のろや

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beloved one への侮辱を看過できるか

2006-07-13 | Weblog
ワールドカップの話題を引っぱるつもりはないのですが
ジダンの頭突き退場問題について
わたくしはどうしても、ふたことみこと申したい。
話題が当ブログの主旨からしばし外れることをお許しください。

皆様ご存知の通り
ワールドカップ決勝戦で、フランスの主将ジダンは
イタリアのマテラッツィ選手にヘッドバットをかまして退場処分となりました。
そのきっかけとなったマテラッツィ選手の挑発-------言葉による侮辱-------の内容が
ようやく、当事者ジダン本人の口から明らかになりました。

いわく、彼の母と姉を激しく中傷する言葉であったと。

わたくしはこの事件が起きた当初、漠然と「挑発に乗ったジダンも悪いさ」と思っておりましたが
今や、ジダンは責められるべきではないと考えております。

マテラッツィ選手の発した言葉が、ジダン本人ではなく
彼の家族をはずかしめるものだったというからには。

試合に勝つために、自分への侮辱に耐える
これは、スポーツマンとして当然とるべき態度です。
しかし
試合に勝つために、自分の愛する者への侮辱に耐える
これは、人間としてあるべき姿ではない。

暴力や仕返しを奨励するつもりは毛頭ありませんが
自分の愛する人が侮辱を受けた時は、いかなる場合であれ
侮辱者に対してただちに抗議してしかるべきだと、わたくしは思います。
とりわけ、侮辱された当人がその場におらず、従って当人が抗議することも許すこともできない場面においては。
もちろんその抗議は、冷静かつ非暴力的なものであるべきなのですが。

ジダンのみが処分されたことに、あまつさえMVP取り消しの可能性が示唆されていることに、
わたくしはどうしても納得できません。
サッカーとはそういうものなのだとしても、納得できません。

言葉の暴力に身体の暴力で応じた、という点が悪かったのでしょう
しかし
心理的な暴力の方が身体的な暴力よりも罪が軽いということは決してありません。
可視的か不可視的かという違いこそあれ
そのどちらも、人生を狂わせるほどの傷跡を残し
時には人を死に至らしめるほどの破壊力を持っているからです。

相手選手に意図的に頭突きをくらわす、という
スポーツマンとして恥ずべきことをしてしまったジダンは
記者会見で謝りました。あの試合を見ていた全ての子どもたちと、教育者に対して。

ジダン退場の立役者となったマテラッツィ選手も、謝ってほしい。
あの試合を見ていた全ての子どもたちと教育者、そして彼が侮辱した人に対して。

再三にわたって侮辱の言葉を投げかけるという彼の行動が
意図的なものか、試合でエキサイトしすぎた故のことなのかは分かりませんが
相手の愛する者を侮辱する
という、人間として非常に恥ずべきことを、してしまったのだから。


Yahooニュース - スポーツナビ - ジダン「後悔はしていない」