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新規事業も「仕分け」を

2009-11-22 01:49:17 | 鳩山内閣
鳩山内閣も発足から2ヶ月以上経った。各社の支持率は下落し始めた。
その原因は枚挙に暇がないだろう。

経済も危うい。

我々来年卒業の大学生の就職内定率は62.5%http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091119/fnc0911191144013-n1.htm。我々の世代は、新たな「ロストジェネレーション」になり得る。

政府は「デフレ宣言」を行い、日銀に適切な対応をとるよう求めている。http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091120/fnc0911201102010-n1.htm民主党には「利上げすれば景気が良くなる」というような不可解な主張をする議員が少なからず居たのは気のせいなのか。鳩山内閣は経済財政諮問会議を事実上廃止しながら国家戦略室は機能させていないが、諮問会議のウリの1つは、財政政策と金融政策を効率的に行うために、日銀総裁が出席することではなかったのか。具体的に言えば、例えば政府が財政政策をする際に日銀が金融引き締めしたりすれば、財政政策の効果が薄くなる。この様な事態を防ぐためには、日銀の独立性を維持しつつも、政府・日銀の連携は常に必要である。鳩山内閣は政府と日銀の定期協議開催を言ってはいるもののhttp://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091029AT3S2801728102009.html、あまり経済政策に本気とは感じられない。

さて、そんな中大きな注目を集めたのは、行政刷新会議のワーキンググループ(いわゆる「事業仕分け」)である。

各省庁が行う様々な事業の必要性を検討する。無駄を改める。この様な総論に反対する人は居ないであろう。実際、この仕分けでも様々な事業の見直しが迫られた。また、議論が全て公開された事は極めて斬新である。故に、確かに一定の意義はあったとはいえる。

しかしながら、様々な疑問点が挙げられている。この仕分けが選んだ事業は財務省が選定したもの。各事業は約1時間という短時間で議論されている。議論の内容が必ずしもレベルが高いものであったとはとても言えない。思いやり予算や地方交付税等の単なる事業とは言いがたいものも対象となっている。…等々厳しい批判がある。

第一、そもそも基準がはっきりしない。一口に事業の見直しといっても、明らかに必要性が僅少であるとか無駄が多いと思われる事業の見直しと、政権の描く大きな方向性に従って、見直される事業とは異なるであろう。しかし、鳩山政権の方向性は必ずしも明確でない。はたして各「仕分け人」の意見は政権の何らかの基準に基づくものなのか、個人的あるいは恣意的な意見なのか良く分からない。

例えば、科学技術に関わる予算も大幅に見直されることとなった。経済学を学んだ方ならご存知だろうが、経済成長の要素には、資本と労働力の成長に加えて「技術革新(イノベーション)」がある。科学技術の進展は将来的な経済成長・国民生活の向上に不可欠な分野となる。確かに短期的な景気対策には寄与しないと考えられ、選挙を意識する政治家からは重視されぬかもしれない。自民党政権下では、安倍内閣時に2025年までの計画として「イノベーション25」http://www.cao.go.jp/innovation/index.htmlが閣議決定されているが、鳩山首相や菅国家戦略・科学技術担当相はそれをどこまで受け継ぎ、どこを改めて、どういう戦略をたてようとしているのか不透明だ。

基準がうやむやなままでは、「仕分け人」の方々も当然レベルの高い議論ができない。スーパーコンピュータ事業を巡る蓮舫参院議員の「どうして1位なのか。2位では駄目なのか」という旨の子どもの喧嘩のような発言は、まさしくその象徴かもしれない。結局、同事業は事実上の凍結とされた。産経新聞や読売新聞は厳しく批判する。http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091117/stt0911170312003-n1.htmhttp://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091122-OYT1T00014.htm

しかも民主党のマニフェストの政策は多額の財源が必要でありながら、経済成長への寄与が高いとは思えず、国民からの評価も高くない。マニフェスト原理主義に走っては、鳩山内閣も日本も危うい状況になる危険性が高い。そこで求めたいのは、マニフェストの新規事業の「仕分け」である。子ども手当てや高速道路無料化、それに農家への個別所得補償等の新規事業の必要性や緊急性、優先順位等を侃々諤々に議論し、見直してみてはどうだろうか。そうでなくては、経済や財政の悪化は避けられない。

ご在位20年

2009-11-13 20:55:37 | 皇室
本年は天皇陛下ご即位20年の記念すべき年です。平成2年に即位礼正殿の儀が行われた日である昨日11月12日には、政府主催の「天皇陛下御在位二十年記念式典」が国立劇場で、また民間団体主催の「御即位二十年をお祝いする国民祭典」が皇居前広場において行われ、両陛下も出席されました。皇居の宮内庁庁舎前では記帳所が設けられ、9000人以上が訪れたとのことです。

