侵略美化へ 都教委が改訂 しんぶん赤旗4月10日(火)の記事
2012年新年度から、都立高校の日本史を独自に必修化する東京都教育委員会(都教委)は、副読本『江戸から東京へ』を、執筆者に知らせず、侵略戦争を美化する内容へ改訂していたことが分かりました。(取材した複数の執筆者と監修者に知らされていないことが東京民報が取材で判明、3月18日号で報じました)
特定の歴史観を、執筆者抜きにトップダウンで押し付けようというもので、石原知事が公言している「破壊的な教育改革」の具体化の一つとして、大きな問題になっています。(教育ジャーナリスト・松浦賢三)
都教委は、3年前から都立高校の日本史必修化の準備を始めました。
2010年には副読本の『江戸から東京へ』を作成。今年1月、120カ所に及ぶ修正をするなどの改訂を行いました。
特集新設
改訂の大きな特徴は、特集「日本はなぜ戦争を始めたのか?」を新設し、
太平洋戦争の目的を「アジア開放」のためと記述するなど侵略戦争を美化する立場で行われたことです。 (中略)
『江戸から東京へ』主な書き換え例
日中戦争について
2010年初版本
1937(昭和12)年7月、北京郊外の盧溝橋付近で日中両軍が衝突した(盧溝橋事件)。
すぐに現地で停戦協定が結ばれたにもかかわらず、近衛文麿内閣は華北への軍隊派兵を承認し、「北支事変」と命名して中国との戦争へと突入していった。
2012年改訂版
近衛文麿内閣成立直後に日中両軍が衝突する盧溝橋事件が起きた。
近衛内閣は当初の不拡大方針を変更して戦線を拡大したため、両国とも正式に宣戦布告をせず、全面戦争に突入した(日中戦争)。
日本はこの戦争の目的を日・満・華3国の連帯による東亜新秩序の建設であると表明し、国民精神総動員運動を起こして、全国民による協力体制をはかった。
南京事件について
初版本
日本軍が中国の兵士や民間人多数を殺害する事件が起こった(南京事件)。
改訂版
日本軍が中国の兵士や非戦闘員を殺害する事件が起こった(南京事件)。
太平洋戦争について
初版本
1941(昭和16)年12月8日、日本陸軍がマレー半島に奇襲上陸をするとともに、日本海軍の航空隊はハワイの真珠湾に奇襲攻撃をくわえて、アメリカ太平洋艦隊に大打撃を与えた。
・・・枢軸国の一員であった日本は「大東亜共栄圏」を建設するという戦争目的をかかげ、開戦から半年ほどで東南アジア・太平洋の各地を占領した。
改訂版
日本が東亜新秩序の形成をすすめると、アジアとの交易を重要な国益と考えていたアメリカは1939(昭和14)年7月、日米通商航海条約の廃棄を日本側に通告した。
翌年、これが発効すると、日本は軍需資材の入手が困難となった。
・・・ヨーロッパにおいてドイツが優勢となる中、軍部はドイツとの結び付きを強め、植民地支配からアジアを開放する「大東亜共栄圏」の建設をはかることを目的として、米、英との戦争を覚悟していった。
この問題は、都議会で取り上げられ、日本共産党のあぜ上三和子都議が文教委員会(3月16日)で、都教委をただしました。
教育庁の坂本和良指導部長は「教育委員会として改訂」し、「改訂の内容は日本史必修化検討委員会で報告した」と答弁しました。
しかし、この検討委員会(20人)には監修者3人が加わっているだけです。
子ども教科書全国ネット21事務局長の俵義文さんは「今の検定制度でさえ引っかかるような記述がたくさんあります。 相談したら、色々な問題が出てくるから言わなかったのではないか」と指摘。「問題のある副読本を生徒たちに学ばせていいのか」と述べています。
教育長は
あぜ上議員の再三の追求の中で、大原正行教育長の問題発言も飛び出しました。
「日本がどう近代化したか、曇りのない目で考えてもらうために作った」
「一方的に日本が侵略したとか、そういう特定の考えを押し付けるものではない」などと主張。
