代表作を書いてしまうが、井上氏はまるで元気な活火山のように、70歳代に入っても、「ムサシ」
「組曲虐殺」のような意欲的な秀作を発表し続けた。
作家チェーホフの生涯を書いた井上氏の晩年の音楽劇「ロマンス」に、主人公が語る印象的なせりふがある。
人間は「あらかじめその内側に、苦しみをそなえて生れ落ちる」。
だが、笑いは「ひとが自分の手で自分の外側でつくり出して」いかなければならない。
「もともとないものをつくる」のだから「たいへん」なのだ、と。
私たち観客に生きる喜びを与える笑いを作り出すための「たいへん」な作業を、井上ひさし氏は最後まで続けたのだ。
<深く愉快でまじめ / ライバルと言いたかった 関係者の声>
劇作家・演出家 野田秀樹さん
最も尊敬する、お一人でした。 井上さんが先に行っているから、あそこまで頑張ろう、と思えた。
私にとって父のような存在でした。 いつか「ライバルです」と言ってみたかった。
劇作家 三谷幸喜さん
必ず目の前に井上さんがいました。
いつも「この素材を井上さんならどう書かないか」を考えます。
同じ方向に行っても勝てるわけはないですから。
井上さんの小説をもとにした一人芝居「唐来参和」の俳優 小沢昭一さん
井上さんの芝居だけを一生やると決めたこともあった。
悲壮感を前面に出す新劇の伝統を守りながら、面白おかしい芝居を書く。
その姿勢にほれ込んだんです。
作家 五木寛之さん
文学とエンターテインメント、小説と演劇、批評と行動、
すべての点において卓越した才能を発揮し、私たち同世代の作家に大きな刺激を与え続けてくるとともに、
平和と憲法を守る戦後民主主義の希望の星でもありました。
作家 阿刀田高さん
座右の銘「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、
深いことを愉快に、愉快なことをまじめに」
を徹底し、その言葉通りに作品も深く、愉快でやさしく、笑っているけどまじめで、傑出した業績でした。
作家 宮部みゆきさん
直木賞で落選するたびに選考委員の井上さんの選評に励まされてきました。
自分が委員になってからも、委員の中に井上さんがいたから安心でした。
まだまだ私は子供でいたかったのに、寂しいです。
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引用終了。
まったく読書家でもないネコ型ですが(宮部みゆきさんの「クロスファイア」や五木寛之さんのおっしゃることは、なかなか興味深いです。)、
井上氏の小説や戯曲などに触れて見たくなりました。
多くの人間様はあれこれと忙しいので、「おもしろい」か、「すぐに役に立つ」ことに興味が集中するのですね。
ネコ型とはいえ、吾輩もまあそうですが。
(五木寛之氏と同じく)日本共産党の応援者でもあった井上氏の作品が、これからもっともっと多くの人の目に留まるついでに、
多くのまだまだ偏見をお持ち?の年配の方々をはじめとして、日本共産党への興味に繋がればいいな、と思います。
井上氏についていろいろ検索すれば、共産党が「変」じゃないことに気づかされる記事にヒットする確立が高くなるんじゃないかと思うのですがね。
ほんとうは、ダイレクトに「長々と続いている、ちょいと怪しげ?なあの党は、本当に変なのか?役に立たないのか?安全を守れないのか?」
と疑問を持って確かめていただきたいのですが。
まぁ、少しは期待した人もそろそろ鳩山民主党政権にも愛想が尽きたころのようだし、
JAなど、今まで自民党にしがみついていた団体も、やっと共産党への認識を改めて頼りにしてきた模様なので、
順調に、今までの政治の常識を覆す大きなうねりが出てくる時期が近づいてきているんだという実感がしてきたところですが・・・
・・・近づき方がまだ遅すぎますがね。。。
自分の身を案じている政治家の方々、新党結成などに必死ですね。
これだけ見え透いていればさすがにもう、「新党への期待」は薄いようですが、みんなの党、渡辺喜美氏は結構人気があるみたいなので、非常に目障りです。いえ、気にかかるところです。