先日購入したプレイステーション「あかずの間」を一通りクリアしました。本作はヴィジットのプレイステーション用ノベルゲームの初の作品になります。
タイトルから想像すると、地方の古い旅館か屋敷が舞台のような印象がありますが、未来のハイテクビルで実施される心理実験という設定。主人公の綾川恵美(めぐみ)はサイコセラピストで、閉鎖空間で90日間を過ごすというその実験に立ち会ってモニターするのが目的です。実験の参加者はクセのある連中ばかりで、シナリオライター、自称超能力者、AV女優、アイドルなどを含めた10人。ビルのフロアが丸ごと閉鎖されるのですが、その中に「あかずの間」があったという舞台配置です。
90日間といったら結構な長丁場だなー、と思ったら色々と人が死んだりして、まあせいぜい2日で中断になってしまいます。「あかずの間」も序盤にその存在が知らされるのですが、それほど存在感もなく、ネタも途中で大体想像がついてしまうという残念な結果です。シナリオそのものはそれほど悪いとは思わないのですが、「あかずの間」をタイトルにしない方が良かったかなと感じます。ただ、シナリオは悪くないと言っても、3つしかないというのはこのご時世からするとちょっと少なすぎる気もします。
一方、本作の最大の売りはシナリオではなく、ムービーと同期するテキストです。といっても大したことをやっているわけではありませんが、なかなかの臨場感を出すことには成功しているでしょう。ただし、ムービーと同期しているだけに、その部分のテキストの早送りができなくなっており、やり込みプレイ時には結構時間がかかってしまいますが。
また、登場人物が全く表示されないというのも大きな特徴でしょう。多くのノベルゲームではシルエットで人物を表示して、細部を想像させるという手法をとっていますが、本作ではシルエットさえもありません。これによって想像力がより刺激されるのは間違いないのですが、実際のところはムービー作成の手間を低減するためと考えられます。別に悪いことではありませんが。
~プチ攻略~
シナリオは「サイコパス編1」「サイコパス編2」「あかずの間編」です(名前は便宜上のもの)。2つの「サイコパス編」の分岐は中盤でアイドルへの催眠を途中で打ち切るかどうかです。片方の結末は胸糞悪いものですけど。「あかずの間編」への分岐は、おそらく序盤「BSL」の第3選択肢と第5選択肢で2を選べば良いかと思います(違ったらお知らせください)。選択肢総当たりでは分岐しないのには苦労しました。
バッドエンドも幾つかあって、各種死亡エンドの他、「田村と結婚エンド」(冒頭から第3選択肢で3を選び、後は流れで)、「AVエンド」(自己紹介中の流れで)、「自爆エンド」(閉鎖を邪魔し続ける)、「尾崎と結婚エンド」(「あかずの間編」でAVエンド直前で回避する?(条件不明)と夜に尾崎がやって来て、あとは流れで)などを確認しました。
自爆エンドの画像。まるでチュンソフト製のサウンドノベルのようです。
全体的にボリュームが少なく、選択肢もどれを選んでも同じなのが非常に多いのですが、人物のキャラも立っていてなかなか面白かったです。けれどもどうも完成品ではないような気がするので、シナリオを増やしたリメイクがあったらプレイしてみたいですね(特にAV女優の設定を活かしたシナリオを)。