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本日の小沢会見について

2009-12-21 16:37:40 | 特例ご引見問題
本日の小沢民主党幹事長の記者会見は、「国事行為」という新解釈は撤回したものの、さらに疑問が深まるものでした。そこで、以下の通り民主党に質問を送りました。

いわゆる特例ご引見問題について、貴党の小沢幹事長は本日の記者会見で、「憲法で規定している国事行為にはそのものはありません」と以前の「国事行為」という新憲法解釈を撤回しつつ、「憲法との理念と考え方は、天皇陛下の行動は内閣の助言と承認によって、行われなければならない」、「天皇陛下にお伺いすれば、喜んでやってくださるものと私は思っております」と述べられました。[http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091221/stt0912211532003-n1.htm]このことについて、以下の疑問を感じましたので、ご説明いただきたく存じます。

1.政府見解によれば、公的行為には「内閣の助言と承認」は必要ではありません(平成2年5月24日参院内閣委員会での工藤法制局長官答弁「公的行為と呼ばれるものは天皇の象徴としての地位に基づいて行われるわけでございます。(中略)国事行為でございませんから内閣が助言と承認という形で関与するものではございません」等)。今回の幹事長の見解は、民主党として新たな憲法解釈を行ったと解してよろしいのでしょうか。

2.民主党のいう「天皇の行動」には、「私的行為」も含まれるのでしょうか。仮にそうであれば、「私的行為」とされる祭祀等にも「助言と承認」が必要ということでしょうか。そうすれば、例えば、本年10月18日に陛下が靖国神社に勅使を派遣されたことも、鳩山内閣の「助言と承認」によるものということになりますが、それは事実でしょうか。


3.憲法に「内閣が責任を負ふ」(3条)とあることから、「内閣の助言と承認」が不適切な場合には、当然国民にはその責任を追及する権利があると思われます。民主党は、そのようにはお考えにならないということでしょうか。


4.天皇陛下は平成4年のご自身のご訪中への批判に関して、「言論の自由は,民主主義社会の原則」、「私の立場は,政府の決定に従って,その中で最善を尽くすこと」と述べられています[http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gaikoku/gaikoku-h04-china.html]。そのことから考えれば、幹事長の忖度はあまりにも民主党に都合がよく、かつ、それで批判を抑えようとするのは、天皇の政治利用の疑いがあります。このことについて民主党はいかがお考えなのでしょうか。


政府の憲法解釈について質問

2009-12-17 01:12:13 | 特例ご引見問題
しつこいようですが、また特例ご引見問題です。

首相官邸に対して、今度は憲法解釈に関して説明を求める以下の質問を送りました。鳩山政権は様々な面で「バラバラ」ですが、本件は国家の基本法たる憲法の解釈に関わることですから、笑い事ではすまされません。

天皇陛下の習近平氏ご引見について、鳩山総理は民主党の小沢幹事長の「国事行為」発言に対して、「よしとしたい」と肯定的な見解を示されました[http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091215/plc0912152043026-n2.htm]。また亀井内閣府特命担当大臣も、「国事行為」と述べられました[http://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY200912150404.html]。しかしご承知の通り、憲法学会の通説としては、天皇と外国賓客との面会は、憲法7条の国事行為ではなく、公的行為と解されています。実際政府内でも、宮内庁の岡官房審議官が「公的行為だと認識している」と述べられています[http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912162015028-n1.htm]。

以上のことから、驚くべきことに、政府及び内閣府内の憲法解釈が全く定まっていないのではないかと感じられます。一体、現在の政府の解釈はいかなるものなのでしょうか。主権者たる国民に対して、明確にご説明していただきたく存じます


