のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『ルーヴル美術館展』2

2006-10-07 | 展覧会
10/6の続きでございます。
先にも申しました通り、彫刻がメインの本展ではございますが
装身具や子供のおもちゃといったものも、ちらほら展示されておりました。
関節部分が動くようになっているテラコッタの人形なんてものも。
体長は15センチほど。紀元前5世紀のG.I.ジョーでございます。

メインが彫刻なら、サブは 絵皿に絵壷 といった所。
描かれている題材も様々でございました。
競技をくり広げる男たち、身づくろいする女たち。
神々の間の闘い、きれいなおねえさんに言い寄っている男、
そして輪遊びに興じるガニュメデス。




ガニュメデスは神話に登場する美しい少年でございます。
その美しさゆえにゼウスに誘拐され、天上でお酌係をするはめに。
ほんとにこのオヤジは・・・・

瓶の側面に描かれた美少年ガニュメデスは
ポーズといい、体格といい、半円の空間への納まり具合といい
いかにも古代ギリシア的な均整にみちみちております。

瓶の反対側には誘拐者ゼウスが。




追いすがるように一歩踏み出し、少年に向かって片手を差し伸べるその姿、
大神には失礼ながらのろは『ヴェニスに死す』のアッシェンバッハを連想してしまいました。


(↑これはルーヴル所蔵ではありません。よって本展には来ておりません。
なおかつポセイドンなのかゼウスなのかはっきりしていない像でございます・・・)

王女メディアを描いた壷絵も印象的でございました。
いたって冷静な眼差しで、我が子に剣を突き立てておいででした。


本展の主役、アルルのヴィーナスはと申しますと
いっとう最後の展示室に、京都市美術館特有の自然光を浴びて燦然と輝いておられました。
比喩ではなく、実際、表面がチラチラと光っているのですよ。
詳しいことは存じませんが、大理石に雲母でも混じっているのやもしれません。

やんわりと起伏を描く腹筋の美しさもさることながら、注目すべきは
繊細かつ大胆に造形された 腰布 でございます。
左肘にはさまれて くしゃくしゃっ とした部分の、いかにも軽やかな表現を眺めつつ
左回りにヴィーナスの背後へと廻りますと
その左肘から足下へかけて ざあーっ とナナメに流れ落ちる腰布の
なんとも思い切りのいい動きに目を奪われます.

そうそう、全身像、特に裸像はぜひとも、後ろの方からも鑑賞してあげねばなりません。 
往々にして、背中が美しうございますから。
本展では、「酒を注ぐサテュロス」の中性的な背中が、たいへんよろしうございましたよ。
のろ的には本展で一番の見ものでございました。
頭部と腕は大きく欠けておりますが
欠けたるものの美しさにかなうものなど、無いのではないかと
のろは思うのですよ。
ミロのヴィーナスも、サモトラケのニケも
もし十全なかたちであったなら、あんなにも美しくはないだろうと思うのですよ。

最後に。
例によって会場はお寒くなっておりますので
1枚なり2枚なり、多めに着込んで行かれることを強くお勧めいたします。



君はパンツぐらいはかせてもらいなさい。