松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆相模原市指定都市10年・できたこと、できなかったこと①「湧きおこる7つの風」

2020-07-18 | 南区区民会議終わる
 記憶が新しいうちに、書いておこう。

 区民会議第5期の終わりに、委員さんから、ひとこと言ってもらった。そのなかで、南区は、なぜ「湧きおこる7つの風」なのかという質問があった。

 このキャッチフレーズが、できた経緯は、よく覚えている。第1期の区民会議で、南区のキャッチフレーズをみんなで考えようと言うことになった。その議論で決まったがこれであるが、原案は、私が出した。

 もともとは、近鉄か京阪に乗っていたとき、どこかの駅で、類似した宣伝文句を見たからである。その詳細は、忘れてしまったが、おそらく「湧きおこる」的なフレーズをどこかの駅のポスターで見たのだろう。京阪の中書島駅か、近鉄の丹波橋駅というが、私の記憶である。

 指定都市10年で、実現できなかった最大のものが、この「7つの風」である。

 なぜ、「7つの風」としたのか。それは地域分権である。

 相模原市は、3つの行政区に別れているが、区の中に、まちづくりセンターがある。南区には、7つのまちづくりセンターがある。基本は、旧村村役場が出発点である。

 この問題は、相模原市は、指定都市になったが、今後の地域自治の拠点は、どこになるかの問題である。つまり、市役所中心なのか、区役所中心なのか、あるいはまちづくりセンターで行うのかである。この点が、あいまいのまま、指定都市がスタートしたが、早晩、決断を求められると考えたからである(あたふたと指定都市になったが、ここまで議論すると、ただでさえ、反対運動が強かった指定都市化の障害になると側面もあったろう)。

 それが今日まで尾を引いて、区役所のあり方が、定まらない。大区役所主義にするのか、小区役所主義にするのか、その方針すら定まっていない。これが定まらないと、市役所の規模も定まらず、市役所を移転しようといても、何を移転するかが定まらない。現状は、ともかくスタートした小区役所主義をベースに、増分主義的な対応で、今日に至っている。

 指定都市がスタートした最初、区民会議を始めるに当たって、私は、10年後には、地域分権が進み、まちづくりセンターごとの行政運営の仕組みが進むのだろうと予想した、なぜならば、高齢化が進み、住宅世代が逃げる相模原市は、地域分権を進めないと生き残れないからである。

 そこで、南区のキャッチフレーズが「湧きおこる7つの風」である。

 しかし、実際には、予想に反して、制度としての地域分権は、遅々として進まなかった。私達、区民会議でできるのは、地域分権の主力となるまちづくりセンターとそれを担う地区のまちづくり会議をサポートするのが役割と考えて、区民会議のテーマも、地域における自治を活性化するための、後押しになるようなテーマ、例えば地域への若者参加などを取り上げ、政策提案を行うことで、地域分権を現場からの支える役割を担ってきた。

 他方、これは、制度論なので、市全体で方針を決める話なので、機会があると、地域自治のあり方を早めに決める必要性を説いた。今度の、総合計画の策定のときが、私が発言できる最後のときと考えて、まちづくりセンター、区役所のそれぞれのどこに軸足を置くのか、質問し、方向性をつけるべきだと何度も発言した。

 しかし、発言ありがとうございますとは、言われるものの、記載は一向に変わらず、きっとうるさい親父と思われたのだろう。実際には審議会のときは、もう、すでに枠組みが決まっていて、変えようがないのかもしれない。このことは、市長さんにお会いしたときも、その旨をお話したが、うまく伝わらなかったようだ。なんとももどかしいが、仕方がない。

 ただ、相模原市は、この10年で、急速に財政状況が悪化していく。その後は、さらに厳しくなる。はやく方向性の決断をしないといけなくなる。私は、今後の方向性は、区役所は持株会社のような存在になり、まちづくりセンターに、更に多くの資源・権限を付与することになっていくと考えているが、その時、南区の「湧きおこる7つの風」の意味が、改めて見直されると思う。

 
 
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