本作はFalcom渾身の一作と言えましょう。オリジナルの『イースVI』はPC版で、背景が3D化。3種の剣をリアルタイムに使い分け、剣技や魔法も簡単操作で発動。世界設定も明確になって過去作との繋がりも濃厚に。音楽は全て特徴的で、場面ごとに異なる曲想が印象的。舞台は3つの島からなり、広すぎず狭すぎず。登場人物全員キャラが立っており、みんな素直でスッキリ(一部を除く)。
PS2版ではタイトルのナンバリング表記は無くなりましたが、キャラも3D化し動作が滑らかになり、アナログスティックでグリグリ動かしているだけでも爽快です。さらに頭身が若干上がりスマートになりました。会話はフルボイス。ダンジョン「アルマの試練」の追加によってプレイがより変化に富み、舞台設定の補強にもなりました。一方、キャラの一枚絵の解像度は低下し、一部の声優とリアルムービーが不評を買っているようです。
イース
IVおよび
Vはコンシューマー機での発売でした。緻密なグラフィックが可能なPCの新作としては久しぶりのイースでかなり盛り上がったようですが、PS2版もなかなかの良移植です。
ゲームスタートはレダ族の集落から。レダ族はカナン諸島に古くから住む亜人の種族で、長い耳と尻尾が特徴。漂流してきた普通の人間(エレシア人)と確執がある様子。まあそれもゲーム前半で解消するので、ギスギスした感じが残ることはありません。
画面構成は上の画面写真のように基本的には俯瞰的な視点になっており、従来イースが持っていた箱庭感が濃厚に残っています。立体感もイースVより格段に向上しており、十分にわかりやすくなりました。キャラの動きも十分に滑らかで、剣を振るうだけでも様々なアクションを見せてくれるのが現代的です。
絶景スポットその1。左奥の岩山はいかにも険しそうですが、実は序盤にてっぺんまで行くことになります。やや手前右側は聖地ゼメス島。こちらは中盤で。
戦闘システムも前作を徹底的に改善しております。本作の特徴である剣技システムですが、3つの剣それぞれで剣技の出し方が異なる(連打、溜め、タイミング)というのもプレイに変化があってなかなかいい手触りです。魔法はボタン一発で発動で、前作のような変な出し方ではなくなりましたが、連発はできなくなりました。それだけに切り札と言えるほどの強さがあります。ボス戦にも有効。
エレシア人の集落には、なんと
初代イースに登場した研究者のラーバがおりました。なかなか好奇心旺盛で、しかもタフな爺様です。ここカナン諸島ではエレシア人とレダ族の誰からも尊敬されている様子。こんな爺様になりたい!
このラーバがいるのは偶然ではなく、イースの起源となる古代文明をたどっているうちにこのカナン諸島にたどり着いたようです。世界設定を一本化するためにも登場する必要があるキャラなのでした。
絶景スポットその2。アドルを探せ!
海底には島を結ぶ参道があり、さらに聖地ゼメス島に向かう途中はこのようにヤバイ雰囲気。途中には竜神兵の培養カプセルが並んでいて不穏です。
この竜神兵の設定によって、これまで外伝のような扱いであった
イースIIIと古代文明の繋がりが暗示されるようになりました。人間が有翼人の技術を使って作り出した生体兵器が野生化して邪神として扱われていた、というのがIIIのボスであるガルバランなのでありましょう。
さらにこの参道にはマジュヌーンという極めて強力な敵が隠れています。こいつは小さな雑魚のように見えて、最終ボスをはるかにしのぐ強さを持っています。翼を持った古代人のイメージを召喚して攻撃することから文明の根源に関わる存在だと思われますが、詳細は不明。パターンを掴んで瞬時に反応できるようにならないと勝利は困難でしょう。ダメージが通るようになるまでにも結構なレベルが必要ですが。
中盤になってやってきました聖地ゼメス島。神秘的な雰囲気これまでのシリーズ随一。音楽も際立っています。
音楽はどれも特徴的でよく耳に残り、似通った曲もなく、聴いただけでシーンが目に浮かびます。どの曲も好きではありますが、なんせ21世紀のハードウェアですから音源的になんでも可能となったため、「制限のある音源をセンスと技術で使いこなす」という側面は希薄になってしまいました。こんなことにこだわるのは時代遅れなのでしょうが、なんせ初期のイース(というか当時のファルコム)はそれほどの革命をゲーム音楽にもたらしたのです。
その後いろいろあって、今回の騒ぎの張本人であるエルンストが最終盤になって登場。過去作のアドルの冒険全てが把握されているようです。ストーカーか!
