最後の “黒いベンツ“ に関するネタです。
以前、南麻布にヨーロッパ連合のビルを建てる工事の警備員をやっていた事があるのですが、この近辺はドイツやフランスといったヨーロッパでも一、二を争う大国の大使館立ち並び、加えて中国大使館別館もあり、もうチョイ行けば中国大使館本館もある大使館街でもありました。
ですから、通る車も3台に一台は青の大使館ナンバーですし、半分は高級外車でした。 余談ですが、時折とある野球選手がジャージ姿で白のフェラーリでいい音をさせて目の前を通っていました。 奥さんは某テレビ局のアナウンサーですが、サングラスかけて目の前をよくお通りでした。
で、話を本題に入れますと、そこには近くに保育園があったのですが、朝8時半ぐらいになると毎日のように双子と思われる男の子を連れた、気品のオーラが全身に漂った髪がロングでウェーブのかかった美人セレブがお通りでした。
そう、この地でいちばん最初、警備する時に依頼主の会社から頼まれたのが、
『警備さん、とにかくこの辺の住人の皆さんの対応にだけには注意して下さい! この辺にお住まいの方々は大使館関係者が非常に多いので、下手な対応をしたら工事中止だけでは済まなく、場合によっては国際問題にまで発展し、ヘタをしたら会社のひとつや二つはが吹っ飛んでしまいます。
それに今回の依頼主はそんじょそこらの組織ではありません。 納期が遅れるということはありえないのです。 命にかけても仕上げてお渡ししなくてはなりません。
とにかく近隣住人さんとのコミニュケーションだけは、くれぐれも宜しくお願いします。』
でした。
まー確かにこの工事を担当したら終わるまで気が休まる暇はないだろうなーというコトだけは想像がつきました。 わたしは所詮その日暮らしの派遣労働でしたから、会社が吹っ飛ぼうと、首を切られようと、あまり関心はありませんでしたが、でもこの建設会社の社員の人達は私たち警備員とも対等に対応しれくれていたので、私も出来る限りの仕事はしました。 現場によっては、金を出して雇ってやっているという、上から目線の明白な態度の会社もあったりもしました。
おとっと、話が脱線してしまったので本題に戻りますが、その双子の男の子の上品な美人セレブなんですが、美人で上品なだけでなく、朝こちらが挨拶すると丁寧にお辞儀をされ、挨拶して通って行かれていました。 いやーそれにしても、上品で、優しい、腰の低い美人セレブ♪ なんて、うーーーーーん、文句のつけようがない!
と、まーそれはともかく、ある日のある時、目の前を一台の黒いベンツが通り過ぎて行こうとしていたのです。 で、車の運転席をチラリと見ながら頭を下げると、黒いサングラスをかけた女性が深々と頭を下げられたのです。
「あれ? どこかで会ったっけ?」
と首を傾げていると、横にいた現場の先輩が
『今、目の前を通り過ぎて行った黒いサングラスをかけた女性が乗っていた黒のベンツ、いつもこの前を通るツインズ(双子)のお母さんだよ。 やっぱり乗っている車はおベンツ様なんだねー』
と教えてくれました。
そうそう、警備員の無線ってヒマな時は、けっこうオモシロい内輪話しています。 ただ突っ立っとくのってラクそうに見えてかなりツライんですよねー。 無線ある時にはバカ話していました。
その辺のネタはまた今度ヒマな時にでもアップしたいと思います。
本日も占星学の研究があるので、これにて失礼します。
Good Night!