松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治体結婚政策⑥パートナーシップ制度(2)

2021-01-05 | 1.研究活動
 パートナーシップ制度導入にあたり考えられる論点(武蔵野市男女平等推進審議会資料より整理した)

(1)根拠規定 
 条例か要綱かである。パートナーシップ制度を導入している自治体の多くが要綱を根拠にしている。条例では、渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例が最初で、総社市多様な性を認め合う社会を実現する条例などの「新規条例」という行き方と、豊島区男女共同参画推進条例や港区男女平等参画条例など、男女共同参画条例の改正という行き方がある。

(2)パートナーの確認
 ア、当事者の2人が、パートナーシップ関係を自治体の首長に対して宣誓(宣誓書を提出)し、宣誓書等受領証の交付を受ける(世田谷区、千葉市等多数)。
 イ、当事者2人が、パートナーシップ関係にあることを公正証書に基づいて申請し、自治体から証明を受ける(渋谷区、港区)。
 両者は趣旨が若干違う。宣誓書方式は、当事者の気持ちに応え、こうしたパートナーの形態もあることを周知する(啓発)ものであるのに対して、公正証書方式は、結婚にできるだけ近い法的効果を与えるものである。

(3)制度の対象者
 ア.同性同士のみ
  a.戸籍上の性に基づく同性(渋谷区、中野区など)
  b.性自認上の同性も含む・戸籍上の性は問わない(世田谷区、文京区)
 イ.一方又は双方が性的マイノリティの方(豊島区、港区など)
 ウ.性自認・性的指向を問わない(千葉市、横須賀市、鎌倉市、横浜市、古賀市など)
 このうち、ウは事実婚まで含まれるが、これは事実婚の充実が素直だろう。目的があいまいになってしまう。 

(4)申請要件
  ・居住地
  ・年齢(民法上の成人であること)
  ・現に婚姻していない、パートナーシップを結んでいないこと
  ・近親者でないこと
  居住地に関しては、双方とも居住しているか(多数)、一方だけでよいかに分かれる。


(5)提出書類
 自治体により異なるが、独身であることを証明するための「戸籍謄本または戸籍妙本」、「独身証明書」や「住民票(写し含む)または住民基本台帳カード」に加え、「本人確認ができる書類」が必要となっている。

(6)手数料
 申請は無料であるが、証明書等の交付については、有料(渋谷区)と無料(多数)がある。バランスから言っても、有料のほうが妥当だろう。証明書の有料が、パートナーシップ制度の利用の障壁になるとは思えない。

(7)有効性
 ・保存期間
 ・パートナー解消時の取り扱い
 ・パートナー死亡時の取り扱い

(8)他自治体との相互利用
 他の自治体との相互連携なしが多数。横須賀市・鎌倉市・逗子市の3市間連携あり。引っ越しても効力がある。

 これ以外にも論点はあるだろう(そうだろう。関連事項は多数に渡る)。制度検討にあたっての基本は、この制度が目的とするものはなにかである。この点の議論がしっかりできれば、枝の部分は自ずと見えてくるようだ。
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