露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

イングリッシュガーデンのつるばら剪定と誘引。

2015-03-29 00:00:48 | 庭仕事
ご自宅で素敵なイングリッシュガーデンをお二人で手入れされているMさまご夫妻


二年前にフランス製のガーデンテーブルとチェアをカラーオーダーして頂いてからのご縁です。



フランスで塗装してもらうので、注文頂いてからお届けまでに三か月かかったターコイズブルーのテーブルセット
車の塗装と同じ強度の塗料です。


今日はお待たせしていたつるばらの剪定誘引作業の続き。


フェンス全面に茂っていたハゴロモジャスミンを整理して、オールドローズを誘引。
家の両側面にもイングリッシュローズやオールドローズなどのつるばらがいっぱい。



絵本から飛び出したみたいなMちゃん






使い込まれた奥様のガーデンブーツ





帰りに畑から抜いてくださったツヤツヤプリプリのホウレンソウを頂きました!

「化成肥料を全く使わず無農薬で育てました」とご主人

あくが全くなく、シャキッとした歯ざわり!・・帰ってから早速生でバリバリ美味しく頂きました~


それにしてもお庭でお茶って良いね~肩の力が抜けて寛ぎモード・・

ついつい、話に夢中になってしまう


バラの開化の時期には写真を撮りに行かせてくださいね♪

春の暖かい陽気でほころぶバラのつぼみのように、少しずつ少しずつ・・


ご家族が明るい空気に包まれるよう願っています



ありがとうございました!!









伽藍石の据え付け

2015-02-25 22:30:50 | 庭仕事
3か月ぶりに現場に復帰しましたら紅梅と白梅が咲いていました!


梅は風情がありますね! 香りもほのかで気品があります。

病気や害虫を心配されることも多いですが、日当たり、風通しの良い場所で育った健康な状態の老樹はほとんど病気しません。

幼樹のときは旺盛に伸びようとするので、病気や害虫にもあいますが、人間と一緒で樹もそんなことを経験しながら強くなっていくのです。

むやみに病気や害虫を怖がるのではなく、樹種にあわせて病気や害虫を発生させる環境をさけて植えつけることが大切です。




こちらの梅は年数をかけて剪定でふんわり仕立てて行く予定です。




今日は待ちに待った伽藍石の据え付け。


「伽藍石」ガランセキとはお寺などの大きな建築物の柱の基礎石として実際に使われていた石です。

コンクリートのない時代、建物を支えるため大きな石を加工して使っていましたが、先人の技術と美意識には頭が下がる思いです。

主に飛び石の踏み分け、景石として使われます。






一年前の三月、京都の資材やさんで親方が選んで来られた伽藍石。



最近では造園用資材として作られた小ぶりなものも出回っていますが、

こちらは本当にお寺の柱の基礎石として使われていた歴史ある滋賀県の伽藍石です。


お餅のようにふっくらと手掘りで彫り込まれたラインが美しい!




大きさを強調するため、建物から離さず近景を作ります。







滝口の石組調整。



O先生、Y子さま、長らくお伺いできず申し訳ありませんでした
年末のぎっくり背中からバラ苗の植え替えに突入したため、3か月ぶりにお会いできました。

お元気そうなご様子に安心しました!
やっと新年のご挨拶ができました!





古材の板石も少し詫びて馴染んできました。


工事がスタートしてから丸一年が経過しました。

親方がコツコツと作る庭は冬から春へと表情が変化し、完成に近づいています





松の剪定と消毒終了!