あぜ上議員はその後の文教委員会で、この発言が「日本が植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」とする村山首相談話(1995年)などの政府見解と違うことを指摘し、撤回を求めました。
背景には
今回の改訂の背景には、「破壊的な教育改革」を推進する石原知事の強い意向があります。
(中略)
子どもたちに侵略戦争の真実を伝えようとする立場を「特定の考え」だと言い、侵略戦争を美化する歴史観を教育内容に盛り込もうというのが「破壊的な教育改革」の一つの柱なのです。
自民党などは、改訂を評価し、さらに改訂を進めるよう求めています。
都議会文教委員会(3月16日)で、自民党の野田数議員は改訂版を「完成度が高まった」と述べた上で、
南京事件の記述について「取り上げること自体問題がある」と削除を求めました。
副読本『江戸から東京へ』はすでに12万冊を印刷して都立高校生全員に配布。
さらに今回の改訂版は、4月入学の4万3千人に無料で配布されます(税金)。
日本史の高校教員は、「日本史の必修化とともに、問題の『江戸から東京へ』を無理やり学ばせようという押し付けはやめるべきです」
しんぶん赤旗日刊紙2012年4月10日(火)より。(ネコ型編)
相田みつを「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」/日本共産党創立90周年 戦争と弾圧拷問の歴史
↑をご参考に。 正しい歴史認識を得るためには、情報を選択していかなければならない世の中。。。
=^・-・^-・-^・-・^-・ー^=
同日同面の記事。
なんだっけコーナー
Q, PAC3って?
A, 「地対空誘導弾パトリオット」。 ミサイルを空中で直接破壊するシステム
北朝鮮のロケット発射に備えて、自衛隊が沖縄と首都圏に配備した。
大気圏外から地上に落下する弾道ミサイルを、パトリオットミサイルで迎撃するシステム。
ブッシュ前米政権のミサイル防衛(MD)構想を補完するために、2007年度から導入。全国12の航空自衛隊高射部隊と教導隊に配備されている。
Q, 性能はどの程度?
A, 米軍は1991年の湾岸戦争で使用したが、迎撃率は低かった。
自衛隊は2回、米国で発射試験を行い、いずれも模擬弾の迎撃に成功したとしているが、試験では前もって軌道が示されているため、実戦とは条件が異なる。また、射程は20キロ程度しかなく、すべての地域をカバーできない。
確実に迎撃できる保証はなく、「神社のお札みたいなもの」(防衛省関係者)との見方も。
Q, ロケット発射に対して有効なのか?
A, 北朝鮮の通告によれば、ロケットの第1段目が韓国沖に落下し、2段目が沖縄上空を通過してフィリピン沖に落下する。
千キロ近くに及ぶ沖縄県近海で、上空から高速で落下する小さな金属片を探知するのは至難の業だ。
北朝鮮が09年に日本上空を通過してロケットを発射した際、2段目以降は見失っている。
「ミサイル防衛」は、「小銃で小銃を撃ち落すより難しい」といわれる。
軍事的対応ではなく、撃たせない外交努力が、もっとも確実な方法だ。
( しんぶん赤旗 なんだっけコーナー 知りたいテーマ募集します。hensyukoe@jcp.or.jp )
=^・-・^-・-^・-・^-・ー^=
この記事の裏面には、
総事業費41・5兆円 大型公共事業「中止」「凍結」(の公約)どこに? 野田政権12年度予算
幹線道路整備4900億円、八ツ場ダム56億円 復活・・・
更新費 今後50年で190兆円
という記事。
これでは2037年には維持管理・更新費用もまかなえなくなる という試算(穀田恵二事務所作成)が載っておりました。
ここには高速道路や上水道などの更新費用は入っておらず、新たに大型公共事業を行えば、その維持管理・更新費も、長期にわたって圧しかかってきます。
