露花便り

福山市の庭師のブログです。庭師の仕事や日々の生活の中からやさしさに包まれる出来事や気付きを綴っていきます。

古材の石貼りアプローチ完成!

2014-09-04 03:10:59 | 庭仕事
古い石材を加工して作ったアプローチが完成しました!



アプローチはお客様を迎える大切な空間です。

家族にとっては勿論、老若男女、様々な方が来られることを考慮して、歩きやすく玄関まで安全に案内することが理想ですね。


ベビーカーや車椅子、手荷物を持たれている場合や夜の暗がり、雨で泥濘んだ土に足を取られないように心配りされているなど、家主の気遣いが現れるところでもあります。



毎日歩くところは歩きやすいことが一番、そのうえで素材やデザインに気を配りたいですね。


こちらの庭は施主様の好みを反映して、味わいのある古い町家石などで作りました。


目地はつけず、合わせの部分を全て手仕事で面取りしたのでかなり時間がかかりましたが、凛とした上品な仕上がりになりました。

両サイドに苔がくるのが楽しみです!



腰積みもアプローチまでは完成



低木と苔貼りが終わるとアプローチは完成ですが、連日の雨ともろもろの仕事で遅れています。

週末ごとの親方の災害ボランティア活動や今月から始まる剪定もあり、年内に完成が見れるのか不安です

恐らく親方は妥協せずコツコツとされるのでしょうから誰にも止められません。

そのうえ予定にないことを新たに盛り込もうとされるので、それを引き止めるのに精一杯



親方の気がかりはボランティア活動と打ち合わせのため、しばらく日曜日に現場に行けていないことです。

O先生と一緒に作業できないのが残念です









昨日はTさまの山の庭、剪定中に親方が蜂に顔をさされるというアクシデントがあり、猛烈な痛みと腫れのため点滴まで打つ騒ぎになりました。

みるみるうちに誰だかわからんような顔になられていましたが、点滴のおかげで腫れが引いたようです。




今日はお待たせしていたKさまの庭の枕木ステップの修繕が終わりました。


お待たせしたり、ご迷惑をおかけしたりで申し訳ありませんが、みなさま優しくて本当に感謝します



明日から・・・というか、あと二時間後から東京に出張です。

いろいろ良いご報告が出来ると思いますのでご期待くださいね




それでは行ってきます


アプローチの石貼り作成中

2014-08-09 22:25:23 | 庭仕事
台風11号が接近していますがみなさま対策は万全ですか?

かつてない程の大雨特別警報が出ている地域もありますね。


私もずぶ濡れになりながら、バラを軒内に取り込みました。

親方は岡山の現場の植木を心配されています。


どうか何事もなく無事に通り過ぎてくれますように!



雨続きでなかなか進みませんが、

現場ではアプローチの石貼りに入りました。






京都の町家で出た古材の板石や倉根石をベースに岡山産の御影石を加工して一石ずつ合わせていきます。

細かい合わせを一人で作業されるため、チェーンブロックが久しぶりに登場しました。




私は北東側通路の板石の目地詰めと雪見窓のための植栽中です。





砂利は岡山県高梁川の天然川砂利、濡れると美しいです。

常緑のアセビや寒椿、ツワブキ、ササキ、クマザサに加え、千両や万両の実ものを少し足しました。
冬から春にかけて植物で季節を感じられるよう構成しています。

あと少しタマリュウやフッキソウ等の下草を植えます。



年数が経ちラカンマキの生垣の芽が詰まってきたら、置燈籠を配すると良い高さに石を据えています。


お盆までにアプローチを完成させたかったのですが、打ち合わせや剪定、雨の影響等でまともに来れておらず、遅れています

気は焦りますが、親方はこだわりを貫くようですので、誰にも止められません



施主様にはとても良くして頂いているので、何とか仕事でお返ししたい一心です。


まだまだ続きますがよろしくお願いします!!












マツの芽切り

2014-06-30 21:55:48 | 庭仕事
雨が少なかったせいか芽があまり伸びてなくて良かったです。



芽切りなんとか間に合いました


土も触ってみましたが、細かい根が思っていたよりよく伸びています。

長崎で触った土はキメが細かく粉状でソフトな感じでしたが、こちらの風の強さを考えると、
比重が重いぐらいの方が良いよう感じたので、真砂土に数種類混ぜて植え付けました。



全国で一番雨の少ない「晴れの国岡山」ですから、育ちの長崎よりも格段に雨が少ないと思いますので、
散水システムが完成するまでは水やりを多めにやっていこうと思います。









サーモウッド板塀施工中

2014-06-29 12:41:23 | 庭仕事


ひと月半あけましたが、瀬戸内市の庭園工事の現場に戻りました!



