松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆協働接遇マニュアル2・見た目が9割か(三浦半島)

2019-02-10 | 1.研究活動
 人は見た目が9割を言われる。メラビアンの法則であるが、これが接遇マニュアルの最初にでてくる。

 検討の素材にしている千葉市の接遇マニュアルは、「接遇の基本は、「身だしなみ」、「あいさつ」、「感じの良い態度」、「言葉づかい」です」としていて、最初の身だしなみのところに、このメラビアンの法則が載せられている。

 第一印象を決める要因
 第一印象は、出会いの数秒で判断されるといわれています。 第一印象を決める大きな割合を占める“見た目”すなわち 「身だしなみ」に気を配ることは重要です。
◎第一印象を決める要因(メラビアンの法則より)
 第1位 見た目 身だしなみ・表情・視線・姿勢・動作 55%
 第2位 話し方 声の大きさ・トーン・スピード・滑舌・抑揚 38%
 第3位 内容 言葉づかい・話の内容 7%

 しかし、よく考えてみると、少しおかしい。

 確かに、私たちは、最初は、見た目でそれなりの予想を立てる。何が、おかしいかというと、最初に出会ったときは、話し始める前だから、見た目は55%どころではなく、100%ではないか(その意味で、「見た目は9割」という本は、なかなか、すごいタイトルである。「見た目が100%」では、取り付くしまがない)。

 住民票の発行業務のような窓口職場で、市民との接遇も、外形的で一瞬の場合は、この見た目が55%は説得的である。しかし、立て込んだ話になると、もう外見だけではどうしようもない。豊富な知識、柔軟な理解力と言った内容の勝負になっていく。いくら見た目が爽やかでも、内実が伴わなければ、あっという間に失望に変わっていく。

 協働活動では、住民票のサービスのように、一瞬で終わるものではないので、見た目もあるが、話の内容の方も、劣らず重要というのは異論がないだろう。
 そんな仮説をもって、学生たちに質問してみた。

 学生たちに、ワークショップをやったとき、相手側が共感してくれるのは
 ①語った内容、言葉の内容
 ②声のトーンや口調、大きさ、
 ③身だしなみなどの見た目、顔の表情など
 これを100%で聞いてみた。

 ところが、むろん学生によってさまざまであるが、代表的な数字は、
 ①20%
 ②30%
 ③50%
となった。メラビアンの法則ほど極端ではないが、同じような傾向は、見て取れる。

 ちなみに、世上、メラビアンの法則は誤用されているとされている。この55%、38%、7%の数字は、「相手が矛盾するメッセージを発したとき、人は何によって判断するのか」という実験のようだ。こうした限定条件での基準である。これを一般化するのは注意を要するとされている。

 学生たちの数字も、よそのまちに行き、初めて出会う人とまちづくりのワークショップをするという条件のなかでの数字である。それでも、メラビアンの法則と同じようになるのは興味深い。しかし、初対面の際には、協働事業でも、見た目は重要だという結果に、多くの人は納得するのではないか。 

 むしろ意外なのは、メラビアンの法則を導いた条件、つまり相手が矛盾するメッセージを発したときに、見た目を重視するという数字はショックである。矛盾したメッセージのときこそ、内容が重要ではないかと思うからである。しかし、そんな場合でも、人は見た目で判断している・・・。

 たしかに思い当たる節がある。以前学生たちと相模原市の市会議員に対する投票行動をアンケート調査したとき、ポスターの写真で、笑っている歯が白いかどうかで決めるという人がいた。主義主張ではなく、見た目が第一ということである。

 同時に、ミシガン大学の実験を思い出す。投票行動できちんと考えて投票している人は、多く見積もっても13%しかしないという。これは、内容で判断するのが7%という数字と合致する。

 メラビアンの法則は、私たちに、私たちの民主主義の水準を問いかけているように思うが、こうした指摘をしてる人はおらず、ビジネスや面接の場面における有効性ばかり議論しているのは、もったいないように思う。この辺りについては、メラビアンの法則をきちんと勉強してから、論を進めたいと思う。

 ともかく、たとえ協働であっても、初対面のときは、自治体職員側にとって、見た目は、かなり重要な要素で、十分に配慮すべきことであることは、間違いないだろう。
 そのように一般的には言えないとしても、見た目の感じの良い好印象(プラス)からスタートするか、見た目の悪い印象(マイナス)から出発するかで、それが内実にも影響を与えることw考えると、好印象(プラス)から出発したほうが絶対いい。

 「初めて市民と一緒に活動する際には、見た目 身だしなみ・表情・視線・姿勢・動作に配慮しよう」。

 

 
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