松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ふるさと納税⑧地域産業を育てるのだろうか

2020-04-21 | 域外住民への関与
 ふるさと納税は、地域産業を育てる。ここがほとんど唯一の利点である。

 たしかに、ふるさと納税の対象に指定されると、いきなり売り上げが上がる。2000円を負担すれば、魅力的な返礼品が来るのであるので、買ってくれる人はいくらもいる。PRは自治体がやってくれるので、宣伝費もかからない。売り上げが2倍になれば、その分、雇用も増え、給料も払えるから、地域経済にとってもハッピーである。

 表面的にはその通りで、これで地方創生を支えている。地方創生が上手く行っているということが、今の政権の成果とされる。しかし、すでに見たように、小さな子どもに借金を背負わせて、この子が大きくなったら借金を返しますと言って、お金をつくって、補填していることで、ふるさと納税は、成り立っている。

 これは、地域産業が半分、公共事業になっていることである。建設業に続いて、地方の名産品も、役所からの発注で成り立つようになってきたということになる。

 もともとの発想は、地域のなかで新たな産業を育てることがねらいであったが、これは息が長い話であるし、成功がなかなか見えない。また、こうした商品を生み出すには、長い試行錯誤と寝食を忘れた奮闘があってのことだろう。そうでないと、カップラーメンのようなヒット作品は生まれてこない。

 こうした努力をみんなでしなければと決意した矢先、役所がPRしてくれて、税金で補填してくれるので、黙っていても売れる仕組みがあったら、こうした努力をしようという気にならないだろう。

 別に、無理に苦労をする必要はないが、日本は、戦後、何もないなかで、自らの内発力で、今日の繁栄を築きあげてきた。それを再度、やらないと、日本は、ダメになってしまうという問題意識が本来の地方創生である。

 ただ、今のようなおんぶにだっこの状況で、自治体や企業に、カップラーメンの発明のようなものを求めるのは酷である。右手に気楽に設ける道、左手に苦難の道があったら、誰だって右側を選ぶからである。本来の趣旨に添うように、新たなヒット作をじっくり創りあげられるように、ふるさと納税を制度設計しなおさないと、いけないということだと思う。

 その道すじは、まだ霧のなかという感じだけれども、私なりに考え続けてみたい。

 さて、新型コロナウイルスに対応について、政府に対して、いろいろ言いたいことはあるが、ともかく今は、新型コロナウイルスに向かって、国民一丸となって立ち向かうべきときなので、政権の指示に従って、8割削減どころか、9割削減もやっている我が家であるが、このふるさと納税を考えていくと、政府の理念のなさというか、場当たり的というか、いい加減さが、しみじみ実感できる。野党も、同じか、さらなるポピュリズムは走っているので、正直、悲しくなってくる。

 こんななか、私たち夫婦にできるのは、8割達成と免疫力である。8割は達成しているので(もう1か月半、電車に乗っていない)、あとは免疫力である。連れ合いが、海岸へ、朝のウォーキングに出かけている間に、食事当番の私は、元気が出る朝食をつくることにしよう。
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