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5月28日 オンラインにて開催 参加者13人+講師
本当なら4月に開催するはずだった例会ですが、
5月に延期、しかもオンラインでの開催となりました。
憎っくき新コロナウイルス、ですが、初めてのオンライン例会として記憶に残るものになるかもしれませんね。
参加者は講師と会員13人。
カミュの『ペスト』との2作同時課題本でしたので、
メインディッシュの前のアペリティフな感じでしょうか。
篠田節子さんが25年前に書かれ、直木賞候補にもなった作品です(この時の受賞は赤瀬川隼『白球残映』でした。
その後『女たちのジハード』で直木賞受賞)。
皆さん、今でも十分読み応えがあるばかりか、現在の新型コロナ状況とシンクロしてよりさまざまな感慨があったようです。
「日本の保健所って25年前も今も変わっていないのね」
「小役人・小西は自分に似てると思った」
「危機管理を問う本? ところどころ悲劇が強調されすぎて辛かった」
「疫病と登場人物がパラレルに動いている」
「2回目の文庫化で加筆修正したためか昔読んだ時と印象が違った。ダメ役人の記憶だったけど、案外頑張ってる感じがした」
「文章がうまく、人物の書きわけがしっかりしてる。パニックものでもヒーローものでないすれすれのまとめ方がうまい」
「『ペスト』に比べると登場人物が感染に対してのんきで怖いけど、閉塞感はあまり感じなかった」
「ハッピーエンドを期待して読んだけど…ハッピーエンド、じゃないよね?」
「細かい行政とかのリアルさはすごい。さすがに市役所出身」
などの意見が出ました。
講師からは、
「この作品は、小役人が自己変革していく過程をヒーロー小説としてではなく描いているところがうまく、その後の作品でもこの手法を取り入れている。
宮部みゆきさんと同時期に出てきて、よく比べられる篠田さん。実力は同じくらいなのに、売れているのは宮部さんの方で、もっと人気が出ていい作家だと思っている。物語を広げてからまとめていく力はすごいものがある。
介護や自身の病気を経験して、昨年復活したので、これからの作品に期待が持てる」というお話がありました。
ちなみに皆さんから挙がった篠田節子作品は
『鏡の背面』『イビス』『女たちのジハード』『ゴサインタン』『仮想儀礼』『インドクリスタル』
平成怪奇小説傑作集1から『静かな黄昏の国』などでした。
読みやすく、ヒーローが解決してめでたしではない深みがあって、今の時期、怖いけど読みたくなる作家だと思います。
講師のおっしゃるように、これから出てくる作品に乞うご期待です!
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