大理州は正式には大理白族自治州と呼びます。大理は、その名の通り少数民族白族が多く住む地域で、2013年時点で大理白族自治州の総人口は約360万人で、内183万人が少数民族で全人口の約51%を占め、その内の120万人が白族との事です。従って全人口の約三分の一が白族と云う事になる様です。
白族の伝統的な料理として有名な物に「生皮」と云う料理があります。私も本等で読んだりして白族の伝統料理に「生皮」と云う料理がある事は一応知っていました。が最近に至る迄、その「生皮」なる料理を食べる機会はありませんでしたが、先日終にその白族の有名な伝統的な料理「生皮」を食べる機会がありました。「生皮」と云うのは要するに豚の皮の事ですが、豚の毛を取り除くため、白族の場合は、豚全体を稲わらで良く焼いた後、豚を解体する様ですが、「生皮」とはその稲わらで焼いた後の豚の皮の部や脂身を食べる料理です。何でも稲わらで豚全体を焼くので香ばしさが生み出されるとの事です。また、皮の部分も程よい具合に焼けるとの事。また、皮に隣接する脂身の部分も丁度良い具合に焼けます。云ってみれば、日本でカツオのたたきを作る際、稲わらでカツオを焼くのと同じ要領の様で生では無く、かと云って焼け過ぎず、程よい加減に焼ける様です。私は初めて「生皮」と云う料理を食べたのですが、その焼け具合が半生の丁度良い感じの焼け具合で、とても美味しいと思いました。
テレビの番組等でも白族が過年(春節、正月)の際には、必ず家で飼っている豚を屠り、「生皮」を作り食べると云う内容の番組を見た事があるのですが、その番組では、白族は「生皮」だけでなく、以前は、生で豚肉を食べると云う習慣もあった事も紹介していました。近年では豚肉を生で食べる事の危険性が認識され豚を生で食べる習慣は無くなりつつあるとのも報じていました。
以前貴州省のあるトン族の住む村を訪れた際、豚を解体する処を見ていたところ、矢張り村人の一部の人が生で豚肉を食べる光景を見た事があります。苗族等は豚を解体する場合には、先ず豚全体に熱湯をかけた後、豚の毛を削り取りと云う方法を取る事が多い様ですが、この点も民族により違いがあるようです。白族は以前は必ず稲藁で豚を焼いた後に、豚を解体していた様です。無論、最近は農貿市場等で売られている豚は、稲わらで豚の毛を焼くのではなく、プロパンガスの炎で豚の毛を焼く様です。また、稲わらで良く焼いたものとプロパンガスの炎で焼いた物は、その火力にも拠るのか微妙に違う様です。
以前このブログでも貴州のある苗族の村では犬を食べる際には、先ず稲わらで犬の毛を焼いた後、料理する話を書いた事がありますが、それも矢張り同じような理由による様です。つまり稲わらで焼く事でより香ばしくなるとの事です。
「生皮」と云う白族の伝統的な料理。皿の真ん中のは豚肉の生肉。以前は豚肉を生で食べた名残の様で、豚の生肉も食卓に上りました。このまま食べるのでは無く、タレをつけて食べますが、そのタレもなかなかなものでした。「生皮」は、完全な生ではなく、程よい焼け具合でとても美味しいです。地元の人と一緒に食べたのですが、豚の生肉を食べる人は余り多くはなく、真ん中の生肉は残りました。皮だけの物、皮と脂身が付いた物、豚の生肉の三種類が並びました。私は、皮と脂身が一緒の物が一番美味しかったです。