ワールドカップ。
ドイツとフランスが勝って上機嫌なのろでございます。
ドイツはクリンスマン監督がナイスキャラクターでございますね。
ご覧下さい、この喜びよう。
↑はワールドカップ公式サイトの写真から。
↓これもいいですね。
Yahooスポーツ 2006FIFAワールドカップ? - 写真ニュース
それはさておき
6/30の続きでございます。
『印象派と西洋絵画の巨匠展』に於けるのろ的めっけもんを、展示の順に沿ってご紹介いたします。
1:アカデミズム絵画の迫力
展示のトップを飾りますのは「ロマン主義」セクションでございます。
ドラクロワによるエキゾチックな人物像や、ジェリコーの騎馬兵が迎えてくれます。
ちなみにジェリコー、馬が大好きだったのだそうで。昨年のルーブル展には『白馬の頭部』という作品が来ておりましたね。
白馬の眼差しは穏やかで、まるで高名な人物の肖像画のように静かな尊厳を持っており
小品ながらなんとも印象的な作品でございました。
閑話休題。ロマン主義につづくは「アカデミズム」セクションでございます。
しばしば否定的な文脈で使われるこの言葉をセクション名に持って来るとは、ちと面白いではございませんか。
アカデミックな絵画、すなわち古典的技法に忠実に描かれた、写実的な作品が展示されております。
アカデミズムと聞きますと「守旧的」「権威主義的」というイメージが先行してしまうのでございますが
実際の作品を前にしますと、その迫真性に、いたく心を動かされました。
緑したたる山麓で、水煙を上げて流れ落ちる滝。
夕闇の迫る林の中を静かに流れる川。
シルクのソファに体をもたせかけて、はにかむように笑う小さな子供。
3次元にあるものを2次元に再現する、その技術の高さもさることながら
のろを感動せしめたものは、モチーフに向けられた、画家の執拗なまでの眼差しでございます。
ひとくちに 写実的絵画 と申しましても
「へー、上手いな~」という感想しか持てないものもあれば
そのあまりの素晴らしさに、しばし呼吸することを忘れるような作品もございます。
思うに、「写実」といっても、見に見えているものを写して・真似して・描く、というだけではダメなのです。
本当に感動的な写実作品は
視 覚 のみならず、 五 感 に訴えて参ります。
そういう作品の前に立ちますと、そこに描かれたもろもろのモチーフが
もろもろの情報を伴ってーーーせせらぎの音、ヒンヤリとした空気、夏草のにおい、人物の肌の湿り気、身につけている衣服の肌触りまでも伴ってーーー鑑賞者の感覚に飛び込んで参ります。
例えば本展の『漁師の娘』(ブーグロー)。
水辺を背景に、色鮮やかなスカーフで頭を包んだ若い娘さんが
長い柄のついた漁網を右肩にもたせかけ、くつろいだポーズで立っております。
彼女の体温、その肌のしっとりとした湿り気
うっすらと赤みのさす耳朶にくるまれた軟骨の硬さ、あるいは柔らかさ。
肘までまくり上げたブラウスの、少しごわついた手触り
なめらかで繊細な、スカーフの肌触り。
その感触までもが、観る者にありありと想像される、いやむしろ、観る者の中へ飛びこんで来るのでございます。
このような作品と出会ったときは、こう思わずにはいられません。
「ああ、何と よ く 見 て いることだろう!何という眼差しだろう!」
写実性を誇る作品を描くなら
見たものを正確に再現する技術、そして
かたちや陰影を的確に捉える明晰な観察眼は必須でございます。
しかし、なおその上に
対象に没入していくような、あるいは対象に恋するような、熱い眼差しがあってこそ
鑑賞者の心を揺さぶる作品を描き得るのではないでしょうか。
本展の素晴らしい「アカデミック」作品を前にして
「へー、うまいな~」作品と
「こっ これぁスゲーよ!」作品との違いは、
技術的な優劣よりもむしろ眼差しの熱さ
にあるのではないかと、のろ思ったのででございました。
続く。
