「茶道の哲学」
久松真一・著
講談社学術文庫
この本は1987年に初版が出たものですが
私は8年前の2004年に初めて読みました
その頃
私は通っていた稽古場で悩むところがあり
家では既に数人の方に茶道を教え始めていたものの
「茶道」の本質と現実の狭間で思い迷っていました
そして
「茶道の哲学」というタイトルに惹かれて
この本を手に取り
茶道のあるべき姿を明快に示してくれているこの本に
大変勇気付けられました
先日
本棚のこの本に再び目がとまり
久しぶりに読んでみました
どの頁にも
アンダーラインを引きたくなるような言葉が
ちりばめられていて
あらためて 私が求めている茶道の原点は
ここにあるのかなと思いました
著者の久松真一氏は明治22年
岐阜市長良に生まれ
八百庵椿翁と号する茶人である父親の影響で
若い頃よりお茶を嗜んでいたそうです
京都帝国大学文学部哲学科を卒業後
妙心寺にて臨在禅の修行に励むかたわら
学究ならびに茶道三昧の生活を送り
晩年 故郷に戻ってからも
徹底的に茶道を行じたといいます
この本は
一 茶道論
二 茶道箴
の二部から成っています
「茶道論」はさらに
・日本の文化的使命と茶道
・茶道における人間形成
・茶道文化の性格
という三部にわけて展開されます
「茶道箴」は
茶道を体得する上において大切な心構えを
著者自身がまとめたもので
その中の主要な15の語句について
少し難解なところもありますが
ひとつずつ丁寧に解説されています