塗料で塗り潰すのではなく、木目を活かした上品な板塀に仕上げます。


威圧感をなくして軽くスッキリと見えるよう、板金の仕上げを工夫しています。




こちらのサーモウッドの板塀は両面貼りです。

外側はあと少しで完成しますが、内側は石積み完成後になりますのでまだまだ先になりそうです



アンティークレンガのテラス

2014-05-26 22:28:44 | 庭仕事
備前で買い付けたアンティークレンガ。

ほんもののアンティーク(解体されたレンガ)なので、同じレンガでもパレットごとに全く違ううえ、

レンガ一個一個も色と形、厚みがバラバラです。





最近雑貨や家具などあちこちでアンティーク人気ですが、手に入るものの多くは本物のアンティークではなく、

わざと古く見せかけた「アンティーク風」なものばかりです。

私は若い時に雑貨のバイヤーをしていたのですが、その当時はそうした「アンティーク風」なものが可愛いとかオシャレだという価値観でした。

若い自分には本物のアンティークは手が届かない値段だったこともありますが、重厚すぎて重い、気がこもってて怖い、

などと毛嫌いしていたような記憶があります。

当時は「気がこもってて怖い」と考えていたくらいですから、自分がまだ若く未熟で、

それらのものが発する気を受け止めるうつわがなかったんだと思います。





自分が年を取ってみると、安い素材をわざと古びた感じに塗装したり、安易に錆びさせたりしても何の感動もないうすっぺらい印象を受けます。


良質の素材を丁寧に塗装したものが大切に使われ続け、年数かかってはじめてアンティークになるんです。




全てはものが生まれた時にアンティークになれるかどうかが決まります。


良質の素材でなければ年数かけて生き残ることができないし、丁寧に作られたものでなければ大切に使われない。

大切に使われ続けるためには、家族や生活の中に愛情が必要です。

それらをクリアして生き残ってきたもの、伝えられてきたものに感動します



たった一つのレンガにも生まれたときからの記憶があって、それが集まって重厚なのにやさしい空間になるんです




ランダムになりすぎるとだらしない感じになるため、いくつかの決まりごとを作って並べていきます。

重厚感と温もりのある本物のレンガ。







味のあるレンガですが、目地詰めとかき落としに恐ろしく時間がかかります




土砂降りでも作業できるとこまで続けます












O邸庭のリフォーム工事スタート!

2014-05-08 01:53:58 | 庭仕事
北側のバリアフリー工事に引き続き、南側の庭のリフォーム工事がスタートしました

ご契約頂いてから早4ヶ月・・・

こちらの都合で長らくお待たせして申し訳ありません


こんなにお待たせしたにも関わらず、いつも変わらず優しくてあたたかいOさま


感謝です!!








