私は谷間の上に瞑想する天使を見た。完璧な偉大さと美を具えていた。天使は私を見ると、そばに来るように言った。私は彼に近づいて聞いた。
「あなたはどなたですか」。
彼は答えた、
「ミカエル。天使の中で最も偉大な者だ。わからないことは何でも質問し、頼みごとは遠慮なく言うがよい」。
私は言った、
「ここに昇るために、私は多くの苦労と困難に出会いました。しかし私の目的は真理の霊的認識と幻視に到達することです。真理への道をお教え下さい。そうすれば、おそらく私の熱望の最終点に到達し、真理の宇宙的な恩寵の一部にあずかることができるでしょう」。
すると天使が私の手を取り、おびただしい数の光のヴェールの中に導いた。そこで私が見た光景は、今まで現世で見てきたものとは、似ても似つかぬものであった。
ムハンマドは命令する声を聞いた、「もっと近づけ」。彼はめまいを感じ、神の強大さを畏れた。しかし声は言った、
「畏れるな。静まれ。
もっと近づけ」。
そして再び命じた、
「問え」。
ムハンマドは尋ねた、
「私に示されたすべてのことに関して質問させて下さい。そうすれば私の疑問は解けるでしょう」。
すると神の声は「声なき声」でムハンマドに教え、預言者に最高度の知的直感、つまり完全な霊知グノーシスを授けた。
ムハンマドは多くの天を降りメッカへ戻った。自分の部屋で目覚たとき、彼は水差しが、天に昇るときに蹴り倒した状態のまま床に転がっているのを見た。