松下啓一 自治・政策・まちづくり

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○まちづくりから空き家問題を考える(狛江市)

2016-03-26 | 空き家問題

 狛江まちづくり市民フォーラムからのお誘いで、まちづくりから空き家問題を考えた。

 今回は、空き家問題の基礎から、考えることにした。私の立場は、空き家問題とは、空き家があることが問題ではなくて、空き家が管理されず、人や地域に迷惑をかけているということが問題という立場である。そこで、空き家をきちんと管理し、人や地域に迷惑をかけないのはどうしたらよいかを考えることになる。

 そのうえで、どんな問題が生じているか、それに対する地域の取り組み、自治体の取り組み、国の法制化、そして、その限界から、まちづくりという観点で空き家問題をとりあげる意味という話になった。体系的に話をしたので、1時間半近くの話になってしまった。

 ちなみに、まちづくりとは、行政のほか、地域コミュニティ、NPO、企業等のさまざまな公共主体が、暮らしやすいまちをつくるために、その力を存分に発揮することであり、自治体のまちづくり政策は、各公共主体が存分に力を発揮できるように、後押しする政策のことを言う。

 それゆえ、行政が行う勧告、命令、行政代執行という行政法的手法は、空き家問題の解決策としては、ほんの一部に過ぎないということになる。大事なのは、管理不全で人や地域に迷惑をかけないような予防策、空き家をうまく利活用して、迷惑をかける存在にならないようにすることが大事になる。

 私の話の後の意見交換が面白かった。いくつかのヒントをメモしておこう。

1.エンディングノートと空き家・・・あちこちでエンディングノートづくりが行われているが、空き家問題を意識して、エンディングノートをつくろう。

2.空き家の福祉的利用のニーズ・・・NPOの悩みは、地域拠点であるが、これに空き家を使うものである。空き家対策という観点で、その除去やリフォームについて、行政による補助、支援が行われているが、これとNPO等による福祉的利用をうまくつなげば、安価で、地域拠点が整備できる。

3.法律ができても空き家条例への期待が高い・・・空き家の利活用は、地域ごとの事情や政策が密接に絡むが、空き家条例をてこに、利活用を推進できるという期待の表れなのだろう。

4.空き家を地域に残さないという住民意識を育てる・・・高齢になって、施設に入ることになったが、周辺の人に言うと、お見舞いに来ることので、黙って入所するケースがあるとのことである。その結果、連絡策もわからず、空き家になって、管理不十分になるケースが地域で起こっているとのことである。空き家になって地域に迷惑をかけることになる。それ故、ひとこと声をかけて入所するといったルールを作っていくことが必要である。声をかけあう地域づくりの問題である。

 狛江まちづくり市民フォーラムの人たちは、私よりも一回りも上の世代の人たちが中心であるが、その年になっても、社会性を失わずに、今回のように、自分たちが何をできるかを考えていこうとしている。土曜日の6時からというスタートであるが、こうした市民が30人くらい集まった。私も負けずに、新しいことに挑戦しようという勇気がわいてきた。

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