エドヴァルド・グリーグ:
・組曲「ペール・ギュント」第1番
・組曲「ペール・ギュント」第2番
指揮:ペーター・スターン
アムステルダム交響楽団
ピョートル・チャイコフスキー:
・幻想序曲「ロメオとジュリエット」
指揮:ローレンス・シーゲル
ロンドン・ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
Grand Gala: DGL 2112
20世紀の後半、秋葉原の象徴と言えばAKBではなく
石丸電気 でございました。特に関東では知らない人がいないほどの知名度がありましたが、いろいろあってエディオンに吸収されたようですね。当時、兄から石丸のポイント券をたくさんもらってCDを買いあさっていました。
そんな時に見かけたのがこのディスク。ジャケットを見ると何やらパチモノくさい雰囲気がありますが、私が買った時には日本語のオビが付いておりまして、そこには石丸電気の名が…。「オランダ製輸入盤」とも書いてありますが、ディスクやケースのどこを見ても
「MADE IN GERMANY」 の文字しかありません。唯一オランダ的なのはライナーノーツを書いたとされる「Frits de Haen」という名前くらい。
指揮者の名前を見ると、ペーター・スターンとかローレンス・シーゲルとか聞いた事もありません。楽団の方も、(旧)アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団なら知っていますが、アムステルダム管弦楽団とは? ロンドン・ニュー・フィルハーモニア管弦楽団というのも(ニュー)フィルハーモニア管弦楽団のことなのかどうかも不明です。これは
幽霊指揮者・幽霊オケ のたぐいですね。それにしてもこのことを石丸電気のスタッフが知らなかったとも思えな……、まあいいか。安かったから買ったディスクだし、収録曲のいずれも具体性の高いものなので、解釈がどうだとかあまり考えずに楽しめるわけですから。
グリーグはノルウェーの作曲家で、いかにも北欧っぽい作風です。私はノルウェーに出張したことがあって(
本土 に一回、
離島 に一回)、ノルウェーの雰囲気に非常に惹かれるものを感じています。この「ペール・ギュント」組曲はグリーグの代表作の一つで、特に最初の「朝」は誰もが知っている曲でしょう。朝に聴きたい音楽のベスト3に間違いなく入るほど朝っぽい爽やかさがあります。
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こちらの動画が「朝」ですが、私はこの曲を聴くと思い出す事があります。小学生時代、箱根の林間学校での起床の音楽がこの曲だったのです。それはそれで爽やかな朝だったのですが、夜の出し物で我が班は「箱根八里」の歌を歌う事になっておりました。その本番で班長だった私は指揮をしたのですが、練習不足でなんだかグニャグニャになってしまったのです。それは私の責任でもあるのでいいのですが、聴いていた教師どもが鼻で笑っていたのです。そのことにあまりにも頭に来て、あれから数十年経った今でも「ペール・ギュント」を聴くと芋づる式にそのことを思い出してムカついているのです。グリーグ氏には申し訳ないですが。
他にも有名な曲があり、「山の魔王の宮殿にて」などは色々と使われているようです。沢田研二の「6番目のユ・ウ・ウ・ツ」のイントロにも引用されています。それと「アニトラの踊り」も好きな一曲。
カップリングのチャイコフスキー「ロメオとジュリエット」は学生時代に一学年下の後輩達が演奏しており、したがってそこそこよく知っているのですが、初めて聴いたときは随分とアニメ的だなと感じました。というのも、運命に翻弄される皮肉めいた悲劇であるはずが、なぜか
「くるみ割り人形」 や「白鳥の湖」のようなチャイコフスキーお得意のおとぎ話的かつ熱血的な音楽なのです。幻想序曲と銘打ってあるだけの事はあります。同じ「ロメジュリ」でも
プロコフィエフのバレエ音楽の方 はドライで屈折した音楽で、非常に対照的です。
このディスクのどちらの曲もわかりやすく、さらには演奏効果もあって、聴いていて楽しい曲です。わかりやすいだけに指揮者としては自分の音楽哲学を注入する事ができないので、こだわりのある指揮者はあるいはこっそりと小銭稼ぎで演奏する曲目だったのかも知れません。ひょっとしたら幽霊指揮者の正体はそういう「立派な」指揮者なのではないのかなー、などと想像したりしています。そういった謎も全てひっくるめて石丸電気は我々に楽しみを残してくれたのかもしれませんね(んなアホな)。
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どうでもいいですが石丸電気のCM。懐かしいです。
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