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建国記念の日

2012-02-11 14:32:07 | インポート
本日、建国記念の日を迎えました。祝日が土曜日と重なったのは残念ですが、このめでたき日をお祝いする気持ちにはいささかも揺らぎはありません。

我が国は東日本大震災からの復興という長い道のりを歩まねばなりません。また、政治も経済も内外ともに課題山積です。このめでたき日に国民こぞって我が国の歴史を振り返り、よりよい国をつくる決意を新たにする機会になればと願っています。

ところで、古きよき日本を守るのは大切ですが、古き悪しきものは勇気をもって捨て去らねばなりません。

社会保障を充実させる名の下に、世代間格差を放置して現在の高齢者世代を守る。農業や医療を守る名の下に、自由貿易を拒否する。人の生活を守る名の下に、ゾンビ企業を生存させたり正社員や公務員の既得権を守る。原子力の安全の名の下に、原発の再稼働すら拒否して強引に「脱原発」を守る…

以上のような政策は、日本を弱体化させるものです。このような主張をする方々に愛国心が少しでもあるのなら、建国を偲んでお祝いするとともに、本当に国益となる政策とは何かをもう一度考え直してほしいと思います。


幸福の国

2012-01-01 15:36:16 | インポート
謹賀新年


平成24年、皇紀2672年、西暦2012年になりました。

昨年を思い返せば、やはり一番に思い出させるのは東日本大震災です。あの恐ろしい地震と津波によって命を奪われた方々のことを思えば、今も哀惜の念に堪えません。また、地震と津波に伴う福島第一原子力発電所の事故は、国内では最悪の原発事故であり、故郷を離れて暮らすことを余儀なくされた方々も多数いらっしゃいます。また、原発事故による福島県に対する過剰な風評被害があったのは日本人として恥ずかしいことです。

東日本大震災の被災者の方々に、改めて心よりお見舞い申し上げます。

それに加え、昨年には国内外において様々な災害がありました。国内では平成になり最悪の被害となった、台風12号による紀伊半島の被害をはじめとする台風や豪雨の被害や新燃岳噴火、海外ではニュージーランドやトルコ等での地震やタイの洪水被害がありました。これらの被災者の方々に対しても、改めてお見舞い申し上げます。

ところで、昨年はブータンのワンチュク国王ご夫妻のご結婚およびご来日があり、ブータンという国が注目されました。確かに歴史のある国であり、また国王ご夫妻も大変魅力的な方々なので、関心が高くなっても不思議ではありません。また、ご夫妻のご結婚については、同年の英国のウィリアム王子ご夫妻やモナコのアルベール大公ご夫妻のご結婚とひとしく、心からお祝いすべきものであり、また国賓としてのご来日についても、他の国賓とひとしく心から歓迎するものであるのはいうまでもありまん。

一方、あまりにもブータンという国そのものを絶賛するような報道が多かったことには疑問を感じます。同国に居住していたネパール系住民がかつて事実上追放され、難民化している事実(いわゆるブータン難民)など、影の部分にも触れなければ公正な報道とはいえません。他にもブータンの抱える問題は少なくありません。

ブータンが「国民総幸福量(GNH)」を重視する「幸福の国」であるとか、日本もブータンを見習えといった言動もありました。確かに、経済の目的として各人の幸福を最大化するというのは重要なことですが、だからといって「経済成長」と「国民の幸福」をトレードオフの視点で語るのは誤りです。日本のような成熟国家が高度成長するのは無理であっても、現在の生活レベルを保つためには、一定の経済成長は続けなければなりません。

日本は経済財政ともに深刻な状況です。それを打開するには、政治が勇気を持って、本当の「格差」を是正し、既得権者と闘う決意が必要です。以下、例をあげます。

1つは、「世代間格差」の問題です。
リーマン・ショック後の世界的大不況に加え、東日本大震災の復興という大きな課題が加わりました。政府や日銀のできることにも限りがあります。公的債務は膨れ上がり、金利はゼロ金利。こんな状態では、財政政策も金融政策も有効に行えません。にもかかわらず、税金を1円でもあげようとしたり社会保障を1円でもカットしようとすれば、大ブーイングが起こるという現状は正常なのでしょうか。政府の「社会保障と税の一体改革」については、その精神については十分理解できますが、結局は「入」の方の「税」を増やすことに主眼がおかれ、「出」の「社会保障」の改革の議論はあまり進んでいません。現在の社会保障制度は、明らかに現在の高齢者と将来高齢者となるべき若い世代との間の「世代間格差」が顕著です。にもかかわらず、マスコミも野党もこの問題を長らく追及してきませんでした。年金の特例水準によって物価安を考慮せず支給していた問題が事業仕分けで明らかになりましたが、約7兆円もの無駄遣いが堂々と行われていたのに、ほとんど追及されなかったことは一例でしょう。人口が多く投票率も高い高齢者という「既得権者」の存在の大きさを認識させられました。

