松下啓一 自治・政策・まちづくり

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★特別区自治情報・交流センタースタッフ研修(浜松町)

2018-11-24 | 2.講演会・研修会
 特別区自治情報・交流センターは、「東京都23区と地方自治の専門図書館」で、特別区の行政資料や地方自治に関する一般図書・雑誌など、約9万冊の資料を取り揃えている図書館である。勤労感謝の日であったが、そこで勤務している丸善雄松堂株式会社の図書館スタッフさんを対象とする研修を行った。

 最初、依頼を受けたとき、どんな話をしたらよいか、なかなか難しかった。行政職員なら、どのあたりが分からないかよく分かるが、司書さんの場合、皆目見当がつかなかった。そこで、事前に質問事項を出してもらって、私なりの整理しながら話をした。

 メインは、行政資料の使い方。これは政策立案で、どの段階でどのような資料を使うか、また政策立案に利用するデータベース、資料などの探し方などである
 関連して、いかにも司書さんらしい問題意識が、例えば、役所の書類の分類と図書館の蔵書の分類は、大きく違うが、その理由はどこにあるか、従来の区分に入らない資料が増えて来ているが、これをどのように考えるべきなのか等である。

 この問題を考えるあたって、地方自治の基本にさかのぼって話をすることにした。話しながら、受講者が、「もうわかっている」という素振りを見せたら、すぐにこの話は店じまいするつもりで話したが、結果的には、ここから話してよかったようだ。

 その上で、事前にもらった質問の説明をしたが、政策立案に使う資料については、すでに『政策条例の作り方』(第一法規)に詳しく書いたので、これに沿って説明した(今回久しぶりに読み返してみて、こんなのよくかけたなあと思った。今ではとても書けない)。

 データベース等については、事前にスマホを持ってくるようにお願いしてあったので、法令検索システムや例規集などを使って、実際に、やってみながら確認していった。これは、なかなか有用だった。ついでに、焼津の魚河岸シャツやsagajyo6なども見てもらった(テーマとは関係ないが、私の楽しみなので)。

 役所の書類の分類は、組織図ごとになっているが、この分類は、司書の皆さんに馴染めないようである。これは推察であるが、地方分権以前の省庁別縦割りが、地方の行政資料にも反映しているように思う。

 そのなかで、最近とくに問題なのは、どこにも分類できない事業が増えて、その結果、「総説」ばかりが肥大化している点である。これは品川区の例規集を見ながら確認したが、たしかに、「おもてなし条例」のようなものが、総説に入っていた。これは市民生活なのか、観光なのか、いろいろな分野にまたがるので、結局、総説においたのだろうか。

 この総説の増加は、役所の仕事の変化に対応したもので、「新しい公共論」の世界であるが、本来ならば、この総説を再分割するヒントを提示できればよかったが、今回は、そこまでの余力はなかった。あとで、もうちょっと頑張ればよかったと反省した。

 新しい公共論では、むしろ、今後の重要になってくる政策課題という観点から話をしてみた。特に力を入れたのが「若者」である。今後の企画展などを考えるときには、参考にしたらいいと思う。

 司書さんの人たちといえば、白いブラウスと薄い色のカーディガン、物静かで真面目な人柄というのが、私のイメージであるが、実際、そんな感じで、私のあちこち飛ぶ話をまじめにノートにとっていた(学生たちとは大違い)。でも、最初の自己紹介の「エグザイル」も、受けるというノリの良さで、私自身も、気をよくして、とてもやりやすかった。

 知らない世界の人たちとの出会いは、刺激的で、目の前に新しい地平が広がったような気になる。有意義な時を過ごすことができた。感謝したい。
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