表千家一期一会

「陰翳礼讃」



「陰翳礼讃」
文:谷崎潤一郎
写真:大川裕弘


表紙の写真に目を惹かれて
思わず手に取りました


明治から昭和を生きた文豪・谷崎潤一郎と
現代の写真家・大川氏との
いわば時代を超えたコラボレーション作品です


写真の美しさは言わずもがなですが
何といっても
谷崎潤一郎の一言一句に
心底共感して
思わず笑みがこぼれるほどでした

例をあげればキリが無いですが
例えば・・

「諸君はそう云う座敷へ這入った時に、
その部屋にただようている光線が
普通の光線とは違うような、
それが特に有難味のある
重々しいもののような
気持がしたことはないだろうか。」


もしそこに「谷崎先生」が立っていたら
「先生!私わかりますっ!」と
駆け寄りたいような気分になりました


そして子供の頃夜中に
お便所に行きたくなって起きたとき
暗いお座敷を通るのがこわくて
走り抜けたことなど
思い出しました


「闇」「暗がり」に対する
一種独特の畏れ。。。



そうか・・・
とあらためて気づきました



実は
小間のお茶室ができたら
ご近所の方などにも
見学していただこうと思っていたのに

いざ玄庵が完成したら
お茶事の時以外には
なぜか他の誰にも
見られたくなくなってしまったのです


先日のお茶事でも
水屋をお手伝いいただいた
社中の方々の誰一人
一畳台目の中までは
入っていただいてないのです


なぜだろう。。。と思いました


ある社中の方が
「それは先生の『聖域』だからじゃ
ないですか?」と
言って下さいました


そうかもしれないと思いました


それは今あらためて思うと
「玄庵」の持つ「暗がり」と「翳り」に対する
畏怖の念かもしれません


そしてそこは確かに
私にとって
とても大切で清らかであるだけでなく

何となく畏れ多くて
たとえ他に誰もいなくても
一礼せずには通ることのできない
聖なる場所なのです



玄庵 水屋  photo by Kaoru Kuwajima




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「『玄庵』へのキセキ 」

            
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