政府への質問

2009-12-16 02:03:23 | 特例ご引見問題
天皇陛下による習近平中国国家副主席のご引見に関し、首相官邸に対して以下の通り送信いたしました。

昨日、多くの反発の声がある中で、政府によって天皇陛下による習近平副主席のご引見が強行されました。このような横暴は、断じて是認できず、厳重に抗議申し上げます。その上で、以下の総理のご発言について、国民に対して説明いただきたく存じます。
1「1カ月を数日間切れば、もう杓子定規でダメだというようなことで、果たしてそれが本当にたとえば諸外国との国際的な親善の意味で、正しいことなのか」発言
・今回の件は報道等によれば「数日間」どころではない。そのことについて如何。
・中国の国家副主席のご引見については、「ルール」は守らなくてよいとも解せるが、「ルール」を守るべき場合の国家や役職、そうでない場合のそれらというものを判断する政府としての基準は何か。
・上記について仮に基準がないとすれば、今後「ルール」を守れば、その国と中国の間に差をつけてしまい、再び「あの時は政治利用であった」という批判が再燃しかねない。一方、そういった批判を避けようとすれば、「ルール」を無視し、陛下のご負担を増やす可能性がある。故に、鳩山内閣への批判回避と陛下のご不例への配慮がトレードオフとなり得るが、いずれを優先させるのか。
2「小沢幹事長の発言もありますが…よしとしたい」発言
・小沢氏は、今回のご引見を「国事行為」とされた。しかし、天皇の外国賓客との面会は、憲法7条の「国事行為」に入るとは到底思えない。通説によれば、それは「公的行為」であり、また政府も「外国要人、在京外国大使などのためのご引見」を「国事行為」とはしていない[http://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/01/activity01.html]。
これは鳩山内閣として、憲法解釈を変更したと捉えて良いのか。
・小沢氏は、今回の件に関して「天皇の政治利用」という指摘は否定された。一方で、「陛下はご自身に聞いてみたら『それは手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と、必ずそうおっしゃると思うよ。わかった?」と発言された。この発言からは、鳩山内閣は陛下のお気持ちを勝手に忖度し、今回の件に対する批判の声を抑えようとしたと捉えられても不思議ではなく、これこそが「天皇の政治利用」といっても過言ではないが、如何。


民主党への質問

2009-12-16 00:46:18 | 特例ご引見問題
天皇陛下による中国の習近平国家副主席のご引見についての、民主党の小沢幹事長の記者会見に対して、疑問を感じた方は多いと思います。当方からは民主党に対して、以下の質問をお送りしました。

24日の貴党の小沢一郎幹事長の記者会見における、天皇陛下による中華人民共和国の習近平国家副主席のご引見に関する内容について、以下の7点の疑問を感じました。この7点について、責任与党として、国民に対する明確な説明責任を果たしていただきたく存じます。

1.小沢幹事長によれば、今回のご引見は「国事行為」ということです。しかしながら、私の知る限り、通説では外国賓客とのご会見及びそのご引見は、「公的行為」であろうかと存じます。また政府も、「外国要人、在京外国大使などのためのご引見」を「国事行為」とはしていません[http://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/01/activity01.html]。小沢幹事長のご発言は、民主党として新たな憲法解釈を行ったというものと解されますが、そう捉えてよろしいのでしょうか。

2.小沢幹事長は「国事行為は内閣の助言と承認で行われる」、「国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだ、すべて。それが日本国憲法の理念」と述べられました。確かに憲法3条や7条にはそのことが書かれているのは事実です。しかし、3条の最後には「内閣が、その責任を負ふ」とあり、7条には「国民のために」という文言があります。また、4条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とあります。にもかかわらず、幹事長はそれらについては述べられませんでした。これは民主党が、時の内閣が自身の利益の為に天皇の政治利用をしてはならないという「日本国憲法の精神、理念」について触れたくないために、意図的に述べられなかったと解することもできますが、いかがでしょうか。

3.小沢幹事長は、今回の件に関する「天皇の政治利用」という指摘を否定されました。一方で、「天皇陛下はご自身に聞いてみたら『それは手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と、必ずそうおっしゃると思うよ。わかった?」と発言されています。このご発言を伺う限り、民主党は天皇陛下のお気持ちを勝手に忖度し、今回の件に対する批判の声を抑えようとしたと捉えられても不思議ではなく、これこそが「天皇の政治利用」といっても過言ではありません。この自家撞着と思しき姿勢を、いかに説明されるのでしょうか。

