松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆政策類型論と自治基本条例(三浦半島)

2019-03-14 | 1.研究活動
 今井さんが、論文を紹介してくれた。以前考えたことを思い出し、メモを書いておこう。

 政策が、どういう過程をたどるのかは、ローウィの政策類型論が有名である。

 私が気に入っているのは、ローウィの政策類型論を発展させたJ.Q.ウイルソンの政策類型論である。

 これは,政策実現に要する費用とその結果もたらされる便益が、特定セクターに集中するか、広範に分散するかを基準に、政策の決定・執行過程を類型化するものである。

 ウィルソンは、費用(集中・分散)×便益(集中・分散)で、4つの政策類型に分ける。
(1)分散した費用と分散した便益、
(2)集中した便益と集中した費用、
(3)集中した便益と分散した費用、
(4)分散した便益と集中した費用
 
 このうち、政策の形成が困難なのが、(4)のタイプである。なぜなら、受益者側は、個々の受ける利益がわずかであるため、利害・関心が希薄であるのに対して、負担者側は、負担が集中するため、強い利害・関心をもち、また、少数者ゆえに、負担者を組織化し、政策形成を阻止すべく政治的影響力を行使することが容易だからである。それゆえ、この政策は、提案されにくく、提案されても強い反対に遭遇する。

 容器包装リサイクル法ができる前、横浜市独自で、ドイツのデュアルシステムのようなシステムの導入を考えたが、それはこの(4)のタイプだった。まさに、事業者団体の強い反対論に遭遇し、ウィルソンの言うような展開となった。今でも、悔しい思い出のひとつである。

 自治基本条例は、(1)のタイプだろう。費用も便益も分散するタイプは、受寄者側も負担者側も、利害・関心が希薄であり、いずれのサイドからも圧力は生じない。だから、行政側が問題提起して世論を創出することが大事ということになるのだろう。逆に言うと強い圧力に出あうと、腰砕けになってしまう。

 自治基本条例では、当時、野党であった自民党が、民主党に対抗するために、自治基本条例に懐疑的な見解をまとめた。対抗軸を出すために、市民が活躍するのではなく、議員が活躍すべきという考え方を採用した。

 今度は、自民党は政権を取り、議員だけでなく、国民全員が一億総活躍と言い始めたが、自治基本条例で出した市民の活躍への懐疑が、今度は、それの足かせになってしまって、どうしても、上からの「一億総活躍」になってしまった。国民は、上から言われる筋合いではないと言って、白けてしまっている。

(1)のタイプに分類される自治基本条例であるが、愛知県新城市のように、真正面から自治基本条例を自治経営の基本に据えると、若者政策や公開政策討論会条例など、日本の政策をリードする新たな政策が生まれてくる。
 
(1)のタイプの政策は、ある意味、自治経営層のセンスというか力量が問われる。要するに、この条例の意義を見極められるかどうかであるが、さらには、それを具体的政策に展開できるか、展開力・展望力も問われるということなのだろう。
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