新年おめでとうございます。平成26年、西暦2014年もよろしくお願いします。
今年は60年に一度巡りくる十干十二支(実はこれが本当の「干支」)でいうと、「甲午」の年です。
120年前の1894年の甲午の年は、朝鮮の甲午農民戦争(東学党の乱)に端を発し、日清戦争(中国では「甲午戦争」とも呼ぶそうてす)が勃発した騒乱の年でした。
現在の東アジアは決して120年前の様に戦火を交える様な状況ではありませんが、昨年より日中・日韓関係の緊迫化や、北朝鮮の政変等、きな臭い動きが続いています。
先月26日の安倍首相の靖国神社参拝については、基本的に一宗教法人の施設での礼拝行為であり、この行為自体は信教の自由の範疇であって賛否の次元ではありません。また、A級戦犯(極東国際軍事裁判判決による)合祀や遊就館の見解等に対する批判には頷ける部分はあります。しかし、これらは宗教法人靖国神社の教義に関わることであり、政治や非信者が介入するのはナンセンスです。特に、国家権力が宗教の教義に介入するのは明らかな宗教法人靖国神社とその信者に対する信教の自由の侵害です。
一方、外交問題化するのが明らかななかで、適切な準備や対応をしたかについては政治問題として議論の対象になります。今回、米国政府から初めて批判的な声明を出されたことからみて、調整が十分でなかったことは否めません。とはいえ、時期的な判断については、中国、韓国ともに関係が最悪といえる状況の中、参拝による著しい関係悪化を防ぎ、むしろ今後は「参拝しない」というカードを持てたという側面もあるでしょう。よって、この参拝にかかる対応については、もう少し長期的にみないと評価はできないと考えます。
中国との関係については、一昨年の日本政府による尖閣諸島の購入以降、緊迫化しています。尖閣諸島への領海侵犯や一方的な防空識別圏の設定(特に、民間機への飛行計画提出)は、容認できない話です。その意味でも、日米同盟の強化が求められますし、先月の沖縄県の仲井真知事の埋め立て承認により普天間基地の辺野古沖への移転にようやく道筋がついたことは(高い代償を払いましたが…)歓迎すべきことです。ただ、オバマ政権の東アジアへの関心が以前ほど感じられないことは否めませんし、今後も注視が必要です。
また、ASEAN諸国との連携も重要です。安倍内閣は、「地球儀を俯瞰する外交」を唱えて、ASEANとの関係強化を図っています。これは、今後さらに加速させるべきです。
韓国とは領土と歴史の問題が障害になっています。竹島については、まさか戦争をして取り戻す様なオプションは、決して望まれません。国際社会にも「法の支配」を定着させ、国際紛争をなるべく国際司法裁判所で解決するために、義務的管轄権受諾を促進するというのが国際連合の方針です。日韓両国は国連加盟国であり、また国連の潘基文事務総長は韓国出身です。このことを粘り強く訴え、韓国側に納得させる努力が必要でしょう。
慰安婦や徴用については、1965年の日韓条約で解決済であることに疑いはありませんし、歴史的事実に反する主張や証拠のない主張には反論すべきです。一方で過去の歴史への反省は忘れてはいけません。今後の韓国最高裁の徴用裁判の結果によっては、日韓請求権協定に基づく解釈紛争の解決という、過去には想定されなかった事態になり得ます。政府としてその準備が必要で、お題目のように「解決済み」とさえいえばいい時代ではないのです。
甲午の年とあって、東アジアの外交問題ばかりになってしまいました。他の話題は、稿を改めて論じたいと思います。
今年は60年に一度巡りくる十干十二支(実はこれが本当の「干支」)でいうと、「甲午」の年です。
120年前の1894年の甲午の年は、朝鮮の甲午農民戦争(東学党の乱)に端を発し、日清戦争(中国では「甲午戦争」とも呼ぶそうてす)が勃発した騒乱の年でした。
現在の東アジアは決して120年前の様に戦火を交える様な状況ではありませんが、昨年より日中・日韓関係の緊迫化や、北朝鮮の政変等、きな臭い動きが続いています。
先月26日の安倍首相の靖国神社参拝については、基本的に一宗教法人の施設での礼拝行為であり、この行為自体は信教の自由の範疇であって賛否の次元ではありません。また、A級戦犯(極東国際軍事裁判判決による)合祀や遊就館の見解等に対する批判には頷ける部分はあります。しかし、これらは宗教法人靖国神社の教義に関わることであり、政治や非信者が介入するのはナンセンスです。特に、国家権力が宗教の教義に介入するのは明らかな宗教法人靖国神社とその信者に対する信教の自由の侵害です。
一方、外交問題化するのが明らかななかで、適切な準備や対応をしたかについては政治問題として議論の対象になります。今回、米国政府から初めて批判的な声明を出されたことからみて、調整が十分でなかったことは否めません。とはいえ、時期的な判断については、中国、韓国ともに関係が最悪といえる状況の中、参拝による著しい関係悪化を防ぎ、むしろ今後は「参拝しない」というカードを持てたという側面もあるでしょう。よって、この参拝にかかる対応については、もう少し長期的にみないと評価はできないと考えます。
中国との関係については、一昨年の日本政府による尖閣諸島の購入以降、緊迫化しています。尖閣諸島への領海侵犯や一方的な防空識別圏の設定(特に、民間機への飛行計画提出)は、容認できない話です。その意味でも、日米同盟の強化が求められますし、先月の沖縄県の仲井真知事の埋め立て承認により普天間基地の辺野古沖への移転にようやく道筋がついたことは(高い代償を払いましたが…)歓迎すべきことです。ただ、オバマ政権の東アジアへの関心が以前ほど感じられないことは否めませんし、今後も注視が必要です。
また、ASEAN諸国との連携も重要です。安倍内閣は、「地球儀を俯瞰する外交」を唱えて、ASEANとの関係強化を図っています。これは、今後さらに加速させるべきです。
韓国とは領土と歴史の問題が障害になっています。竹島については、まさか戦争をして取り戻す様なオプションは、決して望まれません。国際社会にも「法の支配」を定着させ、国際紛争をなるべく国際司法裁判所で解決するために、義務的管轄権受諾を促進するというのが国際連合の方針です。日韓両国は国連加盟国であり、また国連の潘基文事務総長は韓国出身です。このことを粘り強く訴え、韓国側に納得させる努力が必要でしょう。
慰安婦や徴用については、1965年の日韓条約で解決済であることに疑いはありませんし、歴史的事実に反する主張や証拠のない主張には反論すべきです。一方で過去の歴史への反省は忘れてはいけません。今後の韓国最高裁の徴用裁判の結果によっては、日韓請求権協定に基づく解釈紛争の解決という、過去には想定されなかった事態になり得ます。政府としてその準備が必要で、お題目のように「解決済み」とさえいえばいい時代ではないのです。
甲午の年とあって、東アジアの外交問題ばかりになってしまいました。他の話題は、稿を改めて論じたいと思います。