2つ目は、自由貿易を巡る「生産者と消費者の格差」です。
昨年のTPP(環太平洋経済連携協定)を巡る議論について、反対派からは経済学の入門レベルすら無視して、自由貿易のメリットそのものも否定するような主張がしばしばなされていたのは驚くべきことです。自由貿易により、例えば関税が撤廃されれば、消費者余剰(消費者の利益)が大きくなり、生産者余剰(生産者の利益)は小さくなるものの、社会的総余剰(社会全体の利益)は必ず大きくなるというのは、経済学では常識です。とはいえ、政治学的な観点でいえば、消費者1人あたりの利得よりも生産者1人あたりの損失の方がはるかに大きくなるため、どうしても生産者の声の方が大きくなり、政治家もそちらの顔色を見ざるを得なくなるというのがよくある話です。しかしそれは、全体的には圧倒的多数の消費者の利益が大きく失われるということであり、消費者と生産者の間の格差が生まれることとなります。TPPそのものの是非については、交渉を通じて判断すべきものですが、JAや医師会といった既得権者の声を代弁するような主張が関係者以外からもなされるというのは、自分で自分の首を絞めているということに気づく必要があります。

3つ目に、よくいわれる「正社員と非正社員の格差」の問題も簡単に述べます。
数年前の派遣村騒動はどこかに消えたとはいえ、未だに正社員と非正社員の給料や処遇の格差は大きなものです。ただ、「格差解消」を唱える立場から、派遣労働の禁止や正社員の解雇規制が主張されるのは腑に落ちません。そのようなことをすれば、失業率があがり、また正社員がますます保護されることに繋がり、格差は余計に拡大します。短期的には、非正規社員の雇用条件を改善することが必要でしょう。ただ、それだけでは本質的な解決にはなりません、本当に長期的に必要なことは、「終身雇用」や「年功序列」、「新卒一括採用」という時代にあわない日本的雇用慣行を終わらせ、「正社員」という既得権をなくし、「再チャレンジ」が容易な自由な労働市場を構築することです。それにはセーフティネットも必要なのは言うまでもありません。加えて、公的部門(公務員及び公的法人職員)と民間部門の格差是正も重要な論点です。

さて、経済学者のシュンペーターは、資本主義についてイノベーションによる景気循環の視点で論じたことで知られますが、彼は将来的にはイノベーションの衰退によって資本主義は崩壊し、社会主義の世になるという予測をしました。竹中平蔵『経済古典は役に立つ』(光文社新書)によれば、その「資本主義を崩壊させるメカニズム」の1つは、「知識人による資本主義への敵対化」だそうです。

ブータンを理想郷として「経済成長よりも心の豊かさ」などというメディアの論調をきけば、シュンペーターの予測が現実となる時代が来るかもしれません。旧ソ連が崩壊して本年で20年経ち、東欧の社会主義国も崩壊し、中国やベトナムも市場経済化し、また北朝鮮の金正日国防委員長が死去したというこの時代に、信じがたいかもしれません。しかし、日本国内の論調を聞いていると、結局は国家による経済への介入を是とし、先述した3つの「格差」と「既得権」を擁護するものが少なくなく、「右」も「左」も根底では社会主義を目指しているのではないかと思わされます。

我が国は本年、主権回復60年を迎えます。以上述べた懸念が杞憂となり、3つの格差を是正した自由な国を目指す方向に進んでほしいと願うほかありません。それこそが本当の意味での、「幸福の国」ではないでしょうか。

末筆となりましたが、本年が皆様にとって幸多き年となることを心からお祈りし、本年最初のブログの筆を擱きます。
追記
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武器輸出三原則

