松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆空き家地区を歩く・横須賀市③

2016-09-04 | 空き家問題

 こうした横須賀ならではの事情もあり、横須賀市では、早くから谷戸地域に関連した空き家対策事業に取り組んでいる。平成 24 年度から、最も空き家率が高い汐入町5丁目2区をモデル地区として、谷戸 地域における住環境の改善を支援するためのさまざまな試みを実施してきた。平成27年度からは、モデル地区の範囲を、汐入駅と逸見駅から概ね半径500m圏内の階段上部に拡大して実施している。具体的には、汐入町1~5丁目、西逸見町1・2丁目、東逸見町1・2丁目がこれに該当する。いずれも地区内の車両が入ることのできる道路から、おおむね40段以上の階段を登るところに住んでいることが条件である。

 谷戸モデル地区空き家解体補助金交付事業は、谷戸モデル地区の階段上部にある空き家の解体を促進するために、解体費用に対する補助を行う制度である。補助金の交付を受けることができる者は、谷戸モデル地区の階段上部で自己所有の空き家の解体を行う者のうち、市税を滞納していないこと、暴力団員でないこと、市内事業者に解体工事を発注することが条件である。補助金の額は、解体費用の半分で、50万円が限度となっている。

 空き地測量補助金交付事業は、空き地又は空き家が存在する土地で測量がされていない物件を売却するために測量する場合、測量費用、登記面積の変更費用の一部を助成するものである補助対象者は、谷戸モデル地区の階段上部で自己所有の土地の測量を行う者のうち、市税を滞納していないこと、暴力団員でないこと、市内事業者に測量を発注することが条件である。補助金の額は、土地の測量に要する費用の半分で、30万円を限度とする。

 谷戸の菜園助成事業は、空き家を取り壊した後、使用していない空き地の有効活用として、菜園にする ための土の入れ替え・排水設備工事費用の一部を助成するものである。 補助額は初期投資費用の 1/2で上限 20 万円となっている。

 谷戸のみどり復元助成事業は、山林に隣接した空き地を、将来的に山林に戻すための、植樹費用の一部を助成するものである。補助額は、植樹費用の 1/2で上限3万円である。

 高齢者の平地転居助成事業は、階段上部に居住する60歳以上の高齢者が、日常生活を送りやすくするために行う平地転居に対する補助金を交付する事業である。平地転居とは、「谷戸モデル地区の階段上部にある住宅の所在地から市内の階段上部以外の場所に住所を移し、当該場所にある住宅に居住することをいう」と定義されている。
 補助金の額は、市内の平地に移住するための引っ越し費用、 引っ越し先の敷金・礼金・仲介手数料の一部を助成するものである。
補助額は上限 40 万円である。
 補助金の交付を受けることができる者は、平地転居を行う者のうち、高齢者又は高齢者が属する世帯(居住と生計を同一にする社会生活上の単位をいう。)であること、市税を滞納していないこと、暴力団員でないことである。なお、補助金の交付を受けようとする者は、引越しをしようとするときは、市内事業者に優先して発注するものとする。

 谷戸の空き家片付け助成事業は、空き家を有効活用するための家財等の片付けの費用を助成するもので、補助額は片付け費用の半分、上限10 万円である。

 これらの補助は並行して利用することができることから、測量で30万円、解体で50万円、菜園で20万円、平地へに移転で40万円、空き家の後片付けで10万円といった利用も可能である。。

 ちなみに平成24年度には、住宅建替費用助成事業があった。これは、新たに若年層がモデル地区内に居住するに当たり、老朽住宅の建替えを支援することで、地区内の住環境の改善と防災性を向上させ、合わせて活性化を図るものである。対象家屋は、モデル地区内の旧耐震基準で建てられた木造住宅の空き家で、建替えを行う家屋所有者が、市が指定する耐震診断を行った結果、耐震性が不足しているという結果が出たもので、対象者は、40歳未満で市税等を滞納していない既存木造住宅の所有者(共有名義でも可)である。助成額は、建替え費用の2分の1かつ上限100万円(国庫補助40万円、市負担60万円)である。 

 その他、高齢者住宅相談事業は、高齢者は一人暮らしであるという理由で賃貸住宅への入居を断られるケースがあるが、このような問題に対して、協力する不動産店を集めた組織をつくり、毎月1回、相談会を行っているものである。相談の内容によって、組織の不動産店が物件を紹介する体制を作っていて、その業務を神奈川住まい街づくり協会に委託している。なお、谷戸居住高齢者転居支援事業と連携した事業となっている。

 宅配サービス拡充事業は、スーパーマーケットなどの宅配サービス事業は、輸送コストの問題によって、階段の段数制限が設定されていることが一般的となっている。従って、階段上部の高齢者が買い物をする場合には、階段の昇降が不可欠となっている。このような高齢者の状況を地元のスーパーマーケットに伝え、段数制限を設定しない宅配サービスへの協力を求め、2012年度4月から対応が始まっている。

 そして、神奈川県立保健福祉大学学生居住支援事業である。これは、神奈川県立保健福祉大学の学生が、谷戸上部の空き家にシェアハウスの形態で居住し、居住地周辺の高齢者の買い物やごみ出しなどのサポートをすることにより、高齢者の生活環境の改善を図る事業である。交付対象家屋は、モデル地区内の階段上部の空き家で、市および神奈川県立保健福祉大学が調査し、適当であると認めたものである。リフォーム補助は、学生に家屋を提供する所有者が対象で、工事費用の3分の2かつ上限100万円(国庫補助50万円、市負担50万円)である。家屋居住者(学生)の代表者にも補助があり、月額1万円の家賃補助がある。 

 


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