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帰ります(2018九州no16)

2018-12-21 | 九州

 

 定期観光バスのコースを終えて、港の横を抜けて長崎駅に向かいます。この時間にガイドさんが 永井隆博士が残した「この子を残して」を切々というのか朗々というのか、語ってくださった。                                  。。うとうとしていたら、いつの間に遊びから帰ってきたのか、カヤノが冷たいほほを私のほほにくっつけ、しばらくしてから、「ああ、……お父さんのにおい……」と言った。この子を残して――この世をやがて私は去らねばならぬのか。母のにおいを忘れたゆえ、せめて父のにおいなりとも、と恋しがり、私の眠りを見定めてこっそり近寄るおさな心のいじらしさ。戦の火に母を奪われ、父の命はようやく取り止めたものの、それさえ間もなく失わねばならぬ運命をこの子は知っているのであろうか。

 もっと長く語ってくれたと思う。彼女は仕事で、もう何十回、いや何百回も語り続けていることでしょう。旅の最後に心にしみるひと時でした。もちろんその文言を録音してきたわけではありません。文明の利器は心強い。検索して「この子を残して」を呼び出したのです。

 ずっと読み進めていくと、こんな綴りも出てきます。・・・真実孤児の道はさみしい。孤児の真実の道は苦しい。この道を行くは辛く、悲しく、難しい。この道は暗く、細く、けわしく、石多く、花少なく、窮して通じ、通ずれば窮す。路傍に立つ者は枯木のごとく冷たく、頼りなく、そっけなく、しばしば枝を張り出して妨げる。……手をつなぎゆく幼い二人、兄は十四、妹は八つ・・


 駅に着いたらちょうど列車がホームにいた。 今日は土曜日、長崎での安宿を探し一か月も前に予約をかけたのに。全部アウト。明日は帰るだけ、少し距離を稼いでおこうとこの列車に飛び乗り。車内で鳥栖駅前のビジネス確保。

 

 長崎発16:46「特急かもめ」の座席は楽勝。1時間に2本も走っているんだから無理ないか。JR九州さんも大変だ。 

  有明海に沿って走っています。夕暮れの海にノリ養殖用の支柱がいっぱい並んでいました。18:31 鳥栖駅到着。

 鳥栖 7:37 博多まで快速で約30分  新大阪まで鹿児島からやってきた「さくら」で。 新大阪からは「ひかり」で名古屋へ。名古屋からは「特急しなの」で塩尻。そこからは苦難の鈍行列車でふるさとまで。長崎からの距離を数えたら1156km。楽しかった旅のジ---エンド。

 

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