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溝端淳平 人が笑顔になって初めて楽しい。永井愛舞台「こんばんは父さん」出演 赤旗インタビュー

2012-10-05 | 各界インタビュー(新聞赤旗等より)
 しんぶん赤旗インタビュー

  舞台「こんばんは、父さん」出演 「人が笑顔になって初めて楽しい」



俳優 溝端淳平さん

 見たことない自分を発見



「絶対、食らいついていきます」。気合みなぎる23歳。3人芝居『こんばんは、父さん』(作・演出/永井愛)の稽古中です。
 「永井さんの『ダメ出し』が千本ノックみたい(笑い)。でもうれしいです。きっと、成長できると思うから」

 舞台は廃工場。70代の元社長(平幹二郎)、長年離れて暮らす息子(佐々木蔵之介)、元社長を追ってきた青年(溝端)が出会います。「カネが全て」の社会に敗れた3人。゛人生に大切なこと〝を見つめる一夜を描きます。
 「おかしくて温かくて、平さんたちの稽古を見るだけでグッと来ます。永井さんは『一人ひとりの宇宙を見せてほしい』と言います。お二人のでっかい宇宙にのまれつつ、僕なりの宇宙を表現したい」

 高校2年のとき、姉が応募したコンテストでグランプリを受賞。デビュー5年で連続ドラマ12本、映画7本に出演。人気者ですが、願いは一つ、「演技で評価されたい」です。
 当初は、撮影で「配役ミスだ」「おまえなど売れない」と言われ、家で泣きました。でも仕事は続々。考える間もありませんでした。
 「人の顔色をうかがい、言われるまま演じている感じでした。イメージを壊したら嫌われると思いました」

 「もっと、わがままになれ。内側から出るもので演じろ」と言ってくれたのは、昨年出演した舞台の演出家。
 「自分の気持ちを見つめ、役と向き合う。思うままに表現すればいいんだと思えて、どんな役者になりたいのかと見直すようにもなってきました」
 昨年のドラマ「蜜の味」。今まで多かった好青年役から一転、狂気の医師に挑みました。ゆがんだ愛情が爆発し、部屋で暴れる。感情のままに演じた自分を放送で見て、「役の人間がちゃんと生きている」と思えました。
 「自分をさらけ出すと、思ってもみないところに着地して、見たことのない自分を発見できて。いま何やった?と覚えていないこともあるんです」

 故郷・和歌山が好き。ワンマン電車が走る山間の町です。「自分が楽しいだけじゃいや。人が笑顔になって初めて楽しい」と考える、人なつこい少年でした。
 実家の酒屋を手伝いながら、幼い自分をおんぶしてくれたのは、亡き祖母。仕事で葬儀に出られませんでしたが、近所の人が大勢惜しんでくれたと聞きました。「おばあちゃんみたいに、みんなの心にずっと生きられたら幸せだな」と考えます。
 「いつか、見る人の心に残る役者になるのが目標なんです。震災などで悲しい思いをしている人が多いいま、とくにがんばらなきゃ。厳しい現実にもう一度向き合う力をくれるのが、エンターテインメントだと思うから」
(しんぶん赤旗日曜版9月30日号 「ひと」コーナー 大塚武治記者)
 

溝端淳平(みぞばた・じゅんぺい)=1989年、和歌山県橋本市生まれ。テレビドラマ「BОSS」「新参者」、舞台「ウサニ」など幅広く活躍。NHKドラマ「つるかめ助産院~南の島から~」(火曜午後10時)、日本系「誰だって波瀾爆笑」(日曜午前9時55分)に出演。二兎社公演「こんばんは、父さん」は10月13日から全国公演。総合問い合わせ℡03(3991)8872。東京公演は26日~11月7日=世田谷パブリックシアター。℡03(5468)8113(ぷれいす)


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