くもり のち あめ

うしろ向き、うしろ向き、たまに、まえ向き。

重松清・著 『疾走』

2008-09-24 15:52:45 | 読書
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随分前から本屋さんで目にしていた表紙。

すごいインパクトで、
ちょっと怖い感じの絵だけれど、
内容も同じようにインパクトがあり、
かなりハードだった。

朝から通勤電車で読むには向いていなかったかもしれない。

差別、いじめ、狂っていく兄、崩壊する家族、
サディスティックな暴力や性描写、
15歳の少年に降りかかるにしては
あまりにも残酷すぎる話だった。

痛々しすぎるため、
本を読んでいるだけで
暗い気分になってしまった。

まさに生き地獄のような現世を
駆け抜ける主人公。

あまりにも残酷すぎて、
自分を主人公に置き換えることが
なかなかできなかった。

もし自分だったらとっくに壊れていただろう。

疾走できなかった気がする。

作中の神父さんの言葉が印象的だった。

『あなたは、あなたにとって都合のいいことしか、
 いい面しか見せないお兄さんが好きなのですか?
 お兄さんは、いいところも、悪いところも全部含めて
 お兄さんなのですよ』


手元に本がないので正確ではないのだが、
そんなような言葉だった。

人を愛するって、
いいところも、いたらないところも全部ひっくるめて
その人自身を、全てを受け入れなければ、
それは本当に愛しているっていうことにはならないんだなと、
あらためて考えさせられた。

ついつい人に対してはいい面ばかり求めてしまい、
なおかつ嫌だなと思うところはいやに目についてしまって、
説教じみたことを言ってしまったり、
相手の嫌な部分を自分の中で増幅させがちだ。

でもそうじゃないんだ。

相手のすべてを受け入れる。

なかなかできないことだけれど、
心にちょっとした余裕を持つことと、

「ちょっとまて、人に言う前に、
 自分だってそういうところがあるんじゃないか?」


と自らを省みることがができるようになれば、
少しずつでも変われるだろうか。