のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『印象派と西洋絵画の巨匠展』4

2006-07-07 | 展覧会
7/5の続きでございます。
どうも 前半ちまちま書きすぎました。
以下はさくさく進みたいと思います。

バルビゾンに続いては本展の目玉商品、印象派でございます。
こう、時系列に沿って見て参りますと
ある様式の次に別の様式が現れたことの必然性が、知識としてではなく体験的に分かってよろしうございますね。
現代のわたくしどもにとって印象派はごく当たり前の「よいもの」となっているわけでございますが
19世紀末におけるいろいろな面での印象派の 斬 新 さ を、小規模ながら体験できました。

最後に来ますのが「20世紀」セクション。
いきなり100年ひとまとめかい! というツッコミは置いといて、さくさく進みます。
ここでは思いがけなく、ピカソ「青の時代」のエッチングを見ることができました。
『プロフィール』=横顔、でございます。

のろは何と申しましても、「青の時代」と「バラ色の(サーカスの)時代」のピカソが好きでございます。
げっそりとやせこけた身体、折れそうに細くスジばった首、薄い唇、孤独な面差し。
沈んだ色彩やモチーフとは裏腹に、「青の時代」の作品は
見る者をぐぐぐっと惹き付ける、強い牽引力を持っているように思います。
遠くからチラと見ただけでも、もうその絵の方へとぐんぐんと引っぱられてしまうような心地がするのです。
キュビズム以降の作品の多くは、反対に、こちらに向かって ばばーーん と押し出して来るようなエネルギーを感じるのでございますが。

本展で見られる作品は、サイズも小さく、サインも入っていない、まるで描きかけのような作品でございますが
そのはかない横顔は、例によって強烈にのろを惹き付けまして
近くから遠くから、いくら見ても見飽きることがございませんでした。

それからピカソもう1点、『鳩』でございます。
これを見るために行きました、ハイ。


Copyright:2006-Succession Pablo Picasso-SPDA(JAPAN)

15×25cmくらいの小品を想像していたのですが、実物はもっと大きいものでございました。
目測、50×80cmといった所でしょうか。
白と黒の絵の具で描かれているように見えますが、使われているのは黒一色です。
紙の白を残すように描かれているのです。
塗りつぶされた黒い画面の中、白いシルエットとなって佇む一羽の鳩。
幅広い筆のストロークが びゅうん びゅうん と、大胆に勢いよく画面上を走っています。
かくも大胆なストロークでありつつ、鳩のシルエットのなんと的確なこと。
ほとんど最小限の筆致で描かれた鳩は
なんとなく孤独な、おだやかな雰囲気で
弱いけれども確かに息づく生命感を発しております。
ピカソのものすごいデッサン力と、ものの本質を捉えようとする眼差しを
しみじみと感じる作品でございました。

すみません、もう一回続きます。