夫のクマ吉が駅で怒り出し、不妊検査を拒んだことから
クマ子夫婦が品川駅で人目もはばからず大ゲンカ。
せっかく浅田レディースクリニックで初診のチャンスを
得たのに夫が予約時間30分前になって断固拒否。
事前に詳しく説明してなかったクマ子にももちろん非があります。
だけど僕に原因があったとしても一切治療には協力しないだの、
クリニックにはいる姿を見られたら恥ずかしいだの、
そういう言葉の数々を聞いていてクマ子はすーっと何かが
冷めてきました。
こんな考えだったり発言をする人との子供が欲しい?
その前に夫婦としてやっていける?
だから予約10分前だったけど、もうキャンセルして帰ることにしたのです。
「もういい、家に帰ろう。」
踵を返して改札に向かうクマ子。
すると夫がその手首を掴み、「受診はする」と言い出しました。
だけど時すでに遅し。
クマ子の心は深海のごとく冷めていたし
夫として彼を尊敬する部分が見えなくなり始めていたのです。
「受診してどうするのよ。もしあなたに何かあっても
治療受けないんでしょ?通院する気もさらさらないんでしょ?
不妊は妻側だけの問題で夫婦の問題じゃないんでしょ?
不妊治療には夫婦の協力が必要なの。だって夫婦の将来に
関わることだから。協力ができないような人のために
私は不妊治療を決心したわけじゃない。貯金をおろしたわけじゃない」
「別に協力しないって言ってるわけじゃ・・・」
そう言いかけるクマ吉の胸を人差し指で突き刺しながら
クマ子は続けます。
「治療しないっていうなら協力しないってことになるよね。
初診料、夫婦合わせて平均15万円ぐらいするのよ。
今後協力する気がない人のために今日15万円をかける意味、ある?
私はこれまであなたのプライドを傷つけたくなくて
あなたに不妊のプレッシャーをかけたくなくて
話すときは時間やあなたの都合を考えてタイミングを計ってきた。
でもあなたはいつだって「疲れてる」んだよね。
興味がないんだよ、私にも、子供にも。そんな人のために
15万円捨てる気はさらさらない。そういうことを一緒に真剣に
考えてくれる夫と探しなおす。」
手を振りほどくクマ子。
引き留めるクマ吉。
「だめだ、診察に行くぞ」
「クリニックに入る姿を見られたら恥ずかしいんでしょ?
だったから無理することないじゃない」
「行くってば!」
帰ろうとするクマ子にクリニックへ向かおうとするクマ吉。
さっきと立場が逆になってきた・・・
この先、この人と夫婦でやっていけるのか。
だけど受診すると言ってるのだからとりあえず行くか。
そして予約時間ぴったりにクリニックへ到着した
クマ子とクマ吉だったのでした。