自治基本条例の検討の際に開かれる市民で構成される懇談会は、市民のボランティア(無償)参加になっている。なぜだろう(ここで考えているのは、附属機関に類似した市民委員会である。ワールドカフェに集まった市民のような形態は、別の議論である)。
附属機関とは、地方自治法138条の4に基づく条例設置の委員会である。附属機関の委員には報酬と費用弁償がでると明文で書いてある(203条の2)。
第二百三条の二 普通地方公共団体は、・・・ 審査会、審議会及び調査会等の委員・・・その他普通地方公共団体の非常勤の職員に対し、報酬を支給しなければならない。
3 第一項の職員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
なぜ報酬を支払わなければいけないのか。役務を提供しているから、その対価という意味だろう。ちなみに、給料と報酬は違う。地方自治法上は、「非常勤の職員」には報酬、「常勤の職員」には給料と期末手当や退職手当をはじめとする諸手当が支給される。報酬は、臨時的な労働の対価であるが、給与は、生計費である。もうひとつ、報償費というものある。附属機関でない懇談会に出席した場合は、この報償費である。
1 報酬 地方公共団体の非常勤である職員に対する役務の対価に要する経費 (委員報酬、非常勤職員報酬)
2 給料 地方公共団体の常勤職員等に支給する給与に要する経費(特別職給、一般職給)
8 報償費 役務(サービス)の提供や施設の利用等によって受けた利益に対する代償を支出する経費
役所から声がかかって、自治基本条例の委員になった場合、附属機関ならば報酬が出る。同じ役務の提供なのだから、市民委員会にも、8報償費を出すべきではないか。報償費の規定があるにもかかわらず、なぜ無償とするのかである。
その背景の一つが、要綱設置の委員会における報償の違法判決問題があるのだろう。地方自治法138条の4③では、審議会等は条例で設置すると書いてあるから、要綱で設置するのは違法という議論である。そこから、個々に一人ひとり意見を聞くのは良くて、報償費がでるが、審議会のように集まって答申するのは、違法で報償費は出してはいけないというが、判決の多数である。正直、「まじめに言っているの」というレベルである。
法律解釈として、文理解釈ではなく、目的論的解釈をするのが常識であるが、ここでは思考停止して、違法判決を出しているように思える。さらに、この判決があるから、要綱設置の場合は、無償という論理は、本末転倒である。もし真正面から目的論的解釈ができないのならば、138条の4に当たらず、8報償費でいける組み立てを考えるべきである。
もし附属機関と懇談会とで、提供する役務の内容が違うというのなら、一方は無償というのもあるだろう。しかし、提供する役務の内容は、附属機関の委員としても、懇談会の委員としても、変わらない。一方はお金が伴うような役務で、他方は、お金が発生しない役務という明らかな差は出てこない。
身分の違いではどうだろう。附属機関の場合は、非常勤公務員になるが、懇談会の場合は、私人なので、違いがあるが、それは有償と無償を分けるだけの違いとなるのか。たしかに非常勤といえども、公務員として、様々な責任をともなうので、多少の違いはある。その分、多少の金額に差は出ても、役務を提供していることには変わりないので、市民委員会が全く無償というのは説明ができない。
一方は役所からの依頼、他方は本人の意志(ボランティア)のケースは。一方は有償、他方は無償という説明もできる。自由参加の市民委員会ならば、ボランティア参加という説明もできるかもしれないが、知識や知見を提供してもらうのに、費用弁償(交通費)もなくてよいというのが、妥当なのかという問題もあろう。他方、役所が依頼した場合は、附属機関と変わらない。役務の提供に対する報償があるのが基本となる。
ここから飛躍するが現在の有償ボランティアの仮説(メモ)
①ボランティアには、当事者型と助っ人型がある。前者は責務型でもあるので、無償がなじむ。後者は、費用弁償はもちろん、報酬も考えられる。
②助っ人型でも、本人の自主性、自由意志もあるので(半分ボランティアなので)、報酬が一部カットされる。だから平均賃金より低いお金が支払われる。
③助っ人型でも、報償については、本人の辞退も可能である。また依頼する側も条件を付けられる(たとえば費用弁償=交通費のみ)。無償は、本人の意向。
