ちゅう年マンデーフライデー

ライク・ア・ローリングストーンなブログマガジン「マンフラ」

センセイいけません!

2006年03月13日 | アフター・アワーズ
 久世光彦追悼ということで「センセイの鞄」をWOWWOWで再放送していた。川上弘美の簡素化された言葉の世界が映像になると具体的な俗世間として描かれてしまうので小説の世界に似ているけれど異なった世界になっていた。キャスティングは悪くないと思ったし、小泉今日子の衣装がよかった。月子とセンセイが床を共にするシーン、終局のクライマックスの一つで小説の通りの展開ではあるけれど、あーゆう影像ではみたくなかった。抱き合うシーンなんていらないんだけど。センセイまぐわっちゃいけません!

 川上弘美の小説は食い物が常に過剰にあふれる世界なので、ここはもっと過剰に、うまそうに描いてほしかった。

 漱石の「彼岸過迄」を読了。いわゆる修善寺の大患から復帰しての第1作、探偵小説風な前半と須永の手紙、松本の話という後半部分でがらりと趣が変わって、終わり方もよく分からない閉じ方。なんともすっきりしない読後感ではあった。停車場で探偵らしきアルバイトをしながら、敬太郎がのちに千代子と分かる女の存在が気になって、頭とふるまいが混乱するくだりは、おもしろかったけれど、途中でどこか気力が萎えたように思える小説ではあった。「行人」に期待しよう。

 まったく話は違うが、S部鉄道が最近お客様窓口を開設したとか、お客様の声を反映して駅舎の改善に努めているとか車内広告でPRしている。ここの路線は車内広告が少なくて、いつも関連企業の窓上広告などで埋めてあるのだが、自己PRするほども、お客が実感できないのがいかにもこの会社らしい。オーナーが逮捕されるまで、社員の頭には乗客サービスという言葉は存在しなかったようで、いつも乗せてやっているといった態度が感じられて不愉快な思いをしたことが何度もあった。駅舎は老朽化しているし、改札の位置が誠に不便な駅もある。特急や臨時を除いて始発から終点まで乗り換えなしでいける列車がない。遠距離の利用者は相当不便だろう。定期券や特急券は自動販売機を設置すればいいのだからどこの駅でも買えるようにすればよいだろうに、いまだターミナル駅でしか買えない。劇的改善もないのに、こんな自己PRは最近流行の偽装にも似てまったく誠意が感じられない。それでも私はこの傲慢列車に乗らなければならないのだった。
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