以上、いつものごとく、危険と無駄と無駄の情報公開ですにゃ。
2012年新年度から、都立高校の日本史を独自に必修化する東京都教育委員会(都教委)は、副読本『江戸から東京へ』を、執筆者に知らせず、侵略戦争を美化する内容へ改訂していたことが分かりました。(取材した複数の執筆者と監修者に知らされていないことが東京民報が取材で判明、3月18日号で報じました)
特定の歴史観を、執筆者抜きにトップダウンで押し付けようというもので、石原知事が公言している「破壊的な教育改革」の具体化の一つとして、大きな問題になっています。(教育ジャーナリスト・松浦賢三)
都教委は、3年前から都立高校の日本史必修化の準備を始めました。
2010年には副読本の『江戸から東京へ』を作成。今年1月、120カ所に及ぶ修正をするなどの改訂を行いました。
特集新設
改訂の大きな特徴は、特集「日本はなぜ戦争を始めたのか?」を新設し、
太平洋戦争の目的を「アジア開放」のためと記述するなど侵略戦争を美化する立場で行われたことです。 (中略)
『江戸から東京へ』主な書き換え例
日中戦争について
2010年初版本
1937(昭和12)年7月、北京郊外の盧溝橋付近で日中両軍が衝突した(盧溝橋事件)。
すぐに現地で停戦協定が結ばれたにもかかわらず、近衛文麿内閣は華北への軍隊派兵を承認し、「北支事変」と命名して中国との戦争へと突入していった。
2012年改訂版
近衛文麿内閣成立直後に日中両軍が衝突する盧溝橋事件が起きた。
近衛内閣は当初の不拡大方針を変更して戦線を拡大したため、両国とも正式に宣戦布告をせず、全面戦争に突入した(日中戦争)。
日本はこの戦争の目的を日・満・華3国の連帯による東亜新秩序の建設であると表明し、国民精神総動員運動を起こして、全国民による協力体制をはかった。
南京事件について
初版本
日本軍が中国の兵士や民間人多数を殺害する事件が起こった(南京事件)。
改訂版
日本軍が中国の兵士や非戦闘員を殺害する事件が起こった(南京事件)。
太平洋戦争について
初版本
1941(昭和16)年12月8日、日本陸軍がマレー半島に奇襲上陸をするとともに、日本海軍の航空隊はハワイの真珠湾に奇襲攻撃をくわえて、アメリカ太平洋艦隊に大打撃を与えた。
・・・枢軸国の一員であった日本は「大東亜共栄圏」を建設するという戦争目的をかかげ、開戦から半年ほどで東南アジア・太平洋の各地を占領した。
改訂版
日本が東亜新秩序の形成をすすめると、アジアとの交易を重要な国益と考えていたアメリカは1939(昭和14)年7月、日米通商航海条約の廃棄を日本側に通告した。
翌年、これが発効すると、日本は軍需資材の入手が困難となった。
・・・ヨーロッパにおいてドイツが優勢となる中、軍部はドイツとの結び付きを強め、植民地支配からアジアを開放する「大東亜共栄圏」の建設をはかることを目的として、米、英との戦争を覚悟していった。
この問題は、都議会で取り上げられ、日本共産党のあぜ上三和子都議が文教委員会(3月16日)で、都教委をただしました。
教育庁の坂本和良指導部長は「教育委員会として改訂」し、「改訂の内容は日本史必修化検討委員会で報告した」と答弁しました。
しかし、この検討委員会(20人)には監修者3人が加わっているだけです。
子ども教科書全国ネット21事務局長の俵義文さんは「今の検定制度でさえ引っかかるような記述がたくさんあります。 相談したら、色々な問題が出てくるから言わなかったのではないか」と指摘。「問題のある副読本を生徒たちに学ばせていいのか」と述べています。
教育長は
あぜ上議員の再三の追求の中で、大原正行教育長の問題発言も飛び出しました。
「日本がどう近代化したか、曇りのない目で考えてもらうために作った」
「一方的に日本が侵略したとか、そういう特定の考えを押し付けるものではない」などと主張。
