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5月の課題本 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

2015-05-10 00:36:14 | ・例会レポ

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
新潮文庫(新編) 1989年
280円文庫(角川春樹事務所) 2011年

貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく悲しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である表題作や、「よだかの星」「オツベルと象」「セロ弾きのゴーシュ」など、イーハトーヴォの切なく多彩な世界に、「北守将軍と三人兄弟の医者」「饑餓陣営」「ビジテリアン大祭」を加えた14編を収録。賢治童話の豊饒な味わいをあますところなく披露する。

=例会レポ=
先月の『幕が上がる』からの流れで
あっさり決まった今月の課題本。

推薦人のワタクシ、石川啄木とごっちゃになって
貧乏ドン底だと思ってた宮沢賢治が、花巻の
素封家のボンと知っただけでも勉強になりました。

出席者はたぶん17~18人くらいの
イマイチ集まりのよろしくなかった例会は

K講師が開口一番
「これほど困難な作家はいない」
と言い切ったところからスタートしました。
年月をかけて何度も手を入れ続けた彼の作品は、
永久の未完だからというのがその理由。

今回『銀河鉄道の夜』を手にした皆さまの意見は
「よくわからない」
    ↓
「けど、詰まらなくはない」
    ↓
「ていうか、やっぱり読めてよかった」

つー感じに集約されました。

毎回涙なくしてはこの作品を読めないという
リピーターのYさん、Dさんはともに
その理由を言葉で上手く言い表せないという。

賢治がおそらく現実世界で向き合った
貧しき者、弱きものの象徴としての少年に
「ジョバンニ」というカタカナの名前を与え
宇宙を舞台にしたことで始まる空想世界。

「本当の幸せとは何なのか」
「しょうがないねえ」というある種の諦念。
「LSDのキメ」と同種の妄想体験か。

おも本会員の読後感はさまざまで
よくわからないからこそ読者の想像力を掻き立て、
熱烈なファンが大勢いるのではないか
という意見にも大いにうなずけるのでした。

また、瑞々しい感性による言葉づかいや
「銀河」と「鉄道」を結び付ける
賢治の豊かな発想力に惹かれるという声も。

「音」の美しさに触れ、声に出して読みたい
作品だというYさん。

若いころ出会った宮沢賢治の作品が
自分の世界を広げる「扉」となったというYさん。

Yさんがいっぱいだけど、皆別人だからね。

すべて五感に訴えてくるものであって、
何も意味を説明する必要はない、
なるほど、そうなのかもしれません。

だからこそ、「理解できない」ことに
少し焦りを覚えてしまうのかも。

法華経への入信、最愛の妹の死。
独自の死生観を持ち、自己を犠牲にして
生きようとした賢治の思想が集約された作品
というのが講師評、だったと思います。

今宵、星空を駆ける列車の煌めきに思いを馳せて。

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