2015-02-24 22:11:13 | 庭仕事
半年前からお声を掛けて下さっていたお宅の松の剪定が終わりました。



数年剪定を飛ばしてしまったため、内枝は枯れていましたが雄大な曲の素晴らしい松でした。





写真はありませんが、この他にも6~7mの立ち松と門掛け松、小ぶりでも仕立ての良い松等、松だけですが時間がかかりました。



長らくお待たせしてしまいましたが、とても喜んで下さったので一安心



剪定が終わった枝には小鳥たちが集まってきます。

メジロを観察していると、松の芽の切り口から出てくる樹液を吸って回っているのでした。

真ん中あたりにいるのがメジロ。


ジョウビタキ


エナガは必ず集団でやってきて大騒ぎ。




剪定していると通りかかりのおばちゃんからキムチを頂きました


あまり辛くなくてやさしいお味ありがとうございました



のどかな沼隈・・





植木とバラの消毒、石灰硫黄合剤と施肥もあらかた終了しました。



昨年11月より、別現場と剪定、新店舗の準備に追われていましたが、

明日からなんと!3か月ぶりに岡山の現場に復帰します!!




親方がコツコツ進めておられた庭が、どんなに変わっているのか楽しみです~~


明日から朝が早いので、今日は早く休みますね、おやすみなさい



山桜の移植。

2015-02-22 20:34:19 | 庭仕事


今日は朝から雨がパラパラ降っていましたが桜の移植、無事に終了しました。

湧水が流れるお寺の境内から小高い丘の上に移植。

境内は重機が入らないので二人で手掘り・・ガラ土に手こずりました





丘の上は好きなだけ大きくなれますが、風や日当たりは今までよりも強くなります。

土壌も改良しましたが、しばらくは水やりが必要です・・やってもらえるだろうか・・。





親方が桜に向かって一言。


「がんばれよ」


夕方から土砂降りになったので、桜にとっては恵みの雨になりました






天然川石の延段

2015-02-08 22:35:36 | 庭仕事
先週より親方は岡山の現場を再開しました!


O先生、長い間伺えず大変申し訳ありませんでした


親方は集中してできる環境にしてから伺うと決めていたようでしたので
福山の現場に専念して参りました。

私は福山の現場が終わった後も新店舗準備のため、岡山について行けませんでしたが、
先日、現場の親方からメールで画像が届きました



4日かかって川石の延段が完成したそうです!






う・美しい!!!


手前みそになりましょうか・・でもこの苦労がわかるだけに感動!!

石の合端を合わせるために選りすぐるのですが、用意した石の三分の一ぐらいしか使えなくて、
あとの三分の二は延段には使えない石だそうです。





川石は全て天然、岡山県高梁川産と京都で仕入れた鉄錆石です。

昨年のお正月明けに、高梁川の採石場で朝から晩までかかって選り集めた備中石。


延段用の小さい石は私がせっせと集めました。
石は小さく見えますが一個がずっしり重く、ヒーヒーフーフー
まん丸なのは結構あるんですが、延段や差し石に使うような角のあるものはなかなか見つかりません。


親方は巨大な石山の上によじ登り、前石や役石、飛び石になりそうなサイズの石を集めておられました。
川石は投げ落とすと傷がつくので、重い石を抱えて降りたり上がったり・・・。

「ウブじゃから傷つけちゃあいけん」

ツルツルで滑りそうな川石の山から落ちなくて良かった


さすがの親方も帰りは足がガクガクになっていました。





天然の川石は業者の方にお金を払って購入します。

「トラックいっぱいになるまでつみゃーえーがー(積んだらいいよ)」と言ってくださるんですが、

一日中集めても三分の二にも満たないぐらいの量にしかなりません



現在は川石の採石は禁止されていますので、今ある在庫で終了です。

いづれはどんなにお金をつんでも手に入らない貴重なものになります。





石選びや石の合端を合わせるために時間をかけ、想いの詰まった延段になりました








ドウダンツツジの植えつけ

2014-11-24 23:00:15 | 庭仕事


20~30年もののドウダンツツジ!

こんな仕立てのドウダン、見たことありません。

前景の樹は重要ですが、なかなか思うものに出会えず何度も変更していた親方でしたが、
このドウダンに出会ってからはこれしかないと決めていたようです。

幹もきれいだし太い、大切に育てられた一本もの。

O先生の手助けのおかげで無事に植わりました!