国民の1人として、改めて陛下のご在位20年のお祝いを申し上げます。あわせて、陛下及び皇族方のご健勝と皇室の弥栄をお祈り申し上げます。

私自身は今週、大阪府庁において記帳いたしました。また、先週ご即位20年記念の京都御所一般公開にもまいりました。

昭和64年1月7日、昭和天皇の崩御に伴い、陛下は皇室典範第4条に基づいてただちに即位されました。またこの日には国事行為として剣璽等承継の儀が行われています。9日には国民の代表が陛下と即位後初めて会う、即位後朝見の儀が行われました。翌年11月12日には内外に即位を宣告する即位礼正殿の儀、同22~23日には即位後初の新嘗祭である大嘗祭が行われています。

陛下は即位後朝見の儀では、次のように述べられました。
顧みれば,大行天皇には,御在位60有余年,ひたすら世界の平和と国民の幸福を祈念され,激動の時代にあって,常に国民とともに幾多の苦難を乗り越えられ,今日,我が国は国民生活の安定と繁栄を実現し,平和国家として国際社会に名誉ある地位を占めるに至りました。

ここに,皇位を継承するに当たり,大行天皇の御遺徳に深く思いをいたし,いかなるときも国民とともにあることを念願された御心を心としつつ,皆さんとともに日本国憲法を守り,これに従って責務を果たすことを誓い,国運の一層の進展と世界の平和,人類福祉の増進を切に希望してやみません。


即位礼正殿の儀でのご発言は以下のようなものです。

さきに,日本国憲法及び皇室典範の定めるところによって皇位を継承しましたが,ここに「即位礼正殿の儀」を行い,即位を内外に宣明いたします。
このときに当たり,改めて,御父昭和天皇の六十余年にわたる御在位の間,いかなるときも,国民と苦楽を共にされた御(み)心を心として,常に国民の幸福を願いつつ,日本国憲法を遵守し,日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い,国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって,我が国が一層の発展を遂げ,国際社会の友好と平和,人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。


前者での「皆さんとともに日本国憲法を守り」とのご発言については、「護憲発言」と報じられるなど、当時さまざまな議論を呼びました。しかし文脈から見て、"守る"とは"obey"とか"follow"の意味であり、決して"reviseしない"という意味ではないのは明らかでしょう。憲法第99条に「天皇…は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあることに鑑みて、当たり前のご発言です。後者において「日本国憲法を"遵守"」と述べられていることからも、陛下の真の御心がそこにあることは明白です。

さて、陛下はまさに「いかなるときも国民とともに」、「常に国民の幸福を願い」とのお言葉を、20年間常に念頭に置かれてこられました。憲法第7条にある国事行為のみならず、数多くのご公務をなされています。陛下はご在位中にすべての都道府県を訪問され、国民とのふれあいを大切にしてこられましたが、とりわけ被災地の住民をお慰めになった際のご様子は、その象徴に思われます。

陛下は平和に対する強い思いを示してこられました。広島県、長崎県、沖縄県、硫黄島、そしてサイパン島等のご訪問にはその御意がよく表れています。

陛下は伝統的な祭祀にも熱心に取り組んでこられました。宮中祭祀は国家の繁栄と国民の幸福を陛下がお祈りになるものですが、まさに皇室の伝統が「国民の幸福を願い」という陛下のお気持ちとまったく同じであるように感じられます。また、伊勢神宮や16の勅祭社にも勅使を送ってこられました。靖国神社も勅祭社の1つですが、春秋の例大祭には欠かさず勅使を送られています。

国際親善にも尽力されました。宮内庁によれば訪問された国の数はは32カ国です。中国ご訪問への批判があったり、英国やオランダのご訪問の際には現地で戦時中の捕虜処遇問題がクローズアップされるなど、いろいろご苦労も多かったことと思われます。しかし、陛下はいずれのご訪問の際も、我が国と各国の親善関係を発展させるご意志が強かったことは間違いありません。また、韓国との関係も桓武天皇の血筋について触れた「ゆかり」発言をされるなど、非常に気遣ってこられたのがわかります。なお、韓国政府は日韓併合100周年の来年のご訪韓を要請していますが、これは天皇の政治利用につながりかねません。慎重な対応が求められます。

さて、今日皇室に関する様々な議論がなされていますが、とりわけ皇太子同妃両殿下については、さまざまな驚くべき論調も見受けられます。陛下は6日の記者会見http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h21-gosokui20.htmlにおいて「将来の皇室の在り方については,皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思います。二人は長年私と共に過ごしており,私を支えてくれました。天皇の在り方についても十分考えを深めてきていることと期待しています」と述べられました。また以前の会見http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h21-gokekkon50.htmlでは、「個々の行事をどうするかということは次世代の考えに譲りたい」と発言されています。皇后陛下も「(皇太子殿下と秋篠宮殿下の)二人がお互いを尊重しつつ,補い合って道を歩み,家族も心を合わせてそれを支えていってくれることを信じ,皇室の将来を,これからの世代の人々の手にゆだねたい」と述べられました。即ち、両陛下は次世代の皇太子殿下と秋篠宮殿下に委ねたいという御心をお持ちであることが分かります。

