〈読書会〉おもしろ☆本棚

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3月の読書会 『タタド』

2010-03-31 23:52:33 | ・例会レポ
今回は、多くの見学者を迎えての読書会。読書会が初めてという方もしっかり感想を述べて下さいました。
 推薦者の私は課題本を読む前に推薦してしまったもので、どんな感想が聞けるのか楽しみに参加しました。『タタド』という不思議な響きの題名と、三岸好太郎のカバー絵に誘われて読んでみた私。詩人の書いた文章ということで非常に感覚に訴えるところがあり、非常に言葉を吟味して(どの言葉をつかうのが一番効果的かしっかり考えている)書いているように感じました。
 圧倒的に嫌いという意見はでなかったものの、「よくわからない」とおっしゃった方もいました。私は結構好きでしたね。この著者の他の小説『裁縫師』や『感光生活』もおもしろかったです。
みなさんの感想としては
★読んだけどなにを言えばいいのか。おもしろくはないけどきらいではない。
★読後感は悪くないけど、わからない。何がわからないのかわからない。
 小池真理子の作品のほうがエロティックでは?
★おもしろく読みました。『タタド』というのは伊豆下田の多々戸海岸のことなんですね。好きな文章や、なまめかしい言葉、表現がいいと思った。詩集も読んでみたい。
★内容についていけない。気持ちがわからない。『裁縫師』のほうがよかった。
★『波を待って』が一番好き。丘から海をみて、海から丘を見てのように揺れてる感じがとてもわかった。色などを感じさせる描写が自分にあっていた。
★うまいな~と思った。設定や切り込み方がうまい。
★自分には合わない。50代の人ってこういうもの?この夫婦はいったいこれからどうなっていくのか?
★雰囲気のある小説。不思議な感じ。きらいじゃない。
★詩人の小説は私にはダメです。三作品とも破滅の予感を感じる。
★なじめない。ストーリー性がないのは苦手。結論がはっきりしなくて、消化不良になったよう。
★以前に読んだ『感光生活』は掘り出し物だと思った。『タタド』もおもしろい。気持ちの深いところを弱くだが刺激される。「死」が物語の裏側に織り込まれている。
★不安なまま終わってしまう。エンターテインメントではない。宙ぶらりんな感じ。
★長編が好きなので、この小説の前に200ページ後ろに300ページくらいあれば感想が言えるのだけど。スピード狂でシトロイエンは選らばないのでは?
★好きじゃないかも。読んだ後考えさせられた。女性のたくましさと男性の先は短いだろうなと。
★書きたい小説と読みたい小説があるとすれば、これは書けるものならこんなの書いてみたいと思う小説。ジェンダー性が希薄。食べる場面がエロティック。植物性のものばっかり食べてますね。
★三作品のテーマはみな夫婦関係。夫婦の間に夾雑物が入ってきた場合の関係がどうなるという
話。滅びの予感と言った人がいたが、夫婦の関係は壊れないで続くだろう。
★不思議な小説。倦怠感や茫漠とした感覚のなかにたゆたっている。刹那を切り取った感覚的な作品。命に固執してない。もうどうなってもいいと思っているような感じ。
★詩人の書いたものは読み辛いかなと思ったがそんなことはなかった。ストーリー性や起承転結がなくても好き。
★おもしろかった。感覚的な文章は好き。表現に心が動かされる。
★好きでも、嫌いでもない。頭に残らない。
★私は苦手。短いのに読むのに時間がかかった。
★食べる場面では「生」を感じ、猫を轢くということやオカダさんが癌ということでは「死」を感じる。生と死が拮抗している感じでおもしろい。
★名前にカタカナを使うこだわりは?タマヨさんは室井茂のイメージ。
★理屈ではなく感情。破滅に向かう気持ちが描かれている?『裁縫師』のほうが好き。
★もやもやした話だが、五感に訴えてくる。不安で落ち着かない気持ちになるが、きれいな音楽が流れているようにも感じる。
★心に残っている。モラルに反するようなことは現実の自分の生活ではすることはないだろうし、自分のできない体験を垣間見る感じ。
★『タタド』の登場人物はタマヨさん以外は無機質な感じに思える。自然のほうが生々しい感じ。夏みかんの場面やアロエの化粧水をみんなでまわしてつける場面はしあわせそうで印象的。

講師からは
日本の伝統的な小説の形である私小説の変形。日常生活のデッサン。心象風景を取り込んで感じたことを言葉に置換するのは難しい。形容のしかたがぴったりなうまい表現がちりばめられている。ドキッとするほどエロティックな表現もある。
ストーリーが明確に存在しない小説であり、感覚を楽しむような作品なので、考える必要はなく文章を読んで「いいな」と感じればいいのでは?

ストーリーを追うより、読んだ時の感覚を楽しむという作品といえると思います。理屈で納得したい人にはお薦めしません。言葉による表現を感覚として楽しみたい人にはお薦めです。
レポート:舞浜嵐子
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