既存の水栓の解体撤去と床掘りが終わったところ。







当初既存の水栓(コンクリートブロック壁の構造物)が不便で困る位置と高さに設置されていたため、

解体撤去して使いやすいものを新たに設置することをおすすめしましたが、

不便ながらもまだ使えるということで、残すことを希望されていました。



水栓は建物から1メートルの距離、庭のほぼ真ん中に南向きに設置されていました。

この水栓を残すなら折角のテラスを分断してしまい、ゆったり取れるはずの空間が

半分は通路幅程度しか確保できないことになります。



洗濯物を干したり、テーブルを出してお茶をしたりと、

生活に欠かせない貴重な空間になるはずですが、まだ生まれていない空間の利便性や

ゆったりした空間の豊かさを口や図面、3D等を使っても上手くお伝えすることができずにいました。




そのままご契約、着工となりましたが、昨日実際に床掘りが終わった時点で

そのことの重大さを理解して下さり、急きょ水栓の解体撤去とテラス工事の追加をすることになりました。








今回に限らず、新築と違ってリフォームは難しい点がたくさんあります。

一番難しいことは、今までの生活が変わることを施主様ご自身がご想像がつかない場合があることです。




いわゆる外構工事とは少し考え方が違っていて、庭は大きな流れの中で

意味合いや役割をもった樹や石等で構成されます。



大きな意味合いに沿って、何かをするためのスペース、そこへ行くための通路等、

理由があってはじめてそこに小道がつくのです。




小道の先が行き止まりのブロック塀、歩いて行ってはみたものの

何もないスペースに到着するのなら、小道をつける必要がないのです。







配置される樹や石等の高さや位置関係は複雑で、高度な技術と知識、美意識を求められます。

この配置が骨組みとなり、それによって小道がつき、その場所に合う生育条件の低木や

草花などの植物を植えて肉付けするのです。

骨組みとなる構成が安易で、理由もなく漫然と樹をただ植えただけの庭に

低木や草花をたくさん植えて肉付けすると、

不自然でごちゃごちゃした取り留めのない庭になります。

デザインや花にばかり目が行き届いても肝心の植木はぞんざいな扱いだったり、

自然界のルールを無視して植えているようでは本物の植物好きとは言えませんよね。





分かる方にしか解らない世界ですが、このことをわかってくださる方と

一緒に仕事を出来たなら、それだけで幸せだな~と考えています






日本庭園で説明すると、遠近感を持たせるために家の近くに太い樹を入れたり、

飛び石の間隔をわざと変えて打ったりします。

特にアプローチの取り方や素材は訪ねて来た方への細かい気配りとなり、

家主の好みや価値観、配慮を反映しているため、

なんでもいいというわけにはいかないという考えで作庭しています。





「庭は住む人のこころを映す鏡」と言いますからね

部分部分でちょっとずつバラバラに造るものではないのです。





ところが、リフォームの場合は、目的が先にあることが普通です。

「バリアフリーに直したい」

「手入れの手間を省きたい」

「水勾配を取って排水を良くしたい」

「いらない樹を処分したい」
 
「目隠しが欲しい」

・・などが代表的ですが、目的のことだけを叶えたく、

それ以外のところにはお金を使う必要はないと考えておられる場合があります。

電化製品のように何か不具合なものだけを取り替えてしまえばいいというものではなく、

「ここをこれに変えるなら、こっちはこうでないとおかしい」というのが庭師としての親方の考え方です。


ところが、長年暮らしてこられた施主様の方が意外なところにも繋がりがあるということに気づきにくく、

慣れ親しんだ環境が変化することをうまくお伝えできない場合が多々あります。




時間はかかりますが「一番最初から良しとしてきたこと」を変えることなく、

最終的にご家族にとってベストなプランで完成するよう努力しています。








リフォームでお庭の悩みを解決するという利便性だけでなく、

「庭で生活する」ということの意味を追求して、お伝えしていければと思っています





地元の御影石と石工

2014-04-24 01:10:29 | 庭仕事

先日石やさんで選んで帰った石。




4mぐらいありますが、こんなに長い石をぱかんと綺麗に割るのは相当難しいです。






石そのものの質や個性も左右しますが、職人さんが石を割る技術は素晴らしい!