最近はドウダンに限らず、何の樹でも株立ちしか売れないため、
生産者が年数をかけて作っている樹も根元で切られて株立ちにされています。

住宅事情が変わり、仕立てられたものより自然樹形のサラッとした樹形が求められることと、
幹に虫が入った時に全部枯れてしまうというリスクが少ない、
大きくなりすぎたときに更新ができるなどが株立ちのメリットです。

私も数年前までは絶対株立ちじゃろ~という考えでしたが、
露花に入り、年数が経ったものが美しいという価値観に変わりました。

株立ちの樹は樹種にもよりますが、数本で命を分け合っているため、一本の寿命は短くなります。
下から生えてくるひこばえを上手に更新して仕立てないと古い枝が一気に傷んでくるのですが、
ひこばえを急に大きくするとそちらにばかり栄養を取られるため、バランスを見て仕立てます。

植えたときはいいけど、案外きれいに育てるのは難しい・・。

その点、一本で育った樹は素直で美しいです。
ぐりぐりに切り詰めて仕立てるのではなくて、樹本来の樹形になるよう透かし剪定で大きくしたいですね。




久しぶりに来れましたらあちこち紅葉して錦絵図の庭でした





なかなか来られずジレンマの親方ですが妥協はしないと決めているようですので、完成までついていくしかありません


O先生、Y子さまの優しいお言葉に甘えて、まだしばらくは時間を頂くことになると思います

いつもお心遣いありがとうございます!!






M邸庭工事はじまりました!

2014-11-21 01:45:31 | 庭仕事

新しい庭の工事が始まりました!

最初に声をかけてくださってからずいぶんお待たせしました。

穏やかで優しいMさまご夫妻に感謝します!

ご夫妻の育児観にもとても共感していますので、私も想いが入ります



子どもたちが外に出ると表情がイキイキしてくる庭がいいなぁ

ブランコや滑り台、ボールなどの子ども用に用意された遊具で遊ぶのは楽しいですが、
おもちゃやゲーム、遊具に頼らず庭の中の植物や石、土、水など、当たり前に身近にあるものを見て触って五感をフルに刺激するのは楽しいですよ。

こどもたちが成長していく姿を一コマ一コマ記録していきたくなるような庭になればと思います。







割り出した岡山県産御影石を親方が手でノミ切りした沓脱石。
600キロの石を丸太の上に乗せ、丸太をゴロゴロ転がして搬入。


外構やカーポートなどが設置済みのため、クレーンや重機は使えないことと、一部狭い通路を通るため手作業の搬入でした。


心配していた作業でしたが、ご主人のサポートですんなり入りました


そしてそしてYくん
可愛い~可愛い~!!目がキラキラ!そのうえすごいやる気と仕事ぶり!

毎日手伝ってくれるのでとってもラクさせてもらっているわたくしヘヘッ

なんと一センチのレベルミスにも気が付く目ベラー(目ベルが正確な人)です






最近は外構はしたものの庭は手付かずで・・というご相談が多いです。

こういう場合は問題点も共通しています。


掃き出し窓から庭に降りられない。

植物は好きだが一面に生える草とりは面倒。

隣接部分の目線が気になり年中カーテンが開けられない。

緑が少なく乾いた感じがする・・・などが代表です。



これらの問題点を解決するためには、コンクリートを打って、デッキをつけて、
二階から日除けスクリーンを垂らせばオッケイ!と思われるかもしれませんが、
コンクリートを一面に打つと照り返しで灼熱地獄です

