のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『わが友マキアヴェッリ』

2006-02-05 | 
 『わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡』塩野七生 1987 を読了。

のろは塩野氏の長編を読むのは始めてでございましたが
簡潔、かつ臨場感あふれる語り口に ぐぐい ぐい ぐい と引きつけられました。

サブタイトルに「フィレンツェ存亡」とあるように
マキアヴェッリ個人の伝記というに留まらず、
マキアヴェッリの生涯を軸として書かれたフィレンツェ史、という趣き。

当時のフィレンツェ市民の日記や、マキアヴェッリとその周辺人物の私的・公的な書簡、
更にはマキアヴェッリの父の蔵書目録まで
膨大な資料を綿密にあたったことが伺われる、実証的な記述。

なおかつ、その中から
傲然とした チェーザレ・ボルジア
醜男でありながら、輝くように魅力的な ロレンツォ・デ・メディチ
若い書記官マキアヴェッリを余裕の表情であしらう 美しき「イタリアの女傑」カテリーナ・スフォルツァ
実にもって生き生きと、立ち現れて参ります。

そして、こうしたいかにも魅力的な有名人ばかりでなく
世界史の教科書には名前すら記されないような人々、即ち
事あるごとにフィレンツェともめる 法王連中だの
イタリアへの領土拡大を狙う フランス王ルイ12世だの
  12世。  誰?  てお思いんなるでしょう。のろは思いました。
ルイと言ったら、まあ14世か16世が相場でございまさぁね)
マキアヴェッリの上司や妻、文通相手といった、いわば「端役」たちまでが
血肉を持ち、人格を持ち、確かに生きていた 人間 として感じられるのです。




・・・
一回にupする文章が長過ぎてしんどいので
小分けでお出しする方針をとることにいたします。
というわけで続きは次回。