2011-12-29 00:17:55 | インポート
政府の安全保障会議は、武器輸出三原則についての包括的な例外基準を発表した。

武器輸出三原則とは、法令で通産大臣(現・経済産業大臣)の許可を要する武器の輸出について、佐藤内閣が1967年に発表した運用方針のことである。具体的には以下に該当する国には、武器輸出はできないということだ。

?共産国
?国連決議で武器輸出が禁止された国
?国際紛争の当事国又はそのおそれのある国

さらに三木内閣が1976年に、「武器輸出に関する政府統一見解」を出し、これにより三原則対象地域への輸出を認めないのはもちろん、その他の地域にも「輸出を慎む」とされ、全ての国への武器輸出が、原則的には認められないことになってしまった。

当初の三原則自体はまっとうなものであるが、三木内閣による見解は、明らかに過剰な規制であった。日本の防衛産業の発展を阻害し、安全保障上も財政上も不利益を被ったのは言うまでもない。

その後、ミサイル防衛システム開発のためなど、個別具体的に例外は認められた。とはいえ、自民党政権下では小泉内閣等が見直しを表明し、民主党政権になっても菅内閣下で検討されたものの、包括的な緩和にはいたらなかった。

今回野田内閣になり、ようやく規制緩和がなされたことは歓迎すべきことである。自民党政権下で作られ、見直しが進まなかった過剰な規制を、民主党政権が初めて包括的に緩和するとしたのは率直に評価したい。

今後も当初の三原則は遵守し、軍事大国や軍需大国にはならないことをアピールしつつ、国際貢献や同盟国との協力のために必要となる兵器等の輸出は認める方向性を貫くべきである。


TPP~遅すぎた決断~

2011-11-13 23:41:13 | インポート
11日、野田首相はTPP交渉への参加に向けて関係国と協議を開始することを表明した。これは玉虫色の表現とされ、現に鹿野農相や山田前農相らTPP慎重・反対派の民主党議員は「参加とは言っていない」と主張している。

しかし、この「協議」は参加のための手続きであって、参加しない方向に向かうとは考えられない。反対派の農協も事実上の参加表明と解して批判しているが、その解釈自体は正しい。

さて、ホノルルAPECでのTPP首脳会談に日本が招かれなかった上、「大枠で合意」と報じられるなど、日本の決断が遅すぎたのは否めない。

民主党はマニフェストに「日米FTA」を掲げていたにもかかわらず、政権交代後交渉が行われたという報は寡聞にして知らない。昨年の秋頃から菅内閣が「平成の開国」を掲げ、このTPP交渉に前向きな姿勢を見せたが、菅首相の問題は、交渉への参加の是非を争点にしてしまったことだ。TPPの内容はまだ交渉中なのだから、交渉と並行して国内で侃々諤々の議論を行うこともできたはずだ。東日本大震災の発生もあって、当初6月になされるはずの決断が、さらに5ヶ月も遅れたのは残念な話だ。

菅氏には、小泉元首相の郵政民営化の様に抵抗勢力と戦う姿勢をアピールして、支持率を回復しようとする狙いがあったのかもしれないが、それによって「交渉への参加」にすら反対する者を増やし、時間を無駄にしてしまった責任は大きい。

とはいえ、重大な交渉はまだまだこれからであろうし、「もう決まってしまったから参加できない」という反対派のマッチポンプにのせられてはならない。

ネット上の反対派の議論は読む価値のないものが殆どだが、その様な非論理的な主張を鵜呑みにする人が増えていくのは心配だ。賛否いずれの立場にしても、せめて経済学の教科書の「自由貿易は社会的総余剰を最大化する」「関税よりも生産者への補助金の方が厚生の損失は小さい」「比較優位」等の入門レベルの知識くらいは共有されていないと酷く低レベルな議論しか行われない。


TPP

2011-11-10 21:33:59 | インポート
野田首相は本日行われるとされていたTPP交渉への参加表明の記者会見を、明日に延期したという。昨日の民主党の「慎重」を求める提言に配慮してのことだろうが、意志の弱さにも思えた。

最近何かと話題のTPP(Trans-Pacific Partnership、「環太平洋経済連携協定」などと訳される)は、菅前首相が「平成の開国」として前向きな姿勢を表明し、野田首相も肯定的な発言を続けてきた。一方、農業団体等を中心に反対運動が日に日に活発化し、与野党共に賛否が入り乱れる複雑な状況になっている。

