松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆審議会の作法⑩ワークショップ(グループワーク)(三浦半島)

2017-01-09 | 審議会の作法

 審議会で、ワークショップをやっている(現在、論じているのは、審議の充実編です。会議の設定編など、まだまだ続きます)。

 相模原市南区区民会議は、条例設置の付属機関である。附属機関は、行政から見ると、高い位置づけの会議になるので、運営は一般には仰々しく、委員も事務局も神妙に澄ましている会議となる。少人数ならば、運営の工夫で、闊達な議論ができるが、区民会議のように25人も委員がいると、一度も発言できずに帰る委員さんが出てしまう。これはもったいない話である。見込まれて委員になった人が、その力を出せなければ宝の持ち腐れである。みんなが大いに知恵を出すべき時は、形式にこだわる必要はない。そんな趣旨で、グループワークを取り入れている。「みんなで楽しく、真剣に、話し合う、聞き合う」が、私のモットーである。

 区民会議では、記録を見てみると、会議の2回目から、グループワークを始めた。テーマは、「相模原市南区の伸ばすところ、克服するところ」。要するに南区のよいところ(セールスポイント)と悪いところ(課題)をワークショップ方式で抽出しようということである。

 区民会議のスタート時からワークショップでやろうと考えたのは、次の理由からである。
 ①人の意見を聴きあい、人とまじめに議論することが、地方自治の会議の基本であること。
 従来の行政の説明を聞き、質問をする会議も否定するわけではないが、これでは相変わらず、行政主体、行政依存である。地域主権、市民の主体性と、言葉でいってみても、実践できなれば、単なるお題目である。市民が主体になるには、ほかの市民の意見を聴くとともに、自分として体系的な意見をいうことである。批判をするのはたやすいが、そんな会議では、だれも、まともに知恵を出す気にならない。そんなのは、飲み屋でやってほしい。

 ②委員みんなが参加する。
 従来のやり方をやっていると、会議中発言できるのは、一度か二度である。25名も委員がいると、一度も発言できずに帰る委員さんが出てしまう。これはもったいない話である。見込まれて委員になった人が、その力を出せなければ、宝の持ち腐れである。ただでさえ、難しい時代である。さまざまな主体の持てる力を引き出し、それをパワーに変えて、住みよい町を作り上げることが大事である。知恵を持っている人に、大いに知恵を出してもらおうと考えたためである。最後に、各班から発表してもらったが、実に皆さん上手。「ほら、やはり、力を持っている」とあらためて、確認できたと思う。

 区民会議をワークショップでやることにしたのは、大向こうを狙ってやっているわけではなく、なによりも、私自身が、仰々しく、気づまりの会議が苦手なゆえである。さまざまな立場や職業の人たちが、同じ土俵で、共通の目標に向かい、水平の関係で、笑い声を出しながら、知恵を出している姿を見るのはとても気持ちが良い。このときのワークショップは、どのグループも盛り上がり、メンバー間の親密さが急速に増した。それから普通に折を見て、ワークショップ(グループワーク)が行われるようになった。

 こんな区民会議のやり方に対して、後日談がある。ワークショップをやろうと言ったら、自治会町内会の代表者を中心に、反発というか戸惑いがあった。座長選定の際の余波で、私に対するわだかまりのようなものもあったかもしれない(座長選定の話は、会議の設定編で論じる)。そんなことやったことがないというのである。

 ところがやってみて、ワークショップという方法の自由さ、議論の活発さは随分と新鮮に見えたようで、自治会町内会の幾人かは、今度は自分の組織に戻って、このワークショップ方式で会議進行をやったということである。このとき関心したのは、いいと思ったらやってみる、その進取の気性に一番感心した。年をとってもそうありたいものだと思った。だから、何万人の組織のリーダーになれるのだろうと納得した。

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