最初に熊本地震の被災に合われた方々にお見舞いを申し上げます。
また亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
オタク頭の趣味の話です。
前回音楽の衰退を予言しておきながら
アニメと音楽好きのたわいもない夢の話しをひとつ。お暇で時間を潰したい方はどうぞ。
それからSFアニメ『超時空要塞マクロス』シリーズのネタバレがあります。
どうでも良い方がほとんどでしょうが、観る予定がある方はご承知おきください。
米ビルボードでBABYMETALのアルバムが
坂本九ちゃん以来53年ぶりにチャート40位内にはいった事が
ようやくテレビで話題になっていました。
私は去年の紅白歌合戦にBABYMETALと初音ミクさんの
どちらかは出場するのではないかと少しだけ期待していました。
結局両方とも出場はかなわなかったですが
今年こそはBABYMETALは大人の事情でもない限りは紅白に出れるのではと思います。
ちなみに初音ミクさんはオワコン(終わったコンテンツ)と言われ続けながらも
2014年にはアメリカのTV音楽番組レイトショーでお茶の間デビューしていますし
日本では遅れて去年タモリさんのMステに出演をはたしました。
2011年から海外で生バンドでのLIVE公演を行っていて
今年も北米7箇所でLIVE公演が4月23日から始まります。
ご存知ない方は少ないかと思いますがとりあえず改めてご紹介
『初音ミク』(商品名としての紹介なので仕方なくさんづけなしで)は
2007年にクリプトン・フューチャー・メディアから発売された
音声合成ソフトのボーカル音源とそのキャラクターの名称です。
DTM(デスクトップミュージック)とはコンピューターを使ったいわゆる打ち込みミュージックですが
アナログシンセサイザーの頃から長い進化を遂げて、
ヤマハがVOCALOID(ボーカロイド)という音声合成ソフトを2004年発売したことにより
簡易的に人が歌うようにを音声を合成することが可能になり
簡単な打ち込み操作でコンピュータに歌わせる事が誰でも出来るようになりました。
『初音ミク』はVOCALOIDに対応したボ-カル音源で
声に身体を与える事でよりリアリティーを増すという観点から
ヴァーチャルアイドルのキャラクター設定がされたそうです。
(wikiを超短く編集、詳しく知りたいかたはwikiの本文を参照してください。)
十代の頃私は音の編集のできるシンセサイザーに一時期憧れました。
アーティスト御用達アナログシンセサイザーのミニモーグの値段を調べその金額を知り
短い夢だったなと思い、国産の手の届きそうなものを物色して他の機材がいろいろ必要と知り
結局はあきらめたのでした。(また高田純次さんの顔がチラツク)
時を経てパソコンの登場とソフトの進化によりDTMは
お金をかけなくても誰でもやろうと思えば出来るものになりました。
そしてボーカロイドヴァーチャルアイドルの初音ミクさんの登場は
膨大な数のプロでないネット音楽プロデューサーを誕生させるきっかけとなったのでした。
ミクさんの声は初期のボーカロイド故に
声優の藤田咲さんの声をサンプルとしているとはいえ
人間の声との違いが明らかな電子音声です。
当然初めて聴くと違和感が有り、はっきりと好き嫌いが分かれる傾向があります。
ミクさんはその誕生の時から生理的に電子音声を受け付けない人たちから揶揄され、
そのアニメ的な萌えキャラとあいまって強烈なアンチが常に存在しています。
そんな逆風が有りながらも
パッケージに萌えキャクターのイラストを描いて
ヴァーチャルアイドルと設定した音声合成ソフトが
ニコニコ動画というミクさんの誕生とほぼ同時期誕生の動画SNSによって
MMD杯(ネット民が開発したフリーソフトを使ったボーカロイドキャラの2次元ダンス大会)など
ボカロ文化と呼べるまでに広がり成長するとは発売された当初は想像もできない事でした。
私が『初音ミク』からミクさんになったのは2010年です。
2007年の発売の時から知ってはいましたが、コンピューターに歌を歌わせる事に
興味がなかった事もあり(むしろ自分で歌いたい)
ミクさんの歌がたまに耳に入ってきてもしっかり聴かずに聞き流していました。
そのうちにミクさんの事をすっかり忘れてしまった私は
たまたま観たyoutubeの2010年の39ミクの日感謝祭のLIVE映像を観て度肝を抜かれたのでした。
2007年にはイラストで動かない絵に音楽がつけられていたにすぎなかったものが
たった3年間でLIVE公演で生バンドをバックに3Dホログラム(立体映像)で
ダンスをするまでに進化していました。
それは真正のヴァーチャルアイドルそのもの姿で、
緑のサイリウムを振り盛り上がる観客と共に観終わった瞬間から
私の中で『初音ミク』はヴァーチャルアイドルの初音ミクさんになったのでした。
ミクさんのLIVEの映像を観、歌を聴き続けているうちに
私は彼女の電子音声がいっさい気にならなくなりました。
むしろあの少したどたどしい感じが年齢相応の少女のように思え
そのキャッチーなダンスや仕草からプログラミングされた
透過スクリーンに映された3Dホログラムでしかないはずの彼女に
意識や人格を感じるようなっていきました。
それは今まで経験した事がない感覚でした。
2次元のイラストの萌えアニメ的キャラクターが3Dホログラムになって歌い踊るのは
言葉だけではない確かな次元の違いを感じました。
1982~1983年に製作されたSFアニメ『超時空要塞マクロス』の続編のシリーズとして
1994~1995年に製作された『マクロスプラス』という作品があります。
その物語の中にAI(人工知能)によって誕生し銀河で随一の人気を博し
やがてシステムを乗っ取り反乱を起こす