しかし、TPP反対派の農協等の各団体は明らかに既得権益を守るためだけに活動しており、決して国益のためではないのは明白だ。

そもそも、経済学を学んだ方なら、関税を撤廃するとモノの値段が下がり、消費者余剰(要するに、消費者の利益)が拡大し、生産者余剰は減少するものの、社会的総余剰を大きくするから好ましいというのは常識であろう。しかし、政治学を学んだ方ならご承知のとおり、例え社会的総余剰が大きくなるとはいえ、一人一人の消費者の利得よりも、生産者の損失は遥かに大きく、政治的に声をあげる人も多くなる。少々モノが安くなるからといって仕事や学校を休んでまで「関税撤廃」デモをする消費者は皆無に近いだろうが、自分の仕事を失うことを恐れて反対運動を行う生産者は必然的に多くなる。選挙に影響を与えるのは明らかに後者であるから、政治家もそちら側の顔を見た政策を行わざるを得なくなるわけだ。

「農業が壊滅する」「医療が壊滅する」というが、日本は自由主義国家である。国民一人一人の選択の自由を、一部の生産者の既得権を守るために、国家が奪ってはならない。消費者がよりよいものを選択できる社会にするのが、自由を守ることにつながる。いくら安くても、質の悪い食品やサービスが入ってきても、市場で淘汰されるであろう。もちろん、情報の非対称性という市場の失敗には対応する必要があるが、市場そのものに政府が介入するのは資本主義国として認められない。

「輸出はそんなに伸びない」という意見もあるが、そうであるかどうかに大きな意味はない。重商主義の誤りはアダム・スミスが指摘して久しい話である。

「デフレが悪化する」ともいわれるが、価格の低下自体は悪ではない。

「米韓FTAも韓国での批准を前に反対が増えている」という論調もあり、mixiニュースなどでも反対派の方が多いという記事があったが根拠は不明である。韓国紙東亜日報によれば、野党民主党(FTA批准反対派!!)が行った世論調査で、賛成は58%、反対は33%であるという。http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=080000&biid=2011103142128 そもそも現在反対している野党民主党は、米韓FTAに署名した盧武鉉政権の与党であった。現在反対しているのも政局的な動きであろうし、あまりTPP交渉の参考にはならない。

以上のような反対論は無視してもいいが、2つほど検討すべき懸念はある。

1つは、TPPがブロック経済にならないかどうかだ。現在交渉中の国々は環太平洋の一部であるし、アジアからはそんなに多くはない。TPPがより広い自由貿易圏の拡大につながるかどうかは不透明な部分が多い。とはいえ、TPPに参加しないことが自由貿易の拡大につながるということはありえないだろう。

もう1つは、一時的に雇用が悪化することだ。海外への移転が増えたり、破綻する業者が出たりすることで一時的に雇用が悪化する可能性がある。これを機に、労働がより流動的な社会になればよいのだが、逆に「雇用を守る」という名目で正社員への既得権が拡大し、雇用がさらに悪化するという危険性も孕んでいる。現に、リーマン・ショック後の派遣村騒動後、「派遣労働を禁止せよ」という本末転倒な議論が大きくなるという不可解なことがあった。私もこの部分では既得権者なのであまり大きな声ではいいたくないが(笑)、戦後の日本は「終身雇用」、「年功序列型賃金」、「企業別労働組合」といったあまりにも正社員を重視しすぎる仕組みがとられてきた。これは、逆に一度その道を外れたり、最初にその道に進めなかったりする人を差別するという意味であり、バブル崩壊後の長期的不況の時代には適合しているとはいいがたい。そのことが社会的に共有されなければ、この懸念が現実になることは考えられる。

以上の2つの問題を十分に考慮しつつ、交渉参加すべきというのが結論である。万が一、米国があからさまに日本にだけ不利益な内容をおしつけてくるようなことになれば、署名しなければいい。交渉参加前からそのような杞憂ばかりを述べても仕方ない。途中で抜けたら、「普天間問題の二の舞になる」という考えがあるが、普天間基地のキャンプ・シュワブへの移転は、国際法上の条約でこそないものの、日米の外務・防衛相が合意したことであり、それを民主党政権が破ろうとしたから起こった問題である。合意前に抜ける話と同列に扱ってはならない。

明日、野田首相は本当に記者会見するのか。もしかしたら、小泉政権の郵政民営化以上に重大な決断になるかもしれないが、覚悟を持って堂々と参加表明してほしい。