きのう図書館に行ったら、新刊棚に並んでた
あまりにもオトメチックな装丁とタイトルに、思わず手を伸ばし、
ついでに借りてしまった ご本です。ポプラ社です。
著者は、折原みとさん。漫画家だと思ってたけど、小説も書くんですね。
それにしても、この世界観は、昭和の少女小説を彷彿させるというか
そっち系のパロディなんだろうか、とフシギに思いつつ、読み始めました。
舞台は鎌倉にある「桜の宮女学院」という全寮制の、超上流家庭の子女が通う女子高校でございます。高名な陶芸家の孫娘、風子がそこで出会う友情、
「お姉さま」とのふれあい、海よりも深いプラトニックラブ、などなど、1ミリの揺らぎもない、乙女ワールド満開の小説。
読み応えがあるかとか、小説としてどうかとか、そういうのは別にして、なんだかとてもイロイロ考えさせられる本でした。
子どもの頃、私は「少女小説」にハマってた時期があって、「若草物語」に代表される洋物はもちろんですが、それとは別に日本の上流家庭のご子息ご令嬢が主人公の小説が、とてつもなく好きでした。
あの頃のマンガや小説は、心の優しい貧しい少女が、ある日突然、大富豪のお嬢様になってしまう、とか、お嬢様が貧乏のドン底に突き落とされるとか、運命の大逆転、な展開が多かった。私は、片田舎で平々凡々と暮らす一少女として、雲を突き抜ける一条の光のように、選ばれたセレブになりうる日が来ることを、わが夢として見ていたのかもしれません。
当時大好きだった少女小説で、一つだけタイトルを覚えていたのが「忘れじの丘」とかってやつ。どんなストーリーだったかは定かでないのですが、私はたぶんここで、お兄さまを「崇拝する」という言葉遣いを覚えたように記憶しています。それは単なる「好き」より、ずいぶんと高尚な感情のような気がしました。
で、検索してみたら、あったあった。
水島あやめさんて方の作品だったのね。んー、これもポプラ社か。
とすると、「乙女の花束」は、この流れを汲むポプラ社の新作ということなんでしょうか。そもそも、かの学●院でさえ学級崩壊に悩む今の時代もなお、こういう世間離れした少女小説の需要は、ずっと続いていたんでしょうか。
それとも、去年「小公女」が、岡田 惠和さんの脚本でドラマ化がなされたように、新たに懐古主義的な潮流がきてるんでしょうか。
いろいろ疑問が渦巻くのですが、あの頃の少女小説の世界に浸ってみたい方におススめします。美しい乙女の心、乙女の純情に触れられます。
ままりん、でした。
なるほど乙女です。
この本は、ノンブルの下にも一つひとつ
リボンのイラストが入っていたり、お花が
満載だったりする装丁なんです。
電子書籍が世を席巻した後、こういうスタイルこそ紙出版の意義があるのかも?