エルンストは古代の有翼人のテクノロジーを盗んだ人間の末裔という設定で、ナピシュテムを再起動して思うままに制御しようというのが彼の目的。このように古代のテクノロジーを手に入れようとする人間および暴走する古代兵器との戦い、というパターンがIII以降で顕著ですね。ややハリウッド的な展開で、個人的には初代&
IIのような「魔」との戦いの方が好みですが。
ついに古代テクノロジーであるナピシュテムと対峙。その攻撃方法は映画『バイオハザード』の一番嫌なシーン(警戒レーザーで逃げ場のない仲間達が惨殺されるシーン)を思い出しましたよ。このナピシュテムの第1形態は珍しくボス戦で完全パターン化が可能。弱点へのダメージコントロールまでできれば楽勝です。
全体的にボス戦は、とにかくよけてひたすら攻撃というのは少なく、どういうタイミングでどの技を当てるかを見出す必要があるようになっています。特にややこしいのが洞窟ボスのオージュガンで、ボスが射出するザコをバッティングセンターよろしく打ち返すという特殊な攻略法となっています。魔法を使っても倒せますが結構時間がかかりそう。
というわけで終了。画像は難易度ナイトメアでのクリア画面。露出の多いこの妖精はPS2版追加要素「アルマの試練」の案内役であるクレヴィアさん。なかなかの存在感を発揮しています。
アルマの試練ではよりアクション要素が重要になっています。通常より遠くへ飛ぶダッシュジャンプが自在に出せないとクリアはできないでしょう。ところがこの操作がややこしくて、方向キー入力→方向キーニュートラル→攻撃ボタン→ジャンプボタンという手順が必要です。慣れないとまったく出せません。何度かゲームクリアした後になって、攻撃ボタンとジャンプボタンは同時押しすればいいということに気づきました。この方が安定します。
クレヴィアさんといえば、PS2版に同梱されているスペシャルサウンドCDのピクチャーレーベルとなっています(初回生産版)。BGMのアレンジ、CDドラマ、効果音が収録されています。CDドラマはゲーム中のシーンの直前または直後のものもあり、ちょっと嬉しいサービス。アレンジBGMはPS2版追加曲が中心ですが、2、3曲目はどこで使われているのかわかりません。
ゲームを1回クリアすると現れる対ボス戦のタイムアタックモード。全ボス通しで戦うボスラッシュの他に、個別に戦うこともできます。画面写真は私が難易度ナイトメアのボスラッシュをクリアした時のもの。3時間半もかかっています。一部のボスで異常なまでに苦戦したのが原因。倒せるときはあっけなく倒せるんですけどね。こういう運頼みの攻略は極力減らしたいところです。
難易度ナイトメアのボスラッシュをクリアすると、ビキニ姿のオルハ姉と浜辺をブラブラすることができます(ラブラブすることはできません)。
そういえばプレイ中の会話で登場人物(主に女性)の「あの‥‥、いえ、なんでもありません」というようなセリフがやけに多いのが気になりました。30分に一回は誰かが言っていた印象。はっきりせい!
私は本作を難易度ハードで最初のプレイしました。その方が高難易度モードに耐性がつくだろうと考えたためですが、思った以上に苦労しました。といってもその苦労は序盤での話。ゲームを始めて最初のマップであるクアテラの樹海で、私は最初のゲーム進行イベントもこなさずにレベル30まで上げていたためです。樹海の奥にはかなり強い敵がいるのですが、移動しない植物系の敵ならば攻撃を途切らせなければ一方的に勝てるのです。ただしこの時点でアドルは弱い武器しか持っていないため、1ずつのダメージしか与えられません。1体倒すのに250回以上も攻撃しなければなりませんでした。うっかり攻撃の手を緩めてしまって即死したことも何度もありました。それでも剣を振る手ごたえや滑らかな走りが気持ちよくて、何時間でも稼いでいることができました。
難易度ハードクリアの後はナイトメア、ノーマルの順にクリア。そして最初のプレイではアイテムを揃えておらず隠しボスのマジュヌーンも倒してなかったので改めてハードでクリア。全難易度で完全クリアした時点で満足してクリア認定です。
次は本来ならIIIのリメイクの「フェルガナの誓い」をプレイしたいところですが、私の現在の環境ではできないので、PS4の『イース・オリジン』に挑戦しましょう。