でございます。
ドイツとフランスが勝って上機嫌なのろでございます。
ドイツはクリンスマン監督がナイスキャラクターでございますね。
ご覧下さい、この喜びよう。
↑はワールドカップ公式サイトの写真から。
↓これもいいですね。
Yahooスポーツ 2006FIFAワールドカップ? - 写真ニュース
それはさておき
6/30の続きでございます。
『印象派と西洋絵画の巨匠展』に於けるのろ的めっけもんを、展示の順に沿ってご紹介いたします。
1:アカデミズム絵画の迫力
展示のトップを飾りますのは「ロマン主義」セクションでございます。
ドラクロワによるエキゾチックな人物像や、ジェリコーの騎馬兵が迎えてくれます。
ちなみにジェリコー、馬が大好きだったのだそうで。昨年のルーブル展には『白馬の頭部』という作品が来ておりましたね。
白馬の眼差しは穏やかで、まるで高名な人物の肖像画のように静かな尊厳を持っており
小品ながらなんとも印象的な作品でございました。
閑話休題。ロマン主義につづくは「アカデミズム」セクションでございます。
しばしば否定的な文脈で使われるこの言葉をセクション名に持って来るとは、ちと面白いではございませんか。
アカデミックな絵画、すなわち古典的技法に忠実に描かれた、写実的な作品が展示されております。
アカデミズムと聞きますと「守旧的」「権威主義的」というイメージが先行してしまうのでございますが
実際の作品を前にしますと、その迫真性に、いたく心を動かされました。
緑したたる山麓で、水煙を上げて流れ落ちる滝。
夕闇の迫る林の中を静かに流れる川。
シルクのソファに体をもたせかけて、はにかむように笑う小さな子供。
3次元にあるものを2次元に再現する、その技術の高さもさることながら
のろを感動せしめたものは、モチーフに向けられた、画家の執拗なまでの眼差しでございます。
ひとくちに 写実的絵画 と申しましても
「へー、上手いな~」という感想しか持てないものもあれば
そのあまりの素晴らしさに、しばし呼吸することを忘れるような作品もございます。
思うに、「写実」といっても、見に見えているものを写して・真似して・描く、というだけではダメなのです。
本当に感動的な写実作品は
視 覚 のみならず、 五 感 に訴えて参ります。
そういう作品の前に立ちますと、そこに描かれたもろもろのモチーフが
もろもろの情報を伴ってーーーせせらぎの音、ヒンヤリとした空気、夏草のにおい、人物の肌の湿り気、身につけている衣服の肌触りまでも伴ってーーー鑑賞者の感覚に飛び込んで参ります。
例えば本展の『漁師の娘』(ブーグロー)。
水辺を背景に、色鮮やかなスカーフで頭を包んだ若い娘さんが
長い柄のついた漁網を右肩にもたせかけ、くつろいだポーズで立っております。
彼女の体温、その肌のしっとりとした湿り気
うっすらと赤みのさす耳朶にくるまれた軟骨の硬さ、あるいは柔らかさ。
肘までまくり上げたブラウスの、少しごわついた手触り
なめらかで繊細な、スカーフの肌触り。
その感触までもが、観る者にありありと想像される、いやむしろ、観る者の中へ飛びこんで来るのでございます。
このような作品と出会ったときは、こう思わずにはいられません。
「ああ、何と よ く 見 て いることだろう!何という眼差しだろう!」
写実性を誇る作品を描くなら
見たものを正確に再現する技術、そして
かたちや陰影を的確に捉える明晰な観察眼は必須でございます。
しかし、なおその上に
対象に没入していくような、あるいは対象に恋するような、熱い眼差しがあってこそ
鑑賞者の心を揺さぶる作品を描き得るのではないでしょうか。
本展の素晴らしい「アカデミック」作品を前にして
「へー、うまいな~」作品と
「こっ これぁスゲーよ!」作品との違いは、
技術的な優劣よりもむしろ眼差しの熱さ
にあるのではないかと、のろ思ったのででございました。
続く。
でございます。