4.小沢幹事長は、ご自身が天皇陛下による習副主席のご引見を要請したことを否定されました。一方で、あの会見では、まるでご自身が政府を代弁されているかの様にも聞こえました。幹事長は内閣に入られていない以上、本来「それは内閣のことなので内閣に聞いてください」とお答えになるのが筋ではないでしょうか。

5.小沢幹事長は、宮内庁の羽毛田長官について、「どうしても反対なら、辞表を提出した後に言うべきだ」と述べられました。一方政府内では、渡辺総務副大臣も今回の政府の決定に批判的なお考えを示されていますが、民主党は同副大臣に対しても同様のお考えなのでしょうか。また、社会民主党の阿部政策審議会長や国民新党の亀井幹事長代理も、同様に批判的又は羽毛田長官に共感する旨の発言をされていますが、民主党は両党に対して「どうしても反対なら、連立を解消した後に言うべきだ」という立場だと解釈してよろしいのでしょうか。

6.小沢幹事長は、天皇陛下と外国要人との面会は1ヶ月前に通告するという「ルール」について、「私はルール無視していいとかなんとかといっているんじゃないよ。宮内庁の役人がつくったから、金科玉条で絶対でそんなバカな話があるか」と述べられました。すると民主党の立場は、中国の国家副主席のご引見については、「ルール」は守らなくてよいということになります。では民主党において、「ルール」を守るべき場合の国家や役職、そうでない場合のそれらというものを判断する基準は、いかなるものなのでしょうか。

7.上記「6」に関して、仮に基準がないとすれば、今後「1ヶ月ルール」を厳格に守ると、その国と中国の間に差をつけることを意味してしまい、再び「あの時は政治利用であった」という批判が再燃しかねません。一方、そういった批判を避けようとするならば、「1ヶ月ルール」を無視するほかなくなってしまい、天皇陛下のご負担が増えてしまいます。即ち、民主党の党益と陛下のご不例への配慮がトレードオフの関係に陥ると考えられます。仮にそういった状況になった場合、民主党としてはいずれを優先するかという方針は決定されているのでしょうか。


ついにご引見(加筆版)

2009-12-15 23:24:42 | 特例ご引見問題
本日、天皇陛下は中国の習近平国家副主席をご引見になった。http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/091215/imp0912151035002-n1.htm鳩山内閣及び民主党が、多くの反発がある中でこのことを強行したのは、極めて遺憾であり厳重に抗議したい。

この件に関する昨日の民主党の小沢幹事長の記者会見http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091214/stt0912142034013-n1.htmは、以下の観点からふざけているとしか言いようがない。

まず、そもそも何故政府の人間でない者が、まるで政府を代表するかのように発言したのか。小沢氏は、自身が陛下による習氏のご引見を要請したことは否定している。しかし、一方であのような高圧な態度で会見したということは、実は本音が出てしまったのではないだろうかとも忖度できる。まるで、おとり質問に引っかかって、アリバイが崩れてしまった容疑者のように見えた。
また、「陛下の体調がすぐれないなら、優位性の低い行事はお休みになればいい」とまで語っている。羽毛田宮内庁長官のことは「内閣の方針…についてどうだこうだというのは、日本国憲法の精神、理念を理解していない」と言っているが、政府内で議論の相違はあり得る。内閣の一員でもない人間がそのようなことにまで干渉していいものか。これは民主党の公式見解なのか。

次に、上記のように、小沢氏は羽毛田宮内庁長官のことを「日本国憲法の精神、理念を理解していない」と批判しているが、この発言によって、実は同氏自身がそれを理解していないことが明るみになったといえる。このことについて、詳しく述べてみたい。