以前も述べたように、皇太子同妃両殿下が将来それぞれ天皇と皇后になられることには、大きな心配はありません。確かに現在の天皇皇后両陛下の「共に歩む」というお姿は素晴らしいものです。しかし、先代の天皇の姿がそのまま次期天皇に受け継がれねばならないわけではないでしょう。もちろん雅子妃殿下のご体調が快復し、ご公務や祭祀へもっと出席されることを願う気持ちはありますが、ご体調がすぐれないために欠席することに対して、異議を唱えようとは思いません。

それよりも、皇位継承の不安定性や若者の皇室への無関心という2点こそが今後の大きな問題であるとは以前も申し上げました。前者については、改めて述べたいと思います。後者については、先日の朝日新聞でインタビューされていたイスラエル人の教授も、国民、特に若者の皇室への無関心に懸念を示していましたが、同感です。20代の無関心層は7割以上との眉をひそめたくなるデータもあるそうですhttp://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/contents/backnumber/0330/。確かに我々の世代は、日本神話や祝祭日の意義等、皇室に関わる知識を学校で教えられた記憶はあまりありません。このような無責任な教育が継続されれば、子供たちに日本人としてまっとうなスピリットを涵養させることはできません。戦後教育の責任は非常に大きいと思われます。

今後このような状況をいかに改善するのか。さまざまな課題が多いとはいえ、鳩山内閣には真剣に向き合ってほしいと切に願います。





※宮内庁「天皇陛下御即位20年記念特集」http://www.kunaicho.go.jp/20years/

※当ブログの関連記事
http://pub.ne.jp/niosmo0418/?entry_id=1886425
http://pub.ne.jp/niosmo0418/?entry_id=2074506


Seven Years in Tibet

2009-11-01 23:47:32 | インポート
先日、映画「セブン・イヤーズ・インチベット」のDVDを見ました。http://ja.wikipedia.org/wiki/セブン・イヤーズ・イン・チベット

この映画のあらすじは以下の通りです。第二次大戦での英独開戦のために、インドにおいて英国の捕虜となったブラッド・ピット演じるオーストリア人の登山家ハインリッヒ・ハラーが、チベットまで逃走し、その後、若き日のダライ・ラマ法王14世と親しくなり、平和で人々の気持ちが豊かなチベットにおいて暮らすかに見えました。彼はチベットでの生活やダライ・ラマ法王との触れ合いにおいて、人間性も大きく変えられました。しかしながら、後半では中国共産党がチベットの「統一」を表明し、チベットの事態は深刻になります。ハラー自身もチベットを出る決意を余儀なくされました。

この映画は実話を基にしただけあり、後半での中国人民解放軍の侵攻等について、当時のチベットの住民の気持ちになってリアルに捉えることができる映画です。12年前の映画ですが、本年は中華人民共和国建国60周年、チベット蜂起及びダライ・ラマ法王亡命50周年という節目の年であり、また昨年チベットにおいて騒乱が起こったことも鑑みれば、チベット問題の入門映画として今こそ見られるべきだと思われます。

ダライ・ラマ法王は、武力による独立を主張していません。むしろ自治の拡大を要求しているわけですが、中国の「チベット自治区」は中国の他の地方政府と同様、チベット人が務める主席ではなく、他地域出身の共産党の書記が実権を握っており、「自治」の言葉からは程遠いのが現状です。中国による統治において、チベット人の人権や信仰、伝統は踏みにじられてきました。中国のチベット自治政府のHPhttp://www.xizang.gov.cn/index.doを見ると、本来ダライ・ラマ法王の宮殿でありながら、現在実質的に単なる観光地とされているポタラ宮に五星紅旗の画像を被せ、「慶祝中華人民共和国成立60周年」という文字が出ますが、これはその象徴といえます。また、同じ箇所を見ていると「慶祝西蔵(チベット)民主改革50周年」という文字に変わりますが、中国にとってはダライ・ラマ法王の亡命が「民主改革」と見なされていることが良く分かります。

ダライ・ラマ法王の主張は、チベット蜂起50周年の声明によくまとめられています。http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/message/uprising50th.html

さて、そのダライ・ラマ法王は、現在訪日中です。先月30日に到着し、今月7日まで滞在する予定で、各地で講演を行います。http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2009japan/index.html

ダライ・ラマ法王は中国の胡錦濤国家主席が掲げる「和諧(調和)社会」について、「全面的に支持するが、真の調和とは武器や金では得られない」と皮肉りました。離日後は、中印が係争するインド北東部のアルナチャルプラデシュ州を訪問するとのことで、中国側の動きが注目されます。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/091031/chn0910311741001-n1.htm

オバマ米大統領はダライ・ラマ法王と会談しませんでしたし、鳩山首相もその予定はありません。先進国のリーダーは、チベット問題等の中国の深刻な人権問題の改善に、もっと尽力すべきです。それこそが「人間の安全保障」、あるいは鳩山首相の大好きな「友愛」ではないでしょうか。