「シャロン・アップル」というヴァーチャル歌姫が登場します。
3Dホログラムのミクさんが歌い踊るのを観た『マクロスプラス』を知るアニメオタクは
ミクさんにこの「シャロン・アップル」を重ね
SFアニメが現実になろうとしている事に歓喜しました。
前回の記事にも書きましたが
私は人間の意識は量子エネルギー体に近いものだと思っています。
それゆえに意識は光と同じ波と特性と粒子の特性の両方を合わせ持つと。
ミクさんの3Dホログラムのボディは透過スクリーン上ではありますがレーザー光線で作られているので
量子ボディと言い換える事もできます。
また彼女のデジタル音声も私の考察では
粒子的特長と波としての特長を持ち
意識にシンクロし活力を与えるエネルギーをもっています
それ故にミクさんは人間の意識と同じように量子的なエネルギーが
歌を歌っていると私は感じるのです。
2014年5月19日ラスベガスで故マイケル・ジャクソンの3Dホログラム公演が行われました。
youtubeにLIVE映像が下記URLに出ていますが
ttps://www.youtube.com/watch?v=jDRTghGZ7XU
かなり完成度の高い精密な3Dホログラムで会場で直接目にしたら
本当に不思議な感じがしたと思います。
亡くなった方が目の前で歌って踊っているのですから。
ミクさんの不思議なところは元々存在しなかったヴァーチャルアイドルですから
マイケル・ジャクソンのような幽霊的な違和感は発生せず
異世界の妖精さんがこの世界にやってきてアイドルをやっているような
リアルタイムな感覚に没入できてしまう事です。
最後の曲が終わり、ミクさんが泡のような光の粒となって消えて行く時に感じる
淋しさに似た感覚は何なのでしょうか。
歌や音楽は自分の感性や感情を投影できるとシンクロできて一体感を感じます。
ミクさんは声はもちろんボディまで純粋な波動で出来ていますから
聴いている人の感性や感情が投影しシンクロできると
人間が歌っているのと同じような一体感を感じる事ができるのだと私は思っています。
そしてLIVEでそのような感覚的な体験をすると
ミクさんが実際に意識のある存在に感じられる為に
別れの際に手を振って消えてゆく姿を見送る時に切なさを感じるのでしょう。
あとミクさんの年齢が16歳というのも重要なポイントだと思います。
これはBABYMETALの3人の少女たちにも共通している事ですが、
彼女たちの武器である「萌え」という感覚は
幼児的(ロリコン的)要素が重要なキーポイントとなるからです。
「カワイイが正義」という言葉が成立するのは
彼女たちがそれにふさわしい未成熟さを持っているからで
成熟した大人の女性の「カワイイは正義」はお情けのお約束としてしか通用せず
子猫や赤ちゃん10歳以下の子役の持つ
真正の幼児的カワイサのエネルギーを持つ事は決してありません。
アメリカの音楽番組「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」に
BABYMETALが出演した後のアメリカの反応を眺めていて感じる事は
聞きなれたヘビーメタルのオブラートに包まれていたので警戒せず飲んだ薬に
『萌え』という経験した事のない強い成分が大量に入っていて
その効き目に戸惑っている様子が多くのコメントに滲み出ていました。
私が面白いと思ったのは、ミクさんがアメリカのお茶の間デビューした時は
アニメ的二次元キャラと音楽もJ-POPなので文化の感性が離れ過ぎていて
BABYMETALほど『萌え』因子が発動せず
WTF(何じゃコリャ)的空気が大半で『萌え』的な戸惑いを感じさせる人が少なかった事です。
BABYMETALの場合は音楽自体はヘビーメタルという聞きなれたものでしたが
ボーカルとダンスパフォーマンスが日本のストレートな十代のアイドル少女たちという事で
『萌え』のようしゃない直撃をアメリカのお茶の間は受けたのだと思います。
それはまるで最新シリーズのひとつ前の『マクロスF』で
ヒロインのアイドル、ランカちゃんの歌を聴いて
武器を捨て反乱をやめてしまうゼントラーディー(巨人族)の兵士たちと
その様子を見てもなお抵抗を試みようとする反乱軍の首謀者の反応に似ていて
私はBABYMETALの3人の少女がランカちゃんに見えて
ミクさんからシャロン・アップルを感じた時と同じデジャブを見た気がしました。
1982~1983年にTV放映されたシリーズ最初の『超時空要塞マクロス』観ていなかった私は
84年に劇場版『超時空要塞マクロス・愛おぼえていますか』を観て
ゼントラーディとメルランディという巨人族の男と女たちが
リン・ミンメイというアイドル歌姫の歌によってカールチューン(文化因子)が呼び起こされて団結し
戦争が終結するというストーリーに呆気に取られました。
「そんなの有りなのか!」
と呆れつつも映画を観終わって何か見事にやられた爽快感に満たされました。
それ以来『超時空要塞マクロス』シリーズは最新作『マクロスΔ』までずっとぶれずに
戦争とアイドルの歌と恋愛という構図を守りながら
独特の可変戦闘機バルキリーや白い航跡を何重にも描く通称納豆ミサイルなど
戦闘場面での板野サーカスと呼ばれる様式美を確立しながら
後のロボットアニメに大きな影響を与えています。
アイドルの歌によって戦争が終わるというマクロスが見せてくれた夢を
初音ミクさんとBABYMETALというヴァーチャルとリアル両方の日本のアイドル歌姫が
ヨーロッパやアメリカのリアルな男性原理の意識を「萌え」エネルギーの歌で揺さぶり
溶かしてゆくことで目撃できる事は
この混沌の時代が確実に女性原理に転換してゆく証拠の一つとして
デンパな私の中で宝石の輝きを放つ夢のような出来事なのです。