現場に着いた石を親方が大ハツリされます。












大ハツリされたものを細かくノミを入れて落としていきます。








今日一日かけてやっとここまで進みました





時間がかかってなかなか進みませんが、どうしてもこんな手仕事を引き継いでいきたいのです。





まだしばらく石工作業が続きます













板金やさん

2014-04-21 23:08:34 | 庭仕事


キリシマ、マツ、モミジ・・・
植物の表情が変わってきました。












少し雨が残りましたが、板金やさんが取り付けに来てくださいました。





板金屋さんはすごいなあ。

足場が悪いところでもするすると進んで取り付けされます。






そしてすごく丁寧な仕事。



親方は「板金やさんって、折り紙とか得意じゃろおな。ワシはよおせん。」とポツリ。



「ほんとにすごい綺麗ですね。わたしもようせん。」













長谷川さん遠いところありがとうございました。

またよろしくお願いしますね



今日はその後、レンガやさんと竹やさんと石やさんへそれぞれ注文していたものを貰いに行きました。








明日は朝から石やさんです









アラカシの移植と虹

2014-04-13 09:50:30 | 庭仕事




計画した植木は予定通りに植え込まれていきます。















既存の樹と計画になかった樹を移植するのに悩みました。





うまくいかずストレスが溜まりかけた頃、空にかかった虹を発見








モヤモヤが吹き飛びました







駐車場に防風林として植えられていた樹はどれも元気なくこせていたのですが、

家族と一緒に成長してきた歴史の証人としてこれからも見守り続けて欲しいという願いを込め、アラカシだけは庭に移植しました。












親方と施主様。






ガラの中に植えられていたアラカシは全く根を張らず、15年間ひたすら耐えて生きてきたという姿でした。


元気になるよう念入りに土壌改良し、移植しました。



アラカシが庭で元気になっていく姿を私達も見守っていきたいと思います









軒内

2014-04-11 02:03:58 | 庭仕事
軒内はとても重要です。


ここ数年、夏になると緑のカーテンやオーニングで

日除け対策しないといけなくなったのは、軒のない住宅が増えたからです。




軒がないので軒内の大切さや意味合いを考える機会が減りました。


私の勝手な希望的予測ですが、おそらく数十年後には昔からの建築方法が見直され、

また軒のある建築に変わっていくと信じています。

敷地や駐車場の問題を解決して、新しい建築が生み出されるのを楽しみにしたいと思います。






そんな考えの私自身、親方の影響がなければ軒内についてここまで考えることもなかったと思います。






軒内の構成、沓脱石や二番石、三番石、袖垣、雨落ちなどについて考えている時間は

とても楽しく、日本人で良かったと心底思います。



特に数寄屋住宅の軒内はゆったりとして上品さが漂う空間です。
軒の張り出しが大きいほど太陽の直射も遮れるし、垂木や板金の細工も美しいです。







夏が過酷な日本で考え出された美と用を兼ねる素晴らしい建築技術ですね。



軒内は、「住まう人と訪れる人」、「建物と庭」を繋ぐ、結びの空間と考えています。

沓脱石や犬走りの素材や仕上げ方で、意味合いも雰囲気も大きく変わってしまいます。




今回頭を悩ませたことの一つは軒内の仕上げ方でした。

犬走りの広さは軒内の広さで決まるのですが、犬走りがゆったりと取れるのに比べ、

既存の玄関ポーチは軒先からかなり控えて施工されていたのです。


つまり軒に合わせると、玄関ポーチより犬走りが飛び出してしまう状態でした。





問題の解決にあたって、何通りか案を巡らせた結果、

それぞれを別々に区切らず犬走りと一体化させ、スッキリまとめることにしました。


施主様御夫妻のお人柄から、お客様をかしこまらせることなく、

優しくさりげなく迎える雰囲気にするべきだという親方の考えでした。


当初砂利を使った洗い出しの予定でしたが、既存の玄関ポーチに使用されている

備前焼タイルとの馴染みが悪かったため、どちらも土の温かさが生きるよう、三和土に変更しました。




・・・といっても面積が広く、踏まれる頻度も高いため、三和土では強度的に難しい…。


おそらく割れや削れができるので、修復等のメンテナンスも必要になります。

そこで、見た目は三和土のやわらかさですが、強度はとても強い新材料を使うことにしました。









いつもは数種類の材料を配合しますが、今回は水の加減だけで良いので調合が簡単です。






このくらいの練りが伸びやすい。








時間との闘い。






サンプルを見て、メーカーから取り寄せた化粧砂利を見た親方は、




「こりゃ〜インドネシアな雰囲気じゃな。」

「ようわからんけど、ふぇいじょあって感じじゃな。」


・・・と言い放ちあっさり却下。








地元岡山高梁川産の備中砂利を使うことになりました。











施主様にも化粧砂利を入れてもらいました。

せっかく綺麗に入れて頂いたのに、タイミングが早すぎてほとんど出なかった

申し訳ないです






抑えの後に表面に遅延剤を散布し、4~5時間後にかき落とします。







練り始めてから30分で急激に硬化し始める材料なので、抑えのタイミングが一瞬で過ぎ去ります。

親方が左官で失敗することは珍しいのですが、タイミングがずれて強度がなくなってしまったので一部やり直しました。



はつって壊し、型枠を作り直し、下地を補修して材料をもう一度取り寄せ、

いざ!っ・・・ていうときに私がぎっくり腰になりました

ヒ~~~~!!


またまた大ピンチかと思いましたが、雨を避けて日曜日の施工になったおかげで

施主様が親方を手伝って下さり、見事完成しました!!




























O先生、本当にありがとうございました!!!





植栽が終わったら雨落ちに取りかかります