あぜ上議員はその後の文教委員会で、この発言が「日本が植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた」とする村山首相談話(1995年)などの政府見解と違うことを指摘し、撤回を求めました。
背景には
今回の改訂の背景には、「破壊的な教育改革」を推進する石原知事の強い意向があります。
(中略)
子どもたちに侵略戦争の真実を伝えようとする立場を「特定の考え」だと言い、侵略戦争を美化する歴史観を教育内容に盛り込もうというのが「破壊的な教育改革」の一つの柱なのです。
自民党などは、改訂を評価し、さらに改訂を進めるよう求めています。
都議会文教委員会(3月16日)で、自民党の野田数議員は改訂版を「完成度が高まった」と述べた上で、
南京事件の記述について「取り上げること自体問題がある」と削除を求めました。
副読本『江戸から東京へ』はすでに12万冊を印刷して都立高校生全員に配布。
さらに今回の改訂版は、4月入学の4万3千人に無料で配布されます(税金)。
日本史の高校教員は、「日本史の必修化とともに、問題の『江戸から東京へ』を無理やり学ばせようという押し付けはやめるべきです」
しんぶん赤旗日刊紙2012年4月10日(火)より。(ネコ型編)
相田みつを「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」/日本共産党創立90周年 戦争と弾圧拷問の歴史
↑をご参考に。 正しい歴史認識を得るためには、情報を選択していかなければならない世の中。。。
=^・-・^-・-^・-・^-・ー^=
同日同面の記事。
なんだっけコーナー
Q, PAC3って?
A, 「地対空誘導弾パトリオット」。 ミサイルを空中で直接破壊するシステム
北朝鮮のロケット発射に備えて、自衛隊が沖縄と首都圏に配備した。
大気圏外から地上に落下する弾道ミサイルを、パトリオットミサイルで迎撃するシステム。
ブッシュ前米政権のミサイル防衛(MD)構想を補完するために、2007年度から導入。全国12の航空自衛隊高射部隊と教導隊に配備されている。
Q, 性能はどの程度?
A, 米軍は1991年の湾岸戦争で使用したが、迎撃率は低かった。
自衛隊は2回、米国で発射試験を行い、いずれも模擬弾の迎撃に成功したとしているが、試験では前もって軌道が示されているため、実戦とは条件が異なる。また、射程は20キロ程度しかなく、すべての地域をカバーできない。
確実に迎撃できる保証はなく、「神社のお札みたいなもの」(防衛省関係者)との見方も。
Q, ロケット発射に対して有効なのか?
A, 北朝鮮の通告によれば、ロケットの第1段目が韓国沖に落下し、2段目が沖縄上空を通過してフィリピン沖に落下する。
千キロ近くに及ぶ沖縄県近海で、上空から高速で落下する小さな金属片を探知するのは至難の業だ。
北朝鮮が09年に日本上空を通過してロケットを発射した際、2段目以降は見失っている。
「ミサイル防衛」は、「小銃で小銃を撃ち落すより難しい」といわれる。
軍事的対応ではなく、撃たせない外交努力が、もっとも確実な方法だ。
( しんぶん赤旗 なんだっけコーナー 知りたいテーマ募集します。hensyukoe@jcp.or.jp )
=^・-・^-・-^・-・^-・ー^=
この記事の裏面には、
総事業費41・5兆円 大型公共事業「中止」「凍結」(の公約)どこに? 野田政権12年度予算
幹線道路整備4900億円、八ツ場ダム56億円 復活・・・
更新費 今後50年で190兆円
という記事。
これでは2037年には維持管理・更新費用もまかなえなくなる という試算(穀田恵二事務所作成)が載っておりました。
ここには高速道路や上水道などの更新費用は入っておらず、新たに大型公共事業を行えば、その維持管理・更新費も、長期にわたって圧しかかってきます。
以上、いつものごとく、危険と無駄と無駄の情報公開ですにゃ。