④助っ人型のボランティアでも、ボランティア先からの依頼でボランティアした場合は、有償という組み立てができるだろう。附属機関と変わらない。ここから学生の交通費等の支給要件を考えていけそうだ。
もう一息。
附属機関とは、地方自治法138条の4に基づく条例設置の委員会である。附属機関の委員には報酬と費用弁償がでると明文で書いてある(203条の2)。
第二百三条の二 普通地方公共団体は、・・・ 審査会、審議会及び調査会等の委員・・・その他普通地方公共団体の非常勤の職員に対し、報酬を支給しなければならない。
3 第一項の職員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
なぜ報酬を支払わなければいけないのか。役務を提供しているから、その対価という意味だろう。ちなみに、給料と報酬は違う。地方自治法上は、「非常勤の職員」には報酬、「常勤の職員」には給料と期末手当や退職手当をはじめとする諸手当が支給される。報酬は、臨時的な労働の対価であるが、給与は、生計費である。もうひとつ、報償費というものある。附属機関でない懇談会に出席した場合は、この報償費である。
1 報酬 地方公共団体の非常勤である職員に対する役務の対価に要する経費 (委員報酬、非常勤職員報酬)
2 給料 地方公共団体の常勤職員等に支給する給与に要する経費(特別職給、一般職給)
8 報償費 役務(サービス)の提供や施設の利用等によって受けた利益に対する代償を支出する経費
役所から声がかかって、自治基本条例の委員になった場合、附属機関ならば報酬が出る。同じ役務の提供なのだから、市民委員会にも、8報償費を出すべきではないか。報償費の規定があるにもかかわらず、なぜ無償とするのかである。
その背景の一つが、要綱設置の委員会における報償の違法判決問題があるのだろう。地方自治法138条の4③では、審議会等は条例で設置すると書いてあるから、要綱で設置するのは違法という議論である。そこから、個々に一人ひとり意見を聞くのは良くて、報償費がでるが、審議会のように集まって答申するのは、違法で報償費は出してはいけないというが、判決の多数である。正直、「まじめに言っているの」というレベルである。
法律解釈として、文理解釈ではなく、目的論的解釈をするのが常識であるが、ここでは思考停止して、違法判決を出しているように思える。さらに、この判決があるから、要綱設置の場合は、無償という論理は、本末転倒である。もし真正面から目的論的解釈ができないのならば、138条の4に当たらず、8報償費でいける組み立てを考えるべきである。
もし附属機関と懇談会とで、提供する役務の内容が違うというのなら、一方は無償というのもあるだろう。しかし、提供する役務の内容は、附属機関の委員としても、懇談会の委員としても、変わらない。一方はお金が伴うような役務で、他方は、お金が発生しない役務という明らかな差は出てこない。
身分の違いではどうだろう。附属機関の場合は、非常勤公務員になるが、懇談会の場合は、私人なので、違いがあるが、それは有償と無償を分けるだけの違いとなるのか。たしかに非常勤といえども、公務員として、様々な責任をともなうので、多少の違いはある。その分、多少の金額に差は出ても、役務を提供していることには変わりないので、市民委員会が全く無償というのは説明ができない。
一方は役所からの依頼、他方は本人の意志(ボランティア)のケースは。一方は有償、他方は無償という説明もできる。自由参加の市民委員会ならば、ボランティア参加という説明もできるかもしれないが、知識や知見を提供してもらうのに、費用弁償(交通費)もなくてよいというのが、妥当なのかという問題もあろう。他方、役所が依頼した場合は、附属機関と変わらない。役務の提供に対する報償があるのが基本となる。
ここから飛躍するが現在の有償ボランティアの仮説(メモ)
①ボランティアには、当事者型と助っ人型がある。前者は責務型でもあるので、無償がなじむ。後者は、費用弁償はもちろん、報酬も考えられる。
②助っ人型でも、本人の自主性、自由意志もあるので(半分ボランティアなので)、報酬が一部カットされる。だから平均賃金より低いお金が支払われる。
③助っ人型でも、報償については、本人の辞退も可能である。また依頼する側も条件を付けられる(たとえば費用弁償=交通費のみ)。無償は、本人の意向。
④助っ人型のボランティアでも、ボランティア先からの依頼でボランティアした場合は、有償という組み立てができるだろう。附属機関と変わらない。ここから学生の交通費等の支給要件を考えていけそうだ。
もう一息。