我 老境に入れり

日々の出来事をエッセイと写真でつづる

「日本の心」(4)宵待草

2023-05-02 07:01:23 | うたごえ、カラオケ、他音楽

宵待草(ヨイマチグサ)

❝待てど暮らせど来ぬ人の

 宵待草のやるせなさ

 今宵は月も出ぬそうな❞

 

この歌の歌詞は

竹久夢二の作品として知られており

大正2年に発表した詩集「どんたく」に

掲載されたものである、

夢二は49年の生涯で多くの恋愛遍歴を重ねた

詩人であり美人画の画家でもあった、

この詩は

夢二が千葉県銚子に滞在していた折

滞在先の隣の屋敷に住む長谷川タカと恋に落ち

秋風の吹く松林を二人で散歩中にふと目にしたのが

砂浜に咲く待宵草(マツヨイグサ)であった、

この時の思い出を後に抒情的な3行詩に

纏めて詩集に含めた、

それを見て感動したのが当時東京音楽学校に学ぶ

多忠亮(おおのただすけ)、

彼は夢二にこの詩に曲をつけることを願い出て

了承を得るばかりか夢二は涙を流して

喜んだと言う、

多忠亮の家系は代々宮内庁の雅楽演奏に従事する

一族であり

古事記を編纂した太安万侶(おおのやすまろ)の

子孫とも言われている、

「宵待草」の詩は三行三十六文字だけであったが

当時売れっ子の詩人で作詞家でもあった

西條八十(さいじょうやそ)が

結核療養中の夢二を訪ねて

❝もう一連書き足されては、、、❞と進言したが

❝貴方にでも書いていただくか、、、❞と寂しそうに

答えたと言う、

そこで夢二の死後4年たった昭和13年に

「宵待草」が映画化されヒロインの高峰三枝子が

歌う運びになって第二連目の詩が

西條八十によって書き加えられた、

❝暮れて河原に星ひとつ

 宵待草の花のつゆ

 更けては風も泣くそうな❞

宵待草は植物学的には「マツヨイグサ(待宵草)」と

言うのが正しく月見草とは近似種でどちらも群生して

可憐な花をつける、

マツヨイグサは黄色、

月見草は白~ピンクである。

            昼咲き月見草