第一に、小沢氏は「国事行為は内閣の助言と承認で行われる」、「国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだ、すべて。それが日本国憲法の理念」と述べた。確かに憲法3条や7条にはそのことが書かれてある。しかし、3条の最後には「内閣が、その責任を負ふ」とあり、7条には「国民のために」(英文は”on behalf of people”である)という文言がある。また、4条には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」とも明記されている。意図的かどうかは定かでないが、小沢氏の発言には肝心な文言が省かれているのだ。ではその文言も含めると、本当の「日本国憲法の精神、理念」はどうなるか。それは、国事行為は時の内閣のためにあるのではなく、「国民のため」にあり、断じて政治色があってはならない。そして、その責任は内閣が取らねばならないということであろう。小沢氏の言うように「国事行為は全部、政治利用になっちゃうじゃない」というのは見当違いと思われ、むしろ政治利用にならないことこそが、憲法の要請である。

第二に、そもそも習氏のご引見は「国事行為」なのか。憲法7条には制限列挙的に「国事行為」の具体的な項目が10個書かれてあり、その9番目に「外国の大使及び公使を接受すること」とある。小沢氏はこの文言の事を言いたかったのだろう。しかし、特命全権大使と外国の賓客とは異なるし、「国事行為」という解釈には無理があるのではないか。通説的には、「国事行為」と「私的行為」の間に「公的行為」が存在し、「外国元首」を「接受ないし接待」するのは「公的行為」であると解されている(芦部信喜『憲法』、岩波書店)。国家元首でない国家副主席なら、なおさら「公的行為」であろう。また現在の政府(宮内庁)も、HPhttp://www.kunaicho.go.jp/activity/activity/01/activity01.htmlを見る限り、「外国要人…のためのご引見」は国事行為とは位置づけてはいない。小沢氏論は、少なくとも憲法の通説や政府見解とは矛盾しているわけだ。なお、共産党の志井委員長も同様の批判をしているhttp://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091215/stt0912152055009-n1.htm

以上のことから、小沢氏の発言を聞く限り、民主党は新たな憲法解釈をしていると考えるのが必然となろう。鳩山首相もこのことに異論を唱えぬということは、政府自身が憲法解釈を変更したととられても仕方あるまい。

さらに述べたいのは、「政治利用」についての自家撞着である。政治利用を否定しながら、「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『手違いで遅れたかもしれないけれども会いましょう』と必ずおっしゃると思うよ」という発言をした。この様な発言で批判の声を抑えようとすることこそ、まさに政治利用の典型ではないか。天皇陛下はかつてご自身のご訪中への反対意見があることに関して、「言論の自由は,民主主義社会の原則」と述べられた。http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gaikoku/gaikoku-h04-china.html政権与党の幹部が、天皇陛下のお気持ちを勝手に忖度して批判の声を抑えようとする行為は、絶対看過されてはならない。今後、権力者が勝手に天皇の意思を忖度ないし捏造して、「これは天皇陛下の御心である!」といって横暴をふるうことになっては困るからだ。

なお、福山外務副大臣は「今後なるべく『今回は例外』ということで対応した方が良いと思います」http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/fuku/f_0912.html#3-Eと述べているが、何故「例外」なのかは明らかにしなかった。一見、政府批判派に同調しているように見せて良識派ぶりをしているが、実は自ら「中国は特別な国」と認めてしまったようなものなのだ。

日本政府は大変なジレンマに陥ってしまった。今後「1ヶ月ルール」を厳格に守ると、その国と中国の間に差をつけることを意味してしまう。一方、政治利用批判を避けようとするならば、「1ヶ月ルール」を無視するほかなくなってしまい、天皇陛下のご負担が増えてしまう。鳩山内閣は、本当にとんでもない罪を犯してしまったのだ。

同内閣は、基地、献金、経済の「3K」が問題とされてきたが、今回の件によって、「皇室の政治利用」も含めた「4K」となってしまった。

本件に関して鳩山内閣及び民主党からは、明確な説明責任が全く果たされていない。それができないのなら、鳩山首相や小沢幹事長は、自らの過ちを認め、最低でも謝罪、できれば辞任すべきである。