のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『印象派と西洋美術の巨匠展』3

2006-07-05 | 展覧会
まだワールドカップなのでございますが

ドイツが負けてしまって
朝っぱらから大いに落ち込んだのろ。
「NHKラジオドイツ語講座」にも身が入りません。
die Depression でございます。
しかし、世間も時間も午前中〆切のお仕事も、ドイツが負けたからといって待ってはくれません。
こんな時は精神のカンフル剤、クラウス・ノミの『Rubberband Laser』(ラバーバンド・レーザー = 輪ゴムのレーザー)
を聴いて、すみやかなデプレ脱却を計らねばなりません。

♪ あい わな らっ そぉー ゆぅー うぃず まい
      あばべぇーんど えいざるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる(巻き舌)

いやあ名曲だ。 2分で復活。
のろはこれさえ聴けば、いかなる悲しみの淵からでも4分22秒以内に帰還できるような気がいたします。

矢でも鉄砲でもデルピエロでも持って来いってんだぃ!チクショー!

それはそれとして
7/1の続きでございます。

「ロマン主義」「アカデミズム」の次は「バルビゾン派」。はいはい、ミレーさんでございます。
しかしここでの見どころは、コローの『ユディット』でございますね。
コローはもちろん銀灰色の風景画で有名でございますが、のろはむしろコローの人物画が好きなのでございます。
落ち着いた、洗練された色づかいもさることながら
描かれた人物の瞑想的な眼差しや、そのポーズ、手の表情や最小限の舞台装置が醸し出す
寡黙な詩情がいいんでございます。

本展で見られる作品は、このタイトルを与えられなければ
絵の中の女性がユディットーーーその美貌で敵将を籠絡し、寝首をかいて国を救った未亡人ーーーだとは、まず100%分かりません。
ユディットであることを示すアトリビュートが何ひとつ描かれていないからです。
剣もなく、切られた首もなく、首袋を運ぶ侍女もいません。
やわらかにくすんだ紅のドレスを身にまとい、銀灰の荒野をひとり歩むユディット。
敵将のもとへと向かう場面なのでしょう。
うつむいた顔には影がさし、表情は読み取れません。

クリムトはユディットに、性と死のあわいを行く恍惚の表情を与え
クラナッハは勝ち誇る小悪魔のような蟲惑的な表情を与え
17世紀の女流画家ジェンティレスキは、満身の力を込めて男の首を切る彼女に、厳しく眉根をよせた表情を与えました。

コローのユディットは
寡欲で慎み深かったという画家の個性を反映したものか
とりたてて何かを主張するでもなく、ひとり物思いに沈んでいるのでありました。


記事がこま切れになってすみません。あと2回くらい続きます。


最後にひと言。
3位決定戦ではおおいに闘ってくれ、フリンクス。

もうひと言。
試合中、ぶつかって倒れた伊の選手をいたわるレーマンの姿が印象的でございました。

もうひと言。
泣いているシュヴァインシュタイガーをなぐさめる監督の姿も印象的でございました。

2006FIFAワールドカップ - フォトゾーン

よくやったよ、ドイツ。