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1月の課題本 夏目漱石『草枕』

2018-01-05 00:00:46 | ・例会レポ

夏目漱石 『草枕』新潮文庫 他

智に働けば角がたつ、情に棹させば流される―春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』とならぶ初期の代表作。(Amazon内容紹介より)

=例会レポ=

「草枕」を課題本に推薦したのは、昨年11月の朝日新聞読書欄に載った宮崎駿と半藤一利の対談で、二人が「草枕」大好き、何度も読み返している、と語っていて、私は未読だったので、読みたいと思ったことから。
この対談は去年早稲田に開館した漱石山房記念館のオープン記念イベントだそうです。

新聞の記事とはちょっと違いますが、対談の内容はこちらで読めます。

https://dot.asahi.com/aera/2017113000038.html?page=1


そのあと、奥泉光も漱石作品の中でも「草枕」が好き、と語っているのを知ったり、サンキュータツオがラジオで「草枕」のことを言っていたり、例会でも話しましたが夢月亭清麿の漱石をモチーフにした落語の会でも「草枕」のことを語っていたり、私個人としては草枕を読もうと思ったらいろいろとシンクロしてきたなと思ったりしました。

しかし。
事前に某会員の「読み切れそうにないから、休む」というのを聞いていたので、他の人たちは大丈夫かなあと思ってはいたのですが。
続いている寒さのせいのせいもあってか出席者実質8名…という少なさ。

が、その分、出席者は全員読了。
肯定的な意見・感想が多かったと思います。
…漱石作品に否定的、というのもなんですが、昔、課題本で「こころ」をやったときは「文章、下手だね」と言った人もいたので。

これは小説と言うより、文学や絵画について、さらには人生について漱石が語っているのだ、というのが大方の一致した意見。
・子どもの頃読んだら、何も起こっていなくて面白くなかったが、今読んだらよかった
・風景描写その他の文章がすごくいい
・文章うまい
・知識量がすごい
 →これを30代で書いたのがすごい
 →当時の読者はちゃんと理解していたのか?
・漱石が思ったことを書いている。共感するところあり
・漱石を身近に感じた
・個人的な感想として、作中で語られるミレーの「オフィーリア」がすごく好きなので、一致したのに感動

講師からはこれは実験小説、漱石の小説論。プロットや事件はない。
漱石の考える文学は言葉遊びであって、言葉を大事にしている。

時代的には西欧が日本の文明に入って来たときで、日本がおかしくなることを見通している。

ヒロイン那美はわけのわからないところがいい。
「三四郎」の美禰子にも通ずる。
こういう女性像が最高!
といったお話がありました。
(文中敬称略)

 


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