デッキで重要なのは出て何をするのか、何を見たいのかです。

デッキでバーベキュー・・といっても周りに背景や植物が何もないのであれば、
仮設舞台みたいになっちゃいますし、無理やり乗ってる感じで落ち着きません。


視線を集める舞台の上でのバーベキューは恥ずかしく、気が付くと
「座布団や枕干し場にしか使ってない」なんてことになりかねません。

日除けスクリーンも場所に応じては良いのかもしれませんが、二階から垂らしたり
三面に垂らしてる家を見ると家が風呂敷に包まれてるみたいで悲しくなります。





庭の中の構成で大事なことは、目的がはっきりしていることです。

洗濯物を干す、お茶を飲む、新聞を読む、子どものプールを出す、
花火や夕涼みする、花や野菜を育てる、物置に道具を取りに行く、七輪でサンマを焼いて食べる、、、等々。

特にすることやしたいことがない人は何かをしたくなるような空間を作っておくと良いですよ。




よほど広い庭園かガーデニング大好き人でない限り意味もなく散策することは稀です。

生活の中の庭では何かをするためにどこかに行くのであって、
何となく思い付きでそっちの方向に歩くことはありません。

言い方を変えると、そっちに行ってみたい何かがあるから歩いていくんですね。

歩きにくい道だったり、障害物がある場所へは行きたくなくなるし、
草ぼうぼうやカンカン照りの場所へも出ていきたくありません。


こんな心理をうまく生かして庭の導線をとります。

スムーズに導線が取れてストレスフリーになると庭に出るのが楽しくなります。

想いが多すぎて話が長くなってしまった・・




中から眺めるだけではなくて外に出ていきたくなる庭を作ります





苔はり作業中

2014-10-31 01:36:47 | 庭仕事
昨日今日は一人で苔貼り作業です。





スギゴケを貼ると周りの空気が変わります。





雨落ちと見切りの砂利は岡山県高梁川産の天然川石、備中砂利です。
濡れると美しいうえ、排水の役目もあります。

ちなみに川石の飛び石も備中石。
正月にまる一日かけて業者の石山の中から選び出してきた天然の川石です。


苔や砂利を使うと空気が引き締まります。

苔は本来山奥の神域のようなところに生息しているものが多く、苔庭を見ると厳かな静寂と長い年月の経過を感じます。

日本人のDNAの中に擦り込まれている記憶が呼び戻されるような感覚


最近若い世代の方にも和風が見直されています。

京都の神社で結婚式をあげる「京都婚」、ここ5年で40倍に増えたそうですよ。


日本の和紙も無形文化財登録されるようですね。

これはすごく嬉しいことですね



和紙の職人さんがテレビで後継者がいないと言われていましたが、需要がなくなれば伝統を継承する人が絶えてしまいます。


苔もそうですが、美しい仕立ての植木や竹垣の竹材の生産者も需要がなくなると生産が難しくなります。


日本の貴重な材料の生産や手掘りの石灯籠の職人の技などが絶えてしまわないよう、許される限り庭に使っていきたいと思います。



実際露花のお客様は和が7割、洋が3割というところでしょうか。


洋風でもイングリッシュガーデンやフレンチカジュアルをそのまんま借りてきた感じではなくて日本の景色になじむよう地域の素材や自生植物を使いたいですね。






あと少しで東側の庭が完成します





お寺の剪定終了

2014-10-22 01:14:02 | 庭仕事
一週間かかりましたが、期日までに無事終了しました!


今年は雨が多かったせいか、ほとんどの椿にチャドクガがもぶれていました。

直に触ったわけではありませんが、剪定と掃除の度にはげしい痒みと蕁麻疹・・・

あまりにひどいので二回病院で注射してもらいました

今年はチャドクガ三度目・・・。



明日からは「保育園の庭」の剪定と手すりとベンチのリフォームです




台風ニモマケズ

2014-10-13 23:10:59 | 庭仕事
台風19号の接近で日中に暴風域に入りました。

高いところの剪定は危ないので低いところを仕上げしましょうと提案したのですが

頑固な親方は聞く耳持たず。




山が揺れて樹が唸る激しい突風の中。



風ニモマケズ松の剪定・・曲芸師のようなアクロバティックな体勢の親方。

慎重派の私はひたすら低い松の剪定



このあと暴風雨になり、伐採やら何やらで全身ずぶ濡れに。


午後からやっと引き上げることになりました


何事もなく通り過ぎてくれて良かった





それにしても剪定・・・遅れてます・・年内に間に合うのか・・・